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記憶を失くした令嬢が、二度目の恋に落ちるまで

作者: 夕凪ゆな



「ジェイドが、危篤だそうだ」


「……え?」



 ヴァロア伯爵家の居間は、冬の静けさに満ちていた。

 外には雪が降り積もり、庭の噴水は氷に閉ざされている。



 この家の一人娘・リディアは、突然の婚約者ジェイド危篤の知らせに、茫然と目を見開いた。

 三人掛けのソファの真ん中に腰掛けたまま、向かいの父と母を見定める。


「そんな……どうして……?」


 どうにか声を絞り出すと、父は悔し気に顔を歪めた。


「毒矢に射られたそうだ。魔法医師団が解毒を試みたそうだが、毒の性質が複雑で、解毒しきれなかったと」

「そんな……」



 ジェイド・マクラーレン。

 王室騎士団長の次男であり、いずれ伯爵家に婿養子として迎えることが決まっていた人物──つまり、リディアの婚約者だ。



 二人が初めて出会ったのは、リディアが七歳、ジェイドが十歳のときだった。

 それぞれの親に引き合わされた関係だったが、そんなことを知らぬ二人は、あっと言う間に仲良くなった。


 花畑で冠を作ってたわむれた春。

 川でずぶ濡れになるまで水遊びをし、互いの両親にこっぴどく叱られた夏。

 ジェイドの剣術の練習を、飽きもせずに遅くまで応援し続けた秋。

 スケート靴を履いて、湖に張った分厚い氷の上をくるくるとダンスをした、美しい冬。


 喧嘩をすることもあったけれど、出会ってから五年後、ジェイドと婚約が成ったときは本当に嬉しかった。

 すっかり大人の青年に成長したジェイドから、「俺が生涯、君を守る」と言われたときは、胸がきゅっと締め付けられて、天にも昇る気持ちになった。



 ――それなのに。



「……嘘……嘘よ。だってジェイドは、"必ず戻る"って。"戻ったら式を挙げよう"って、そう言ってくれたもの!」



 三年前、遠征出立の前夜、ジェイドは確かにこう言った。


「必ず戻る。戻ったら式を挙げよう。君の花嫁姿は、きっと美しいだろうな。今から楽しみだ」と。


 あの日の言葉は、リディアの未来そのものだった。

 彼となら、どんな困難も乗り越えていける――そう信じていた。


 そのジェイドが、毒矢で危篤。


 そんなこと、受け入れられるはずがない。



「お前の気持ちは分かる。ジェイドのことを大切に思っているのは、私たちも同じなのだから」

「同じ? 同じなんかじゃないわ! 馬鹿なこと言わないで!」

「……リディア」

「わたしが参ります! ジェイドの元へ行かせてください。わたしの魔力なら、きっと……!」


 リディアには魔法の才があった。特に回復魔法に長けている。

 ジェイドの父である騎士団長が、リディアを息子の妻にと望んだのは、それが理由でもあった。


 きっと自分なら、ジェイドを助けられる。


 リディアは訴えたが、けれど、父は首を振った。


「リディア、落ち着くんだ。遠征先は、ここから馬で二週間もかかる国境付近。つまり、この手紙が書かれたのは二週間も前のこと。まだ生きていたとしても、既に手遅れだ」


「……っ」


 父の言葉が、鋭利な刃物のように、胸に突き刺さる。


(手遅れですって?)


 リディアは唇を噛みしめた。指先が酷く冷たい。

 それなのに、体の奥では、何かが静かに燃え始めているのを感じた。


(ジェイドがいなくなるなんて、わたしは絶対に認めない)


 ここで諦めたら、彼の笑顔も、言葉も、あの温もりも、すべてが過去のものとなってしまう。

 それだけは、嫌だった。


(そうよ。まだ、終わりじゃないわ)


 父は手遅れだと言ったが、ジェイドはきっとまだ生きている。なら、その希望に賭けてみるしかない。

 リディアはゆっくりと立ち上がる。


「わたくし、部屋に戻ります。少し一人になりたいので、今夜は、誰も部屋に近づかないで」


 父と母が互いに目を合わせる。母はそっと頷き、父も深く息をついた。


「そうだな。受け入れるには時間が必要だろう。しばらく休みなさい」


 その声を背に受け、リディアは居間を後にした。




 * * *




 それから半年が過ぎた、ある夏の日の早朝――。


 馬蹄の音が、伯爵家の門前に響いた。



「……リディ!」


 ジェイド・マクラーレンは鞍から飛び降りると、震える手で外套の内側をまさぐる。


 そこには、父から渡された一通の書状があった。

 中には、リディアとの婚約破棄が成立した、という内容が記されている。



(リディ――君に、いったい何があったんだ?)




 半年前、ジェイドは奇跡的に一命を取り留めた。


 後遺症で身体が思うように動かせない中、遠征先の街で懸命にリハビリをし、半年かけて、こうして馬に乗れるほどまで回復した。


 けれどその間、一度もリディアからの手紙は届かなかった。


 自分が重傷を負った報せは届いているはずなのに、何の音沙汰もなく、それどころか、手紙を送っても返事はない。


 理由がわからず、このままでは埒が明かないと思ったジェイドが、騎士団長である父を問い詰めると、父はようやく、この書状を出してきた。


「お前とリディア嬢の婚約は破棄された。彼女のことは忘れるように」という、信じられない通告と共に。

 

 ジェイドは憤った。

 理由を聞いても、何一つ答えようとしない父に失望し、静止も聞かず遠征先を飛び出した。


 そして、昼も夜もなく馬を駆け続け、本来なら二週間かかるところ、十日でリディアの屋敷に辿り着いたのである。




(まさか病気か? それとも、事故に……。とにかく、彼女の無事をこの目で確認しなければ)



 ジェイドは、リディアの愛を少しも疑っていなかった。


 十歳の頃から兄妹のように過ごし、いつしかそれは恋心へと変化していったが、お互いを思い合っている関係であることに、絶対の自信を持っていた。


 だから、婚約破棄を知らされたとき、最初に抱いた感情は、リディアへの心配だった。


 婚約破棄をしなければならないほど、のっぴきならない事情があったのではないか。

 だからリディアからの手紙は途切れ、返事も来なくなったのではないか。


 もし、彼女が不治の病にでもかかっていたら。

 もし、半年前の自分のように、生死の境をさ迷っていたら――。


 そう考えだしたら居ても立っても居られず、ジェイドは手綱を引いたのだ。


 だが、伯爵家の門を叩いたジェイドを待っていたのは、あまりにも酷い仕打ちだった。



「娘は素性も知れぬ男と駆け落ちし、もう半年も戻っていない。だからどうか娘のことは忘れて、君は別の幸せを見つけてほしい。本当に申し訳ない。この通りだ!」


 すっかり憔悴しきった様子で、自分に頭を下げるリディアの父親。

 その姿に、ジェイドは、全身の血が一瞬にして冷え切るのを感じた。





 その日の夜。

 ヴァロア伯爵領内の古びた酒場で、ジェイドは薄暗い店内の片隅に身を沈め、無言で酒を煽っていた。


 よれたシャツに、ほころびた外套。

 長い遠征の疲れと、この十日の強行軍が刻み込んだ影が、全身から滲み出ている。



(どうして駆け落ちなんて……。俺たちの関係は、たった三年会えないくらいで壊れてしまうようなものだったのか? 教えてくれ、リディ)


 ジェイドは、テーブルの上の婚約破棄の書状に手を伸ばした。

 それを両手で引き裂こうとして――寸前で、留まる。


「クソッ……!」


 書状を掴んだままの拳を、怒りに任せてテーブルに叩きつけた。

 杯が傾き中身が零れ、手には、じわりと痛みが広がった。


「……リディ。君は、今どこに……」


 自分を裏切ったリディアへの怒りと、悲しみ。

 彼女を奪い去った見知らぬ男への、憎悪と殺意。


 黒々とした感情に身を焦がしながら、ジェイドは再び酒を煽る。



 すると、そのときだった。


 酒場の扉が軋んだ音とともに開き、新しい客が入ってくる。

 湿った風をまといながら、荒い息を吐く女性がひとり、店内を見渡した。


 そして。


「ジェイド様!」


 聞き覚えのある声に、ジェイドは顔を上げた。

 そこにいたのは、リディア付きの侍女――アニスだった。


「……アニス?」


 アニスはリディアの侍女として、五年以上伯爵家に勤めている。当然、ジェイドともよく見知った間柄だ。


「ああ、良かった! やっと見つけました、ジェイド様!」


 涙に滲んだ瞳が、ジェイドを見つめる。

 ジェイドは、どうしてアニスがこんな顔をするのか分からず困惑したが、アニスはそんなジェイドに、懇願するように言った。


「今すぐ一緒に来てください! お嬢様は、駆け落ちなんてしておりません! 今も、屋敷にいらっしゃいます!」




 それからジェイドは、伯爵家に戻る馬車の中で、アニスから信じられないことを聞かされた。

 それは、リディアが十年分の記憶を失ってしまったということだった。



「記憶がない? それは一体どういうことだ!? リディに何があった! 医者には診せたのか!?」

「診せておりません。旦那様が、医者は呼ぶなと」

「何故……!」

 

 ジェイドは憤った。


 十年分の記憶を失ったということは、当然、自分のことも覚えていないということだ。

 そんな状態にも関わらず、医者に診せていない――その状況が理解できなかった。


 けれどジェイドは、その理由をすぐに知ることになる。

 アニスから放たれた、ある一言によって。


「それは……お嬢様が"禁忌魔法"に手を出してしまわれたからです」

「禁忌魔法だと!?」


 禁忌魔法――それは、自身の魔力を源にして魔法を奮うのではなく、それ以上の対価を支払って発動させる魔法の総称だ。

 対価は大抵の場合、代償という形で術者に返ってくる。

 危険性が高いため使用は禁じられており、使ったことが役人に知られれば、貴族だろうが容赦なく牢獄行きだ。


(そんな魔法を、リディが?)


 絶句するジェイドに、アニスは震える声で続ける。


「半年前、ジェイド様ご危篤の報せを受けたお嬢様は、禁忌魔法をお使いになったのです。旦那様にも奥様にも何の相談もせず、私にも、何も言わず……ジェイド様の命を救おうと、"自身の最も大切なもの"と引き換えに、ジェイド様の回復を祈られたのです」

「……っ」


 瞬間、ジェイドは全てを理解した。

 魔法医師団にすら「もう助からない」と匙を投げられた自分が、どうして回復することができたのか。

 それは、リディアが代償を支払ったからだったのだ。


「お嬢様は、旦那様と奥様宛てに、手紙を残しておられました。それを最初に見つけたのは、私です。旦那様からは固く口留めされましたが、ジェイド様にはお知らせしなければと思い、こっそり複写したものをお持ちしましました。こう見えて私、複写魔法が大の得意なんですよ」


 アニスは涙ぐみながら、一通の手紙を差し出す。

 それを受け取り中を開くと、リディアの柔らかな字で、こう綴られていた。



『お父様、お母様。


 わたしは、ジェイドの命を救うため、禁忌魔法を使うことにしました。

 だって、彼のいない人生なんて耐えられないから。


 代償がどれほどのものになるかは、わたしにもわかりません。

 だから、わたしがどうにかなってしまったときのために、この手紙を残します。


 もしわたしが命を落としたり、それに近しいことになったときは、ジェイドとの婚約を解いてください。


 その際は、「娘は男と駆け落ちした」とでも伝えてください。

 酷い嘘だと思うでしょう。でもそれくらい言わないと、彼はわたしのことを忘れてくれないと思うから。

 彼には、自分を責めてほしくないの。


 それだけが、わたしの願いです。

 不肖な娘で、本当にごめんなさい。


 今まで育ててくださって、感謝します。


 ――リディア』



「……君は、俺のために」


 手紙を読み終えたジェイドは、自身の愚かさを悔いた。


 どうして自分は一瞬でも、リディアを疑ってしまったのか。

 彼女の愛を一番に理解しているのは、自分だったはずなのに。



(リディ。俺はもう二度と、君を疑ったりしない。だから……俺と、もう一度だけ)



 ジェイドは瞳に決意を宿し、馬車の窓から、夜空に浮かぶ月を見上げた。




 *




「お嬢様、少し、お庭を散歩しませんか?」


 自室で就寝の支度をし始めていたリディアは、突然アニスから夜の散歩に誘われ、小さく首を傾げた。


「構わないけれど、こんな時間に?」

「はい。たまにはいいではありませんか。夜の庭園も、風情がありますよ」

「……そうね。確かにそうかもしれないわ」




 半年前――リディアがある朝目覚めると、十年分の記憶がごっそり抜け落ちていた。


 記憶は七つで止まっているのに、鏡の中には十七歳の自分がいて、リディアは恐ろしさのあまり何度も取り乱し、泣き喚いた。


 そんな彼女を、周りは懸命に支えてくれた。

 けれど、どうして自分がこんなことになっているのか、その原因だけは、誰も教えてくれなかった。


 せめてもの救いは、"リディアの身体"が、生活様式を記憶してくれていたことだろう。


 食事のマナーも、美しいお辞儀カーテシーの仕方やダンスのステップ、刺繍の刺し方、喋り方に至るまで、忘れてはいなかった。

 両親や友人たちと過ごした大切な記憶が消えてしまったこと以外は、全て覚えている。


 ――それでも。


 リディアの中にはずっと、奇妙な空虚が漂っていた。


 失ってしまった記憶のせいだろうか。

 胸の奥にぽっかりと穴が空いたような寂しさが、いつも、リディアの心につき纏っていた。



(誰かを、探しているような気がするの)



 この半年間、繰り返し見る夢。


 花咲き乱れる丘の向こうで、自分の名前を優しく呼ぶ声。

 風に揺れる柔らかな髪。

 自分だけを見つめる、真っすぐな眼差し――。


 けれど、そこに手を伸ばした瞬間、夢は終わってしまうのだ。


(あれは、いったい誰なのかしら)


 そんな思いを抱えながら、リディアは、この半年を過ごしてきた。





 アニスに連れられ庭に降りると、夏の爽やかな夜風が肌を撫でた。

 月明かりが、花々を優しく照らしている。


 リディアはしばらく、アニスと庭園を歩いた。

 けれど、中ほどまで来た当たりで、不意にアニスの姿が見えなくなる。


「……アニス?」


 声をかけてみても、返事はない。

 先に行ってしまったのだろうか。


 不安になりながら歩を進めると、薔薇園の真ん中に人影があった。

 アニスかと思って近づいた瞬間――違う、と気付く。


 黒い外套を纏った、逞しく精悍な顔つきの青年。

 暗い色の髪と瞳が、月明りにぼんやりと浮かんでいる。


「……どなた?」


 無意識のうちに声を零すと、青年はゆっくりと振り向き、目が合った。

 青年は一拍置いて、穏やかに微笑む。


「こんばんは、レディ。私は、ジェイド・マクラーレンと申します」


 ――マクラーレン。その名には聞き覚えがある。

 確か、この国の騎士団長の姓だ。新聞の記事に、その名があった。


「騎士団長様のご子息ですか?」

「はい。騎士団長は私の父です。今日は貴方の御父上――ヴァロア伯爵に用があって参りました。庭園が素晴らしいと伺ったので、こうして見せていただいていたところです」

「そう、ですか……」


(何かしら、この感じ……)


 知らないはずなのに。

 初めて会う相手なのに。

 どうしてこんなにも、胸が騒ぐのだろう。


「レディ。よければ、あなたの名前を教えていただけないでしょうか?」

「名前、ですか?」

「はい。あなたの名を呼びたいのです。……駄目でしょうか?」

「いえ……名前くらいなら……。その――リディア、です」

「リディア。とても美しい名だ。私のことは、気軽に"ジェイド"とお呼びください」

「……ジェイド、様?」

「敬称はいりません。私は爵位を持たぬ身ですから」

「そんな……殿方を呼び捨てにするなど……わたしには、とても……」


 随分積極的だな、と思った。

 けれど、不思議と嫌な気はしない。


 とは言え、初対面の男性を呼び捨てにするのは流石に憚られたリディアは、遠慮がちに瞼を伏せる。

 するとジェイドは少々残念そうに眉尻を下げたものの、すぐにニコリと微笑んだ。


「さすがに気を急きすぎました。今夜は遅いので、明日、また出直すことにします。そのときは、もっと沢山あなたのことを聞かせてください。では――今宵はこれにて」


 ジェイドはそう言い残し、名残惜し気に背を向ける。


 だがリディアは、遠ざかっていくその背中を見て、言いようのない寂しさに襲われた。

 気付けば、声を上げていた。


「お待ち、しております……!」


 するとジェイドはピタリと立ち止まり、振り返る。

 その顔には、闇夜にも負けない満面の笑みが浮かんでいて、リディアの心臓が、きゅっと音を立てた。

 

「また、明日」と微笑むジェイドに、リディアはこくりと頷く。


(……"また、明日")


 ほんの些細な言葉なのに、リディアは、胸の鼓動が早まるのを感じていた。




 *




 翌日、リディアは父から正式にジェイドを紹介された。


 ジェイドは遠征先で怪我を負ったため、しばらく休暇を取って療養することになったが、リディアが記憶喪失のために屋敷に籠っていることを知り、護衛兼話し相手役を申し出たのだという。

 一時期この街に住んでいたことがあり、地理にも人にも精通していると説明された。


 リディアは嬉しい反面恐縮した。騎士を護衛にするなど、一貴族の令嬢には過分すぎる。


 けれどジェイドから「ひとりでは、一年の休暇はあまりに長すぎるのです。どうか、私の暇つぶしに付き合うと思って」と冗談交じりに言われ、「そういうことでしたら」と受け入れた。


 それからというもの、リディアはジェイドに連れられて、少しずつ外に出るようになった。


 街で一番立派な教会や、巨大な図書館、食品から宝石まで何でも揃っている商店街。

 緑豊かな公園や、町はずれにある美しい湖。

 湖は、冬になると氷の上を滑れるのだと、ジェイドは懐かしそうな目で言った。


 何も覚えていないリディアにとって、毎日が新鮮だった。

 ジェイドと過ごす毎日が、リディアにとってかけがえのないものになるまでに、それほど時間はかからなかった。



 夏の終わりには、バスケットにサンドイッチを詰めて、川辺でピクニックをした。

 その頃には、もうすっかり、お互い気兼ねなく話せる仲になっていた。まるで、本当の"兄妹"のように。



「君の御父上に聞いたんだ。君が記憶を失う前、夏は毎年ここでピクニックをしていたって」

「まぁ、そうなのですか?」

「子供の頃は、ドレスから水が滴るくらいはしゃぎ回って、目が離せなかったと言ってたな。随分なお転婆娘だ」

「……! 父がそう言ったのですか?」


 いくらジェイドが護衛だからって、異性にそんなことを話すだなんて有り得ない。

 帰ったら文句の一つでも言ってやらなければ――父への不満を分かりやすく顔に出すリディアを、ジェイドは温かな目で見つめる。


「リディア、せっかくだ。川に入ってみないか?」

「えっ、でも」

「大丈夫だ。ここには、俺たちを叱る大人は誰もいない」

「そう言うジェイド様こそ、もう立派な大人だと思いますけど」

「いいじゃないか。大人になっても遊んだって」


 あっと言う間に裸足になり、ざぶざぶと川に入って行くジェイドを追って、リディアも水に足を入れる。

 瞬間、冷やりとした感覚が全身に広がった。


「……気持ちいい」

「だろう? ほら、もっとこっちへ。奥には魚もいるんだ」


 ジェイドが手を差し出してくる。

 リディアは、左手でドレスの裾を持ち上げながら、右手をそっと重ねた。

 

 すると次の瞬間、不思議な既視感に襲われ、足を止める。


「リディア、どうした?」

「いえ……、何でも」


(今の、何かしら。一瞬、とても懐かしく思えたような……。気のせいかしら?)


 リディアは違和感を覚えたが、本当に一瞬のことだったため、すぐに忘れて川遊びを楽しんだ。




 夏が過ぎて秋になると、ジェイドは毎日、剣を奮うようになった。

 昼間はリディアと過ごし、夕方から夜にかけて、リディアの屋敷の庭園の隅で、黙々と素振りをする。

 そんなジェイドの様子を眺めるのが、リディアの新しい日課になった。


 澄んだ空気に、金色の葉が舞う。

 ジェイドの剣が空を裂くたび、耳に届くその音が、どうしようもなく、懐かしく思えた。


「……氷の上を、滑ってるみたい」


 不意に呟くと、ジェイドが手を止める。


「今、何と言った?」

「え、っと……、ジェイド様の剣の音が、氷を滑るみたいで綺麗だな、と。すみません、おかしなことを」


 真顔になったジェイドを見て、リディアは慌てて言葉を濁す。

 すると、ジェイドはすぐに頬を緩めた。


「違うんだ。昔、同じことを言われたな、と、思い出しただけで」

「今の、わたしと同じことをですか?」

「ああ。ちょっと……驚いた」


 その声は、必死に寂しさを隠しているようだった。

 リディアはその横顔から、その相手がジェイドの大切な人だったことを悟り、ほんの少し、胸が痛んだ。



 それからも二人は、毎日のように共に過ごした。


 秋が終わり、冬が訪れる頃には、リディアにとってジェイドは、なくてはならない存在となっていた。




 ある寒い日の午後、湖の上に厚く張った氷の上を、ふたりは手を繋いで滑った。


 手袋越しでも伝わってくるジェイドの温もりに、リディアはとうとう言わずにいられなくなり、ジェイドにそっと問いかける。


「ジェイド様……どうして、こんなに優しくしてくださるのですか?」

「――え?」

「わたし、ずっと考えていたんです。ジェイド様が、わたしに良くしてくださる理由。そしたら、もう、答えは一つしか思い浮かばなくて……」


 刹那、ジェイドは足を止めた。

 勢いを失くしたスケート靴は一気に失速し、二人は、ゆっくりと静止する。


 静寂だけが満ちる氷の上で、リディアはジェイドを見上げた。


「わたしたち、もしかして恋人同士だったんですか?」


 父も母も、アニスや他の使用人たちも、誰も真実を教えてくれない。

 それは、ジェイドもまた同じだ。


 けれど、だからこそ、そうとしか考えられなかった。


 未婚の男女が二人きりで出掛けることを許される理由――最初はそれを、主人と護衛だからだと思っていた。だが、ジェイドの行動は、明らかに護衛の域を超えていた。


 それなのに、誰もジェイドを咎めない。

 そんなの、もう、答えは一つしかないではないか。



 けれど、ジェイドは答えなかった。


「その答えは、もう少しだけ待ってくれないか」と、曖昧に告げるだけ。


 リディアは失望した。

 胸の奥に、冷たい風が吹き抜けた気がした。


 違う――と否定しないあたり、恋人に近い間柄だったことは間違いない。

 それなのに、そうだ、と肯定しないジェイドに、自身の存在を否定された気がした。


(ジェイド様が愛しているのは、今のわたしじゃない。過去のわたしなんだわ)


 微笑もうとしても、うまくいかない。


 リディアは繋いでいた手をそっと離し、一歩、二歩と後退ると、ジェイドに背を向け走り出す。



 

 その日から、リディアは部屋に引き籠った。


 そしてまた、ジェイドも、この日を境にパッタリと姿を現さなくなった。




 *




 それから二週間。

 リディアは部屋の外に出ることなく過ごした。


 運ばれる食事にもほとんど手をつけず、窓辺に佇んでは、雪の降る景色をぼんやりと眺めていた。



(ジェイド様は、あの日から一度もいらっしゃらない。……やっぱり、彼が愛していたのは……)


 思い出してみれば、初めて出会ったときから、彼は不自然なほど優しかった。

 自分を見つめる眼差しも、名前を呼ぶ声も。

 それが、彼と恋人同士だった、過去の自分に向けられたものだと考えれば、辻褄は合う。


(……やだ。わたしったら、過去の自分に嫉妬してるの?)


 窓ガラスに映る、十七歳の自分の姿。彼が愛した知らない自分に、鬱々とした感情が込み上げた。



 そう言えば一度だけ、彼に聞かれたことがある。

「もし記憶を取り戻す方法があるとしたら、どうする?」と。


 その問いに、自分は何と答えただろうか。確か、特に深く考えず、「取り戻せるものなら、取り戻したい」と言った気がする。

 そしたら、彼は酷く寂しそうな顔をして……。


(ジェイド様はあのとき、何を思っていたのかしら。この半年間、どんな気持ちでわたしの側に……)


 目を閉じれば、昨日の事のように、ジェイドの笑顔が蘇る。

 その笑顔が、何度も夢に出てきたの笑顔と重なることに、リディアはとっくに気が付いていた。

 あの夢はきっと、過去の自分リディアの記憶なのだと。

 

(もしわたしが記憶を取り戻したら、ジェイド様は、ちゃんとわたしを見てくださるのかしら……)


 リディアは大きな寂しさと苦しみを抱えながら、何日もそうやって過ごした。 





 父が部屋を訪ねてきたのは、それから二週間が過ぎた頃だった。

 一月ぶりに会う父は、見たこともないほど憔悴しており、リディアは思わず駆け寄った。


「お父さま? 顔色が……」


 もしかして、自分のせいで……。そんな思いが胸を過ぎった瞬間、父は絞り出す様に言った。

「すまない」と。


 それは謝罪というより、懺悔する様な声だった。


「ジェイドのことで、お前に話さなければならないことがある」

「……どういう、ことですか?」


 正直、何を今さら、と思った。

 けれど、聞かない選択肢はない。


 父は部屋の奥へ進み、窓辺に立つと、雪空を見つめる。


「お前とジェイドは、婚約していた」



 ――父は静かに語った。


 リディアが記憶を失ったのは、危篤のジェイドを助ける為に使った禁忌魔法の代償であること。

 父はリディアの残した手紙に書かれたとおり、ジェイドとの婚約を白紙にしたこと。

 けれど、ジェイドはもう一度婚約を望んだことを。



「彼は素晴らしい青年だ。何より、お前を心から愛している。記憶を失ったお前のことを、誠心誠意支えてくれるであろうと分かっていた。お前のことを思うなら、婚約を認めるべきだということも。……だが、私は応じなかった」


 その声は、後悔に満ちていた。

 リディアは、尋ねる。


「どうして?」


 すると、一拍置いて父は答えた。


「恐ろしかったのだ。きっとお前はもう一度彼を愛すだろう。だが彼は騎士だ。これから先、どれほどの危険に身を晒すことになるか分からない。もしそうなれば、お前は再び自身の命を投げ出して、彼を救おうとする。……それが、私には耐えられなかった」

「……っ」


 父は、続ける。


「しかし、彼は引き下がらなかった。だから私は言ってしまったのだ。『ならば、一年以内にリディアの記憶を取り戻して見せろ。それができたら、婚約を認めてやる』と」


 それは無理難題だった。

 リディアの記憶が失われたのは禁忌魔法の代償だ。取り戻せるはずがない。


 けれど、ジェイドはこの半年間、ずっとリディアの側にいた。

 それは、つまり……。


「ジェイド様は、それを受け入れたと?」

「そうだ。彼は私に、お前の記憶を取り戻すと約束した。その代わり、お前の時間を一年くれと」

「……!」


 窓の外を見つめていた父が、ゆっくりとリディアを振り返る。

 

「リディア。お前には、彼の言葉の意味が分かるか?」

 

 


 *




 リディアは急いで厩舎きゅうしゃへ走った。


 馬に乗るのは記憶を失って以来初めてだったが、体は迷いなく動く。


(大丈夫。ちゃんと、覚えてる)


 リディアは鞍に足を掛け、手綱を引いた。




 街に向かう道すがら、先ほどの父との会話が蘇る。



『お前の記憶は禁忌魔法によって失われた。つまり、それを取り戻す方法もまた、禁忌魔法以外にはない』


 苦悶を浮かべる父の言葉に、リディアは息を呑んだ。


『禁忌魔法を……ジェイド様が?』

『確証はない。だが、彼はお前の記憶を取り戻すためなら禁忌すら厭わないだろう。私には彼を止める権利はない。だが――リディア、お前ならば……』




「……ジェイド様」


 目頭が熱い。視界が滲んで、前がよく見えない。

 それでもリディアは止まらなかった。


(止めなきゃ。禁忌なんて、絶対に犯させないわ)


 リディアは手綱を強く握り直し、ジェイドの済む邸宅へと雪道を駆けていった。




 *




「ジェイド様……!」



 リディアは邸宅に踏み込んだ。玄関の鍵は開いていた。


 室内は異様なほど静まりかえっている。

 人の気配はなく、重い空気が満ちていた。



「ジェイド様! いらっしゃるのでしょう……!?」



 一階を抜け、階段を駆け上がる。

 そうして、二階の奥、寝室と思しき部屋の扉を開けた瞬間――リディアは凍りついた。


 窓際。壁にもたれかかるようにして、ジェイドが崩れ落ちていた。

 まるで消えかけた蝋燭の炎のように、力を失った体が、冷たい床に倒れていた。



「ジェイド様!」


 リディアはジェイドに駆け寄り、頬に手を触れる。


(冷たい。……いつから倒れていたの?)


 リディアは部屋を見回し、急いで暖炉に火の魔法を放った。

 薄暗かった部屋に灯りが灯り――リディアは、気が付く。


 テーブルに、大量の魔力石が積まれていたのだ。そのどれもがジェイドの魔力で満たされ、淡く青い光を宿している。

 その隣には、禁忌魔法の術式を記した資料が散乱していた。


(やっぱり、ジェイド様は……)


 リディアは悟った。


 ジェイドは父が予感した通り、禁忌魔法を使うつもりでいたことを。

 その発動に必要な魔力を、魔力石に蓄え続けていたことを。


(こんなに沢山の魔力石……ジェイド様の魔力量では一年かかってもおかしくないのに。きっと相当な無理を重ねていたはずよ)

 

 リディアはジェイドの体に両手を添え、回復魔法を発動させる。


 記憶を失ってからと言うもの、殆ど使ってこなかった魔法。けれどやっぱり、使い方は身体が覚えていた。


「お願い、目を開けて」

 

 ジェイドは魔力切れを起こしている。それを補充することはできない。

 けれど、削り取られた体力を回復するだけでも、多少はマシになるはずだ。


 そんなリディアの予想は当たり、しばらくして、ジェイドは静かに瞼を上げた。



「…………リ、ディ……?」


 虚ろな瞳が、リディアの姿を捉える。

 ”リディ”――その呼びかけに、涙が込み上げた。


「ジェイド様……どうして、こんな馬鹿なこと……」


 責める言葉を吐きつつも、心の中ではわかっていた。

 ジェイドはこれほどの危険を犯してまで、リディ・・・の記憶を取り戻したかったのだ。


 それほどまでに、彼は過去の自分リディを愛している――その事実が、どうしようもなく苦しかった。



 ジェイドは、ぼろぼろと涙を零すリディアをぼんやりと瞳に映しながら、震える指で、リディアの手を握りしめる。


「……泣くな……リディ」


 弱々しく呟いて、リディアに何かを握らせた。

 手を開くと、そこにあるのは、青く輝く魔力石。


「……これ」

「ああ。……それが……最後の、一つ。……これで、君の、記憶……を……」


 うわごとのように、ジェイドは続ける。


「……待たせて……悪かった」

「――っ」 


 ――違う、と、リディアは首を振った。


 待たされてなんていない。

 だって、そんなことを考える暇がないくらい、ジェイドと過ごす日々は幸せだったから。


 リディアの涙が、ジェイドの頬を濡らす。


「いつ、わたしがそんなことを頼みましたか。禁忌魔法の代償が、どれほどのものか知っていて、ジェイド様は、本当にこれでわたしが喜ぶとお思いなのですか?」


 ジェイドの命を救うため、禁忌魔法に手を染めた過去の自分。

 その代償は"命"ではなく、"ジェイドと過ごした十年間の記憶"だった。


 それはつまり、過去の自分リディにとってジェイドと過ごした日々は、命以上に大切なものだったということで。

 それなのに、記憶を取り戻す代償としてジェイドが犠牲になるとしら、過去の自分リディはどう思うだろう。


 そんなこと、許せるはずがない。


「もしジェイド様に何かあったら、わたしも、リディも耐えられない。なのに、こんなの、あまりに残酷だわ」


 その言葉に、ジェイドの瞳が大きく揺れる。


「……だが、君は、俺のせいで記憶を……」


 言いかけたジェイドを、リディはキッと睨みつける。


「その代償としてあなたを失うことになったら、何の意味もないのよ! そんなこともわからないの?」

「――っ」

「記憶なんていらない。あなたさえいれば、それでいいの! だってわたし、あなたを愛しているんですもの!」


 刹那、ジェイドの瞳が、大きく見開く。


「それとも、わたしじゃ駄目なの?  あなたの記憶を忘れてしまった、今のわたしじゃ……あなたの隣には立てないの?」

「っ、そんなわけ……!」

「だったら!」


 リディアの叫びに、ジェイドは押し黙った。


「二度と、こんな危ない真似はやめて。お願いよ」

「……でも、リディ」

でも・・だって・・・もないわ! わたしのこと、好きなんでしょう!?」


 内心、心臓が飛び出そうなほどの恥ずかしさを覚えながらジェイドを見つめる。

 すると、ジェイドは真顔で即答した。


「当然だ。俺は君を愛している」

「……っ、……記憶が、なくても……?」

「当たり前だろう! 記憶のあるなしは関係ない。君は、君だ」

「なら、わたしの言うこと聞けるでしょう? 禁忌魔法なんて、絶対にダメ」


 リディアは言い聞かせる。

 けれど、ジェイドはやや逡巡した末、こう言うのだ。


「そうしたいのは山々だが……。君の父上に、君の記憶を取り戻すと約束してしまったんだ。だから……」


 リディアは呆れた。

 まさか、自分よりも父親との約束の方が大事だというのか。――一度はそう思ったものの、いつかのアニスの『騎士は契約で、嘘をつけないらしいですよ』との言葉を思い出し、そっと息を吐く。


「その条件なら、撤回されました」

「……え?」

「お父さまが、わたしたちの結婚をお許し下さったの。だから……」


 刹那、ジェイドの瞳が一瞬にして輝いた。


「それを早く言え!」


 叫ぶようにそう言って、勢いよく上体を起こす。


「そんなに急に動いたら――」

 危ないわ、と言いかけたリディアの身体を、ぐいと引き寄せた。


「今の話を聞いたら元気になった。いや、違うな。君の回復魔法のおかげか。とにかく、もう問題ない」

「……っ、そんなはず……!」

「本当だ。確かめてみるか?」

「確かめるって……どうやって……」


 先ほどまでの態度とは打って変わり、余裕気な笑みを浮かべたジェイドに、リディアはカアッと頬を染めた。


(……っ、何よ、これ……。ジェイド様のこんな顔、見たことないわ……!)


 混乱するリディアに、ジェイドはそっと顔を寄せる。

 そして、甘く囁いた。


「こうやって確かめるんだ、リディ」


 刹那、唇に柔らかな何かが触れたと思ったら、そのまま一気に塞がれる。


 それは、二人の心に新たな春が訪れた瞬間だった。




 *



 

 二年が過ぎた。


 花々は風に揺れ、空は果てしなく澄み渡っている。

 リディアは丘の上でしゃがみ込み、花冠を編んでいた。膨らんだお腹のせいで少し動きづらいが、気にするほどのことではない。


 するとそんなリディアのもとへ、小径を踏みしめ、ジェイドが丘を登ってくる。


「ここにいたのか。そろそろ屋敷に戻ろう。まだ少し冷える」


 その言葉に、リディアはふわりと笑った。


「待って、あと少しなの。もうすぐ完成するから」


 リディアは黙々と花を編み続ける。

 ジェイドはそんなリディアを、ずっと側で見守っていた。



 しばらくして、最後の花を編み込んだリディアはゆっくりと立ち上がり、完成した花冠をジェイドの頭に乗せる。


 するとジェイドは小さく、「君が被ればいいのに。俺に花は似合わない」と不満げに呟いたが、外そうとしないあたり、まんざらでもないのだろう。


 リディアは笑みを零す。


「そんなことないわ。十分似合ってるわよ」

「そうか?」

「ええ、とっても。花の国の王子様みたい」

「王子? ……そんな柄じゃないんだけどな」

「いいじゃない。とにかく素敵ってことよ」



 するとジェイドは、やっぱりよくわからないという顔をしたが、リディアがいいならいいかと納得したのか、ふっと口角を上げ、リディアに右手を差し出した。


「行こう、リディ」


 その優しい声に誘われて、リディアは迷わず手を重ねる。


「ええ、ジェイド」




 ふたりは並んで丘を降りていった。


 そんなふたりを祝福するように、春風がいつまでも、花びらを美しく舞い散らせていた。


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― 新着の感想 ―
私、記憶喪失大好きサムライ! 今までの二人で積み重ねた時間をなくしても残る愛、とっても美味しいですわ……!
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