幸運聖女、この世界は乙女ゲームに繋がってるぅ
幸運聖女視点です。
喋り方がアレな子なので、大変読みづらくなっております。
( -᷄ω-᷅ )<アタオカヤバイヨ
気づいたらぁ転生してたぁ。
孤児だけどぉ、周りに面倒を見てくれる大人がいるしぃ、あたしがちょーっと微笑めばぁ、その時に欲しい物を男が貢いでくれるのぉ。
いちゃもんつけられてぇ物を盗られてもぉ、誰かが悪者を退治してくれてぇ、盗られた物も返ってくるしぃ。
ラッキーすぎなぁい?
少しの不幸が起きてもぉ、幸福が倍以上になって返ってくるってわけぇ。
それってばまるでぇ、前世で読みたかったぁ18禁恋愛小説、『幸運聖女の性なる洗脳遊戯』の主人公みたいな運の良さじゃなぁい。
そう思ったらさぁ、この世界は幸運聖女の世界としか思えなくなったしぃ。
あの小説ぅ、前世じゃ読むことが出来なかったけどぉ、感想ブログもぉ、レビューだって読み込んでぇ事前学習したしぃ。
どうやったら孤児から成り上がれるかぁ、道筋は知ってるもんねぇ。
今はしがない孤児だけどさぁ、積み重なる幸運で将来は逆ハーレムエンド確定よぉ!
逆ハー好きとしてわぁ、ストーリーが決まってる小説の世界に転生できてぇ、超ラッキーかなーって。
んでぇ、思った通りに幸運が続くってわけぇ。
スラムで慈善活動してたら神官がスカウトにきたしぃ、聖女になってぇ、聖ゴリラ魔法学園に通うことにもなったよぉ。学費とかぁ、生活費とかぁ、ぜぇーんぶ、神殿持ちだってぇ。超絶ラッキー☆
でもぉ、ちょぉーっと、小説とは違うことになってるかなぁ。
順調に周りの目立ったイケメンを誘惑してたけどぉ、このイケメンたちさぁ、私に愛の言葉を捧げるのは当たり前だけどぉ、18禁展開にはなんないんだよねぇ。
原作小説のエロエピどこいった?って感じ。
─────あぁ、そっかぁ、わかったぁ!
これぇ、原作小説じゃなくてぇ、同人ゲームの世界なんだぁ。
同人ゲームだと18禁じゃないしぃ。
ふむふむぅ、だから悪役令嬢もいじめてこないしぃ、悪役令嬢のとりまき女たちも絡んでこないんだぁ。おかげでムダにいじめ証拠捏造しちゃったじゃんねぇ。わざと怪我したしぃ、ムダに痛いんですけどぉ。
あたしはムカツキながらもぉ、顔だけはよいセザール王子にぃ、「痛いよぉーうぅ」って泣きついたのぉ。
セザール王子以下、手下たちもぉ「ハッピーを傷つけるなんて……!」って激おこ。
ふふっ、これで卒パで断罪確定よぉ。あの悪役令嬢どもぉ。すました顔でぇ、あたしのこと無視ってばかりなんだからぁ。アタマきちゃう。
卒業パーティでわぁ、みぃーんなが、あたしのために怒ってくれてぇ、原作小説どおりになったのぉ。
やったぁ、これで逆ハーレムエンド確定ねぇ!
でもぉ、こうなるとぉ、あの超絶イケメン隣国の王子とは会えないんじゃなぁい?
外伝ifエピ、聞きかじりだとぉ、ヒュミエール王子はぁこの国に婚約者の公爵令嬢がいてぇ、その縁でこの魔法学園に留学してきたはずぅ。
公爵令嬢なんかいたっけぇ?
いないよねぇ。もち、ヒュミエール王子もいなぁい。
だからぁやっぱりぃ、この世界は原作小説じゃないのよぉ。二次創作の、同人ゲームなの。
この世界は乙女ゲームに繋がってるぅーってことぉ。
さしずめ、ヒュミエール王子はシークレットキャラねぇ。逆ハーレムエンド後に出てくるのぉ。
……てことはぁ─────いたぁ!
二階席、来賓のとこに婚約者っぽい女と一緒にいるぅ!
あたしのために会いに来てくれたのねぇ!
早くヒュミエール王子のとこに行きたいのにぃ、こっちのバカ王子がぁ、悪役令嬢たちから反撃くらって情けない感じになってるぅ。
手下たちもぉ、役立たずだしぃ。
しかも、あたしを投獄するだってぇ、あのオジサン。
「あたしを処刑なんて、できるわけないじゃん」
とにかく邪魔なその他モブどもわぁ、武器を持ってぇ、あたしのヒュミエール王子まで続く道を開きなさぁい。
モブはモブなりに役に立ってぇ、会場内にいた多くの人間を追い出せたけどぉ、あたしは捕まっちゃったぁ。
これは誤算。だってぇ、武士みたいな格好したぁ大量のヒュミエール王子たちに囲まれちゃってるんですものぉ。
なによぉこのハーレム! 最高じゃなぁい!
目先の潤いというか欲に眩んだあたしわぁ、たくさんのヒュミエール王子に囲まれてぇ、幸せよぉ。
あぁ、でもぉ、いけないわぁ。このままだと投獄されるんだっけぇ。
ヒュミエール王子たちと離れてぇ、城の兵士に護送馬車に乗せられたらぁ、急に冷静になったわぁ。
「ぶわーん! 暗いよー! こんなとこに閉じ込めるなんてー! 出せー! 俺は王子だぞ偉いんだぞー! ここから出せー!」
このダメ王子がぁ。こいつ見てるとイラッとするけどぉ、こいつぅ、使えるんじゃなぁい?
たしか、原作小説で誘拐エピがあったぁ。
今回、悪役令嬢が良い子ちゃんすぎて起きるよしもなかったけどぉ、聖女のあたしがぁ、馬車でさらわれてしまうエピソード。もち悪役令嬢が黒幕ねぇ。
助けに来るのがセザール王子でぇ、〈 愛しい人へと繋がる扉〉を使うのぉ。王家の秘術だかなんだかで、その血筋しか使えないしぃ、本当に愛してる人にしか繋がらない扉だとかかんとかぁ。
ネタバレ感想レビューに書いてあったわぁ。
あたしわぁ、ネタバレ気にしないタイプだからぁ、感想ブログやまとめサイトも、堂々と訪問しちゃうのよねぇ。
……で、その扉、使えるんじゃなぁい?
蹴り。
「いてっ」
蹴りの接触で洗脳を深めてやるぅ。
「ほぉら、使いなさいよぉ、開けたまえぇ、目覚めたまえぇ、扉よ扉ぁ、愛しい愛しいヒュミエール王子のところへつーながれぇ」
「いた、痛いって、う、うあ、えぁあ……」
虚ろな目になってきたバカ王子ぃ。こんなバカ王子に王家の秘術なんて高等なもん使えるわけなぁいとも思うけどぉ、それでも、こいつもそれなりに高貴な血筋ってやつだからぁ、イケるっしょ。
「ぎ……ぃ、ひ、ぅえ、ええ」
はい、どーんどん、どんどんと洗脳を強めてぇ、バカ王子の潜在能力を引き出していけばぁ、目の前の空間がゆらゆら~と揺らぎだしてぇ、元が何色かも分からないような色褪せてボロボロな扉が形作られたわけでぇ。
これ、成功ぉ?
「お、おぁ、おおぉぉ」
バカ王子が扉に近づくぅ。自分で作ったものだって信じられないのかぁ、ペタペタ音が鳴るくらい手のひらで触って確かめてぇ、おもむろにドアを開いたぁ。
あたしは後ろで待機ぃ。まずはバカ王子に安全を確かめてもらわないとねぇ。
「なっ、何者だ……?!」
「急にドアが……人が……!」
「ここがフィスティンバーグ家と知っての狼藉か!?」
「我は、セザール・ドン・モンミリョンなりーい! 我を助けろ保護しろ亭主を呼べえい!」
扉の向こうはどこかのお屋敷みたぁい。ドタバタねぇ。そりゃあ、急に人が現れたら誰だって驚くよねぇ。
扉の隙間から覗き見してるけどぉ、ヒュミエール王子はいないみたぁい。ちぇ、失敗したかぁ。
「騒がしいですね。何事ですか?」
ん? あれはゴリンダじゃなぁい? 同人ゲームの主人公ゴリラだわぁ!
あれがいるってことは、やっぱりこの家にヒュミエール王子がいるってことよぉ。ちょっと座標がズレたとか、そんなところね。
あたしも扉を出てぇ、バカ王子を盾にぃ、誰の目にもつかないようにぃ、そっとバカ王子の背中へと手を伸ばしてぇ、洗脳ぉ。出力大でぇ。
「パぎゃ……!」
変な鳴き声がバカ王子から漏れたけどぉ、扉のズレた座標は正しい位置に直った気がするぅ。
「シークレット王子みぃーっけ☆」
思わずニヤリィ。扉の向こう側にヒュミエール王子の気配を感じてぇ、あたしの気分は最高潮ぉ。
「ここで会ったが100巡目ぶりぃ。逆ハーレム達成エンド後のシークレットキャラ、ヒュミエール王子ぃぃやぁっと逢えたわぁ」
こっちに振り向いた瞬間のヒュミエール王子とぉ、目が合ったわぁ。お日様色の綺麗な瞳ねぇ。嬉しいぃぃ。
着替え途中なのか、シャツが肌蹴てるんですけどぉぉ! やっば! やばぁい! 超絶イケメンのお色気シーン、キタァァ! コレ! キタァァァァ!!!!
でもぉ、その銃はぁ、危ないよねぇ。
えいっ、洗脳ぉ!
途端に凡庸とした瞳になっちゃったけど、それでヒュミエール王子のイケメン度が下がるわけでもなぁし。
むしろ、あたしに恋をしてぇ、ラブラブ幸せになりましょうねぇ。




