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日清戦争 -40 松島被弾

 旗艦松島。


 衝撃走る。主砲の32㎝砲の発射ではない。命中だ。


「前部命中弾。甲板上弾薬誘爆あり。大火災!!」


「急いで消火しろ!!弾薬庫に火が入ったら最後だぞ!!」


 前部は壊滅していた。しかし分厚い安全な装甲で守られている司令塔はそれを把握することができなかった


「敵正面を通り過ぎたら回頭。右舷砲戦開始。左舷はその間に対処せよ!!」


 まだ戦う気だった。命中した砲弾は定遠級の主砲の30㎝砲弾だ。当たり所次第では撃沈していたほどの砲撃だった。


 


「弾薬庫を守れ!!誘爆したら沈むぞ!!」


 現場は生き残った乗員が消火作業を最優先でしていた。戦っている余裕などない。前部左舷速射砲群の砲員はことごとく負傷・戦死して戦える人間はいなかった。


「余剰要員を各所からかき集めてくれ。臨時の砲員にして消火と戦闘を継続する!!」


駆け寄ってきた兵士のうち数名を砲につけて1発でいいから放つ。その砲声に水兵が集まってくる。



 だが現実は非常だった。回頭完了後、報告が入る。


「主舵が壊れました。副舵では機動力が低いです。」


「被弾による戦闘能力低下はひどいです。本隊の先頭に立ち、諸艦の指揮を執るのは不可能です。」


 艦長は苦渋の表情だった。


「不管旗を掲げよ。指揮を2番艦『厳島』に移す。移乗している余裕はない。『厳島』に本隊の戦隊指揮をとらせる。本艦は遊撃隊と本隊の中間海域にできるだけ展開。双方の艦隊指揮を握るぞ」



 『厳島』


「『松島』に不管旗です。交戦能力を喪失した模様です。回頭。隊列を離れます。」


「自由行動になるが、単縦陣を崩さぬほうがよかろう。下手に崩すと、同士討ちの可能性がある。」


「『比叡』の敵中突破はひやひやしましたね。流れ弾が当たる可能性があって怖かったです。」


「となると先頭になるのは『厳島』です。統制をとらねばなりません。代将旗を使用すべきと思います。」


「同意する。代将旗を揚げよ。僚艦に信号。我に続け。」


「2番艦『橋立』敵艦に突入します!!」


「なんだと!!」



 『金剛』


(本隊元5番艦→『比叡』『厳島』離脱につき、実質3番艦)


「あほがーー」


『橋立』の真後ろについていた『金剛』艦長有馬 新一が叫ぶ。


「『橋立』が邪魔で砲撃できんごとになるぞ!!」



 『橋立』


「三景艦の内松島以外の2隻は正面の巨砲で敵を撃沈させるために作られた。突撃する!!」


 橋立の艦長日高 壮之丞。日露戦争で東郷の前任の有事に際して連合艦隊司令長官につくことが予想された常備艦隊司令長官だった。


 東洋で並ぶものは姉妹のみである定遠級にたった1隻で突っ込もうとするなど猛将と呼ぶにふさわしいが、この場合蛮勇に近いかもしれなかった。



『厳島』


「『橋立』を止める。『橋立』の進路上に砲撃せよ。」


 薩摩の猪武者が。という言葉を抑える。佐賀出身の『厳島』艦長横尾 道昱は抑えるのに苦労する。


「砲撃を継続。徹底的に上部構造物と乗員を殺傷。戦えなくなるようにしてやれ!!」

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