少年期-4 予備役軍人
申し訳ない PCの不調、家庭内不和(更年期障害の父親が原因。水筒落としただけで殴られそうになる。過去には脳震盪にされる…)で更新できなかった…土日おうちに居場所がないよ…
1891年
2人はこの時すでに旧制中学に入学していた。もとは外国語学校だった学校だったので、広島では特に外国語に強い学校だった。それでも執筆はやめない。この時までに『義経記』を連載しながら『元寇戦記』を書き上げ、『赤壁』も途中まで書き上げていた。
「君たちのもとに人が来たぞ。出身は海軍。」
数年待ってようやく田中兄弟直属の絵描が来た。なお、別グループでの作家も雇うことができている。彼らは田中たちの手法をまねはするがかかわろうとしなかった。その中かかわろうとする奇特な人間がいた。しかも海軍。写真のない時代には士官に必須の能力にスケッチが含まれていたが、その関係だろうか?
「なぜそのような方々が?」
こういったことに際して初めに口を開くのは大抵兄の義二だ。数年前の山本権兵衛など偉い肩書があると動揺して動かなくなって結果的に義三の方が先に口を空くことにはなる。義三の動きが遅いのは考える時間があるからだ。その考えを出す前に速水が答えを言ってしまう。
「数年前海軍の山本権兵衛殿が訪れたのを覚えているな?その時の君たち発言を覚えていたらしくな、海軍士官の整理に伴い放出された人間を受け入れてほしいとのことだ。軍人はスケッチも学ぶから絵描きにはなれる。」
(確かに山本権兵衛は日清戦争前に海軍のリストラを敢行していたな。そういえば最近海軍大臣官房についたと聞く)
義三の頭の中にはかつて読んだ漫画の中での出来事と新聞で手に入れたリアルタイムの情報がありありと浮かぶ。その中で応対は兄の役目だ。弟は考えがちになることから彼らの中で自動的に役割分担ができている。
「どなたが来られるのです?」
「松村 淳蔵、中牟田 倉之助という方々だ。」
その名前のうち1名に心当たりがあった。新聞に出ていた名前だ。義三は恐る恐る口を開く。
「階級は…」
「両名ともに…中将…」
とんだ大物である。クビにされた連中には尉官や左官などもいる。が、将官は6名しかいない。のそのうち2名をなぜここに?
「偉すぎませんか?」
その階級を聞いた義二が素になっている。
「まあ、一時的なんだから許して…」
速水自身も困ったような顔をしている
「なるほど…ほかの退役予定者に対しての印象付け…ですか…『偉い人間も民間で頑張るんだから』という感じですか…」
義三がつぶやいている
「そうだ。中牟田氏は枢密顧問官に内定しているから両名ともに所属は一時的のはずだ。」
「了解いたしました。」
兄弟
兄弟は要件を終えると、自室に戻り始める。
「義三…確か中牟田中将といえば」
「だいぶ前の新聞で見た…清国北洋艦隊の戦力分析をされていたはずだ。同時に開戦すれば負けるとした非戦派…」
「非戦派を排除するということは義三…日本はいずれ清国と開戦するということか?」
「機会があり次第…そうなるだろう…少なくともここ最近、日清の海軍競争は日本有利…」
「だが、日本には定遠・鎮遠に対抗できる軍艦はないのだろう2隻の新型戦艦予算案も議会では蹴られている…本当に勝てるのか⁉」
「違うんだよ…義二…勝たないといけないんだ…勝たないと清も日本も欧米に食われてしまう…」
義三の答えを聞いて義二は足を止める。
「すまんが先に行っていてくれ。」
踵を返す義二。その眼には覚悟が宿っていた
「俺なんかよりも…義三には生きてもらわんといけない…」
速水・予備役将官2名
「なるほど…優秀というべきですか…よもや尋常小学校にも通わせてもらえんとは嘆かわしいことだ。」
速水から彼らの境遇を聞いた2人の感想はほぼ同じだった。
「ですが、その中で飛び級候補に上がるほどの勉学は評価に値すると思います。しかも仕事をしながらです。本当にすごいことですよ。」
速水は自身の彼らに対する評価を言う。
「清には勝たなければならん…そうでないと列強に日本が食われる…本当にそう申したのか?」
特に中牟田は弟の発言に関して食らいつく。彼自身が負けると思う戦争にはすべきではないという意見で日清非戦論を上げていた。
「義二から話を聞き、その先も聞き出すように命じました。清国との共同戦線での抵抗を考えていないかと吹き込んだ上で。」
「その答えは…」
「様々なたとえを持ち出されましたが、壊死した部位を切り落とさねば全身に毒が回る…。道連れにされたくなかったら徹底的に使い捨てる…といっていました。そしてその使い方は…生贄だそうです。戦に勝てば…少なくとも清より上。清が食われている間、日本は国防を万全にできる時間を稼げる…」
非情な言葉だ…とても10代中旬がいえる言葉ではない。その非情さは家族を捨てたことも無関係ではないだろう。…その読みも…
「お二人にお願いがあります。特に兄の義二君から…」
この2名は彼らとかかわり深い人間になる予定です。
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