表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
48/56

日清戦争 -37 幸運な船

 投稿再開…

 西京丸

「舵故障の旗を上げろ!! かわしてくれ」


 吉野

「『西京丸』被弾。取り舵をとります!!第1遊撃隊の隊列内に突入します。」

「どこが危ない!!」

「3番艦『秋津洲』と4番艦『浪速』です!!」


 浪速

 田中は状況を冷静に見ていた。そして東郷に耳打ちする。

「減速する。旗を掲げろ。『秋津洲』の航跡を追わず、回避。隊列が千切れても構わん。」

 『浪速』がたとえ『西京丸』を増速回避したとしてもその後ろ『和泉』『千代田』が隊列から千切れて孤立する。かの2隻は第1遊撃隊に編入して浅いので他艦との連携は取りずらい。だからと言って切り離せばやられる。かばう船が必要だ

 『浪速』艦長の東郷平八郎はそれを覚悟していた

「取り舵をとれ。減速だ。」

 現状、遊撃隊全艦が左180度回頭している。この段階で取り舵をとれば第1遊撃隊は3隻づつに分断されることになる。

「(3番艦『秋津洲』との)距離を保てません」

 副長が叫ぶ

「(『西京丸』と)衝突するよりマシです」

 とっさに叫ぶは田中。それをなだめるのは東郷。

「回避したのち、遊撃隊よりも大回りで距離をとりつつ遊撃隊に随伴する。隊列分断は覚悟せよ。」

「進路左に変更する旨の旗旒を揚げます!! 手旗信号手にも」

田中はバインダーと鉛筆を東郷に渡す。東郷は命令内容を書き込むと返却。田中は敬礼して手旗信号所に走る。


 金剛

「抜けたぞ!!」

 大損害を受けたが『金剛』は敵艦隊の横陣を突破比較的安全を確保できる後方に抜けた

 清国艦隊は後方への砲門が少ない上に前方の日本艦隊への攻撃を優先している。だからこそ比較的安全だ。

「抜けたのは幸運だ。火災はどうだ!!」

 だが『比叡』は突破に際して大規模な被害を受けていた。史実では死傷者割合は日本艦隊3位、死傷者数2位の被害だ。

「弾薬庫に迫りつつあります。砲員も含めすべての乗員を消火に回しています。本艦は…交戦能力と当面喪失しました」

 史実では弾薬庫に注水、弾薬が湿気ることによって弾薬を交換するまで交戦能力を喪失した。

「弾薬庫へ注水はしなくても復帰はできるか?」

 櫻井艦長はそれを避けたいようだ。復帰できるなら復帰できる目を確保したいようだ

「安全な海域と時間が必要です。」

 復帰は難しいと諭す副長

「小鹿島に向かえ。」

 艦長の命令は意味が分からない。だが、本体の戦闘に貢献できないことは確実だ。

「第2遊撃隊と合流して後方に存在すると推定される輸送艦を叩く。それまでに戦えるようにせよ。」

 その命令も意味が分からない。小鹿島に向かうのは『西京丸』の任務だ。それを副長が問うと艦長は『西京丸』を指さした

「『西京丸』が孤立している!!」

 『西京丸』が小鹿島に向かえるかわからないという戦況が『比叡』の役目を決めた


 『西京丸』

「左舷!!撃ちまくれ!!」

 『浪速』との衝突を回避した『西京丸』の行く手には最悪な状況が広がっていた。清国艦隊別動隊巡洋艦2,水雷艇2がいたのだ。

 巡洋艦は第1遊撃隊に向かったがために『西京丸』

に向かってきたのは水雷艇2隻だったが民間船に武装をつけただけの『西京丸』にとっては脅威だった。


 『浪速』

 後部艦橋 手旗信号所

 手旗信号所は各方向に伝えやすいようになっている。しかし、排煙や信号所の関係上、後方への伝達のみ、後部艦橋に存在する。そこは前部艦橋よりも遠いので伝声管だけでは不安である。故に伝令が走る。

「後方艦艇への手旗信号を!!」

 手旗信号手が

 田中は伝令兵。代理旗艦として重要な後方艦艇への命令を果たすべく確実に動く。短い距離でも砲声とどろく戦場では詳しい指示は届かない。

 そして砲煙で黒く染まる空に小さな手旗では目立たず、あまり有効ではないだろう。故に大きな旗数枚で命令を伝える

「伝令内容です。」

 田中は手っ取り早く、バインダーから内容の書かれた紙を渡す。

「この砲煙では伝わるかわからないぞ。」

「旗旒も使用して概要を伝えますが、精密な命令はこちらの方が好適かと。」

「了解した。」

          

『西京丸』

「敵水雷艇艦首固定魚雷発射!!2本!!」

 舵の効かない事実上軽武装な元商船。通常魚雷を放たれれば…助からない。

「舵を!!」

 応急操舵も通常の操舵よりは利かない。

「舵利きません」

 だが、清国海軍は…練度不足だった。魚雷は通常舷側に当てるに発射するものが、なぜか艦首側から来た。どうやら艦首方向の砲が故障して動かなかったらしい。そのため接近を許す。

 魚雷は外れる。へたくそ。舵の効かぬ元民間船。実質的にただの標的艦にもかかわらず。

 この練度不足は清国艦隊全体の問題である。当時西太后の行動で海軍予算が削られていた影響があるといわれている。

「敵左舷!!」

 水雷艇がそのまま横に来ている。

「側面から魚雷が来るぞ!!」

 魚雷発射には最適な角度。唯一の救いは相対速度が大きくなる反航戦である点だろう。射撃タイミングはシビアだ。そこに清国水雷艇は2基の旋回式単装魚雷発射管から魚雷を放つ

「魚雷直撃します!!」

 しかし、魚雷は船底を通って反対側に抜ける。もう1本は外れる。

「近すぎたんだ!! 発射の衝撃で沈み込んで浮き上がる前に艦底を通り過ぎたんだ!!」

 清国水雷艇『福龍』は『西京丸』の40mの至近距離からの魚雷を放っていた。これも練度不足だろう。訓練していれば…魚雷の性質を理解していればこんな至近距離での使用はあり得なかった。

「敵水雷艇は魚雷を使い果たした模様です。光線をあきらめて撤退に入ります。敵別動隊は撤退中の魚雷艇以外、第1遊撃隊への攻撃を実施しています。」

 『西京丸』は幸運にも耐え抜いた。清国艦隊は『福龍』だけで『西京丸』を撃沈できると思っていたようだ

「遊撃隊は問題でしょう。敵本隊と左舷砲戦していますが、敵別動隊は右舷から攻めてきている。右舷の舷側砲は左舷砲戦では使えません。この使えない砲門を使って戦っているのであまり妨害にはなっていませんね。」

 『西京丸』に乗船していた伊集院五郎が状況を説明する。『西京丸』の雇われ船長スウェーデン人の ジョン・ウイルソンは続ける

「本船の性能と現状ではあれに参加することはできません。足手まといになるばかりか今度は本当に撃沈されますよ。」

 民間人の彼は逃げたそうだ。

「船長に同意します。それに我々には本来の任務があります。 小鹿島に向かいましょう。第2遊撃隊がいなくとも、『比叡』の進路を考えると、小鹿島に向かっているでしょう。復旧させれば敵輸送船への攻撃も可能性が出てきます。」

「わかった…小鹿島の最短航路をとる。船長。頼みます。」


 最近AIに資料捜索を手伝ってもらうことにはまってます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ