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少年期-3 山本権兵衛

 25日休みの5の倍数投稿です。

「お待たせいたしました。『桜花』の作者をお連れしました。」

 応接室に通されると、山本は握手を求めてくる。彼に驚きの顔はない。どうやら接待人が2人の情報を事細かく教えていたのだ。

「申し訳ありません、手が汚れていますので…」

 2人の手はインクと豆と血の跡それにより壮絶な状態だった。新聞に載せる漫画を描くのは彼らだけであったし、勉学もある。ゆえに手は汚れていた。

「構わん。私は軍からの要請を聞いてもらいたくて来たのだ。しかも極秘裏のものだ。さらに意見を聞いてこいとの命令もある。」

 そういうと山本は2人の手を握る。

「どのようなご用件ですか?」

 速水が口を開く。

「申し訳ないが『桜花』についてだ。これ以上の発行を中止してもらいたいんじゃ。あれは今後の世界を変えかねない…軍の上層部の一部はそう考えておる。」

 山本権兵衛が単刀直入に理由まで添えて要請してきた。だがその言葉に驚きと動揺を見せている中、田中義三が口を開く。

「同意見です。ですが公表してしまったものは戻せません…。『桜花』以降の作品で酷似したものを考えているものはありません。」

 今度は山本が驚く番だ。周りが驚きの中にある中で彼だけが思考をしていた。その胆力と状況を読む力についてだ。

「基本的に過去の歴史ものをやろうと思っています。予定では『三国志の赤壁』が次の話です…。」

 山本に説明している途中で話が途切れる。だがその先興奮した声が義二から出る。

「義三!!海軍の方なら船のことを知っておられるやもしれん。ご協力をお願いできないだろうか!!」

「だったら『赤壁』と『元寇』は後回しだ。次は長編だけど『義経記』にしよう。」

 2人は自分の世界に入っている様子を見て速水が2人に拳骨を落とす。痛いというよりは注意の程度の強さだが。

「申し訳ない…」

「若者はその程度でよい。儂の昔はもっとひどかった…」

 山本はしみじみする。自分が海軍兵学校生だったころ教官にすら逆らう反抗期少年のような状態だった。

「黒歴史?」

 ボソッと義三がつぶやく。

「面白いたとえをするな。」

 山本は鼻を鳴らすように笑うとつぶやく。黒歴史という表現はこの時代には存在しない。だが意味は通じたようだ。

「話を戻しまして、『桜花』については同意見です。すでに出回っているので絵は違えども贋作は簡単に作れます。流布を止めることは困難です。」

 話を正常な流れに戻すのは速水だ。

「確かにな。で、次の問題は今検討されている憲法についての話なのだ。速水殿。これは機密。新聞に載せるなよ。」

 山本は1枚の書類を出してくる。

「なるほど…答えは簡単です。2文字なくせばいい…」

 田中義三はその紙に書かれた内容を見て即座に言葉を紡いだ…

 ここから登場人物が増えてゆきますよ…

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