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少年期-2 漫画家田中

 芸備日日新聞は現在の中国新聞の傍系の一つですね。かつては中国新聞と互角にやりあっていたのですが、吸収されてしまった新聞です。

 ここ最近中国新聞さんといえば偏向報道を安芸高田市関連の偏向報道が有名ですね。まあ、今回の話では全く関係ありませんが。


 およそ2年後 1887年

 田中義三、義二は速水勝三の作った速水社に表向き丁稚奉公として入った。ただしほかの丁稚とは扱いが違う。江戸時代の丁稚奉公は大体12歳ぐらいからだったことを考えればかなり若すぎる。

 そもそも学制があるので学校に通わせないことはアウトだ。

 この当時の学校制度は就職の道を別とすると基本6歳から義務教育4年の尋常小学校、その先2年の高等小学校、5年の中学校を経るとその先の学校は専門学校に行くか教師学校に行くか帝大に行くか軍の士官学校に行く世界だった。

 だが当の2人は一部においてすでに高等小学校入学程度の能力はあった。学校に行かせてもらえていなかった状況を考えると異常だ。よって事実上の書生として扱われていた。

 戦前において篤志家が貧しい学生などを家に置き、家賃代わりに家の手伝いをさせることはよくあった。それがステータスにもなる。彼らの場合、家の手伝い+仕事の手伝いで学費まで出してもらっている稀有な例だろう。

 なお、学生寮の整備が進むと、このような就学目的の書生は少なくなり、政治や作家などの特定分野を学ぶために書生となるものも多くいた。

 古代中国の食客制度に似ているところがあるのかもしれない。

 特に速水は学校にわざわざ出向いて彼らに過剰な科目の免除と不足している科目の集中的な補強について袖の下を渡してでも要請しているほどの入れようだった。

 そのような中、彼らは新聞に漫画を投稿し続けた。

 そしてほぼ2年後、現在でいう単行本化して全国販売に踏み切った。

「田中兄弟。売れに売れているぞ。それこそ東京まで君たちの名前が広がっているぞ!!」

 興奮気味に部屋に入ってきたのは早速 勝三だ。

「そりゃーよーございましたね…」

 それに生返事するは田中義三だ。彼らは資料の山に埋もれている。歴史漫画を描くと決めてから資料を集めに走った。

 こういった資料を持っているであろう公家や武家のいわゆる華族に手紙を書きまくった。曰く「持っている歴史資料で作品を書きたいので写本が欲しい。」

 これに多くの華族が答えた。自分の一族の勇名を宣伝してくれる行為は社交界で有益だからだ。

「比較的短めでできそうなのはどれかな?」

 義二が書類の山の一覧と分類表を見ている。

資料を読むのも時間がかかる。一部の方々は原文と意訳文まで添えて送ってきた連中もいる。なお、「いろいろ集まるから読みやすいものから手を付ける予定」という文言を書き足した影響の模様。

「資料の多さは義経記かな?ですが読む量も多いので時間がかかるかと。あと楽なのは対馬かな?戦一つ分書くだけで数日間の記録だし…そもそも「桜花」売り出す前から宗家(対馬の氏族)に金払って複写してもらっていたから情報もあるし…」

 義三が速水を無視気味でいう。後半の文言は未来の記憶で対馬戦記に近い漫画とアニメが出ているので当の本人が書きやすいという意味でもある。

「次の種は決まっていないんだな…」

 速水はその様子を見るだけで察した。でも安心するこの連中でも悩み苦しむことはあるのだと。

「国外に手を伸ばしてみますか…例えばアメリカは独立戦争や内戦したばかりだから話の種はいろいろとありそうだ。」

「それだったら三国志でいいんじゃない。」

「それもありだな…赤壁あたりなら問題はないだろう。」

 どうやら種は決まったようだ

だがそれ以上に問題がある

「ところで速水さん。絵の上手い人手配はできましたでしょうか我々だけでは手が回りませんよ。」

 あの程度の本を週・月単位で出さないと…商売あがったりだ。人手が足りない。

「探してはいるがね…君たちのような子供と働きたくはないみたいでな…」

「場所を埋めてくれるだけで構わないのです。だから私たちとは別口で全くかまいません。忙しすぎて毎日の連載はできませんよ」

「わかったよ。で、本題だ。お客が来ているぞ。」

「どなたでありますか?」

「とんでもないお方だ。至急来てくれまいか?」

「御屋形様…そんな方忘れていては問題では?」

「今、信頼できる者に任せている。」

「では向かいます。どのような方なのですか?」

「海軍大臣の伝令役山本権兵衛という方だ。」


 何でここにも有名人が?

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