ᓚᘏᗢ うちの猫が登山する山は本の山 ᗢᘏᓗ
今日も物音がしていたので、そちらに視線を投げかける。
猫が本の山を登頂していた。確かにところどころ高低が適度な段差になり、運動には持ってこいなのかもしれない。でもそこは山ではない。
手で床を叩いて、こちらに意識を向けさせようとするが気付かない。いや気付いても無視している。
口笛を吹く。口笛吹いてしばらくすると漸くこちらへと大きな眼を送ってくる。
視線が合う。おいで、と呼びかけるもそのままそこで寛いでいる。
仕方がないので、本の山の麓へ行き、猫に拳を向けた。猫が手にスリスリと頬擦りをする癖が出来ている。
寄ってきたところを捕獲ッ!
また別の日。うちの猫がまた登山をしていた。
その日はまだ登頂していない途中の場所にいたので、本の山の麓から簡単に捕まえることができた。
夜中、ふと本の山に視線を向けると視線が合う。猫がくっ付いて寝ていないから、ちょっと気になって視線を向けただけだ。でもいた。
しかも丸まって本格的にそこで寝ている。脚を崩して毛繕いをしていたようだ。
近づいて、でも手が届かない。
本の山の一部に足を載せ、本棚に手を掛け、登頂している猫に接近する。
音を立てて足元が崩壊。片付けてない、箱にも入れていない本は足場には向かなかった。また猫が何度も登頂することで並びがズレていたのも要因だ。
他の足場を探す。
本棚に寄って、ちょっと無理な姿勢で足場を確保し、猫へと手を伸ばす。
猫の脇へと掌が入り、何とか引き寄せることに成功する。
そして登頂する経路に段ボールを置いて封鎖しておく。
朝、物音がするので見ると猫が本の山に登っていく。
折角の経路封鎖は中身がないから移動させられた模様。
本の山へと急行すると猫が引き返し始めた。何度も捕獲していたために学習したのだろう。
下山を見送ると、本の山の封鎖している段ボールの箱の位置を変えてみた。
――ゴドゴサバタ。
雪崩が起きた。本の山の麓が崩れたのだ。
もちろん犯人はその場にいた。当然ウチの猫だ。
猫は器用に段ボールの封鎖を乗り越え、さらに上から空洞の箱へ入ろうと狙っていた。
明らかに箱全体の重心が猫によって本の崖ギリギリにあるのにもかかわらず。
私は慌てて、そばへと駆け寄ると、猫が気付いて下山し始めた。
雪崩の音には関心がなかったようだ。
昼間は外へ出かけているようではある。
だが寒くなるとお出かけは控えているのだろう。
だから家で遊んでいるんだと思われる。
でもそれは猫のための施設じゃない。