第1章 運命の銃砲声
寒い夜明けで、大聖堂の塔の時計がちょうど5時を打ったところで、夜明けが近づいていた。しかし、遠くから聞こえてくる轟音は平和に見えるこの美しい景色に若干の不安な雰囲気を加えた。
ジャニス·ラインホルト中将は、都心の真ん中にある女神像の下に立って。歳月の変化を経て、色あせて苔が生えたが、依然として彼女の魅惑的な姿と美しい姿を見ることができる女神像はこの民族に強い生命力と不屈の闘争精神を与え、祖国独立のための戦士たちは祖国に対する愛と自由に対する渇望を女神像に託した。異国の地、さらには敵の刑場でさえ、真っ黒な銃口の前でびくともせず、一つの民族が雄大な生命力を持っていることを示している。ラインホルトは自分がこの国のために血なまぐさい独立戦争で奮闘して戦った各種の戦記を思い出した。当時、彼は祖国の独立のために走り回った。 彼はその時とてもハンサムだった。今彼の顔はやせてあごの骨は突き出ているが、目つきは非常にしっかりしている。これは激戦の後、あらゆる試練を経験した跡が残っている顔で、女神像をじっと見つめた後、足早にやってきた若い将校に目を向けた。
“将軍様”と将校の声は荒々しく緊迫していた
“現在、軍隊は大統領宮の前で足止めされている。私たちはラジオ局、警察本部、その他の首都中心部の大規模な公共施設を支配していますが、だがね…」
“ラジオ局を占領したじゃないですか。政府軍は国民に対する私たちの通知を聞くべきです！”
ラインホルトの目は次第に冷たくなり、彼は自分が祖国の独立闘争のために心血を注いで国家独立後に生まれた政府が彼に崇高な地位と厚い待遇をしてくれたが、独立後数年も経たないうちに新政府が無能と腐敗を露呈し、国内物価が急騰し、人々の言論の自由と思想の自由が深刻な弾圧を受けていることを知っている。最も重要なことは、列強は常に新国家樹立に敵対的な態度を取ってきた反面、大統領は議会併合に追われ、権力を独占し、軍事力と政治力の二重独裁者になろうとしているという点だ。今、自分の軍隊にいた戦友たちは大統領のスパイによって様々な理由で一人ずつ殺害され、自分も政府機関内の友人たちによって次の殺害対象になるという話を聞いたが、自分の身も命も維持できず、国家な状況をどうやって変えることができるだろうか。自ら軍隊の力を動員してこそ、独裁大統領を投降させ、権力を明け渡すことができ、そうしてこそ、国の現状を変える希望がある。
“大統領は、自分を裏切った者には絶対に投降しないと言い、我々を一つ一つ大砲で粉々に砕くと豪語したが…”
“彼は何の冗談を言っているのですか。この国で唯一の戦車部隊が私の指揮下にあるのに、彼が私に何の切り札を持って騒ぐのか…”
“閣下、意味は...”
"命令を下せ！歩兵部隊が先に後退し、戦車を先鋒に立たせることで、大統領宮の警備隊に圧力をかけることになり、私は、この前の世界大戦の時に残されたぼろぼろの大砲をいくつか持っていた大統領の護衛隊が、どんな抵抗力を持つことができるのか、信じられなかった。待って！！”
ラインホルトの視線若い将校をきつく締めつけをする。
“大統領宮に向かって発砲することはできない。たとえ相手の軍隊がどんなに傲慢であっても、私たちはその神聖な場所を汚すことはできない。大統領宮を破壊すれば、私たちは国民の支持を失うことになる。また、海軍総司令官を訪ねて、大統領に圧力をかけることができるか確かめなさい。もしあのばか独裁者が道理をわきまえないなら。海軍総司令官に一隻の砲艦を送るようにお願いして私たちを支援してください!”
“はい！”と将校は敬礼の後、急いで立ち去り、ラインホルトは女神像の下に立ち、長いため息をつき、それから再び敬虔な目で女神の姿を見つめ、黙々と祈りをささげた。彼はこの戦いは死に物狂いで戦わなければならないことを知っていた。彼はこれ以上大きな流血の戦いが起こらないことを望んでいなかった。この新生国は戦争にうんざりしている。
“大統領閣下、ラインホルト将軍が最後通牒を送りました。彼の戦車部隊が大統領宮のすべての脱出口を塞いだので、私たちは…” 大統領の隣に立っていた秘書が大統領の肩を軽くたたいた。
“黙れ！” と大統領は目を大きく見開いて、血管がぎっしり詰まっていて、長いため息をつき、やせ細った手で汗まみれの額を触った。その銃声はちょうど静まったところですから。護衛隊は、大統領宮の入り口に積まれていた兵士の遺体を運び出し、クーデター軍と対峙しており。夜が明けた今、彼は残った兵士たちをどのように率いて包囲網を突破するか悩んでいる。
“以上何の措置も取らなければ、ラインホルトが大統領宮殿に発砲するのではないかと心配しています。 その頃には···。"
“彼はあえて！！！！”
大統領は秘書をにらみつけ、秘書は萎縮して後退した
“私は独立戦争の元老であり、臨時政府委員会がこの国の建国大統領に選出した。これは合憲だ！ラインホルトは憲法に背く行為をした。それは…”
“大変だ！”と将校が力強く突進してきた.
“どうして、こんなに失礼なんだ！”大統領はどなりつけた。
“海軍総司令官が砲艦を派遣した。大統領宮の近くの川岸を通り過ぎた。降伏しなければ、我々に発砲すると言っていたのだ！”
“え？”大統領も秘書もびっくり仰天したが、今は本当に選択の余地がない。
“閣下！”ラインホルト将軍が、きちんとした服装をした紳士の群れを連れて大統領執務室に乱入すると、大統領は、ラインホルト将軍をじっと見つめ、その隣にいる紳士は、閣僚や国中の官吏、そして国民の代表者であった。
“大統領閣下、そろそろ時間です！” ラインホルトは冷ややかに言った。
“おまえら、おれを裏切るなんて！”大統領が急に立ち上がり、多くの人をにらみつけ、額に汗がぽたぽた落ちた。
“裏切り？”老いた役人が大統領の鼻を指さして出てきた。彼は議会の副議長だった。
“憲法に何が書かれているのか言ってみろ、議会を解散するという話があるのか。中に役人を殺すという話がありますか。コンスタンティン、私たちはあなたが祖国の独立のためにこれほど多くの貢献をしたことを見て、君をこの国の初代大統領に選出しました。それでも、議長、軍副司令官、そして20人近い政府高官を死刑にするなんて、私でさえあなたの秘密警察によって暗殺されるところでした！私たちが貴様を裏切ったのでしょうか？それとも貴様、自由を裏切って、公民意志を裏切って、憲法を裏切ったのか！”
コンスタンティン大統領は椅子に倒れ、両手で額を抱えながら無気力に話した。
“どうしたらいいんだろう？”
“どうしよう！！”副議長が大統領の前の机を平手打ちすると、大統領はびっくりした。
“貴様の権限は議会にある！議長は2ヵ月前に殺害されたのだから、憲法上、私が議長職を代行しなければならないのに！貴様が憲法を裏切ったのだから、当然罷免されるべきだ！”
“彼を罷免しろ！”“そうだ！この暴君を罷免せよ！”
ラインホルドは何も言わず、コンスタンティンは真っ青な顔でテーブルにうつぶせになっていた。
“さて、私は議会を代表して宣言します！”副議長は声を張り上げた
“グスタフ閣下、お願いだから、私の顔を立ててください。自ら辞任を宣言するのはどうか”と述べた。コンスタンティンは突然立ち上がり、副議長に哀願した。
グスタフは、“あなたは？だめよ！”と、彼の要求を容赦なく拒絶した。発表を続ける
“コンスタンティヌス現大統領を議会の名で罷免する！”
グスタフは振り返った後、冷たく前大統領を見た。
“彼を護送し、厳重に監視し、彼の罪はゆっくりと清算しなさい！”
2人の将校は青白いコンスタンティンの腕を組んで、彼を大統領執務室から連れ出した。
大統領秘書官はグスタフ氏に、“憲法上、あなたが議会の首長である以上、直ちに国家元首に就任しなければならない”と静かに話した。
「いや！」グスタフは手を振った。“私は年をとっているので、就任できない。まして今回のクーデターの首班を国家元首に任命しなければならない。”
“ラインホルト将軍を大統領に任命しなければならないという意味ですか？”
“だめだ！”ラインホルト将軍は首を横に振った。
“私は軍人です。大統領になれば、憲法の民主主義と自由を破壊するでしょう。グスタフ閣下に悔しい思いをさせて、次期大統領に就任してください。"
“軍事クーデターを起こす勇気があるのだから、このすべての結果に責任を負う勇気がないのか！ ”グスタフは声を張り上げて言ったラインホルドはうつむいて黙って群衆のそばに立っていた。
“国内の現状を一日も早く変え、危機に瀕した国を変えなければならないので、議会の首長として有能な人を大統領に選ばなければなりません！”
グスタフは手を伸ばしてラインホルトを引っ張って椅子に座らせた。
“私は議会を代表してラインホルドが新しい大統領だと宣言します！”
「万歳！」みんな帽子を脱いで歓呼、ラインホルトは途方に暮れている。
“一日も早く声明を発表し、大統領就任を宣言すべきです、将軍！”グスタフ氏はラインホルト大統領の耳元でささやいた。ラインホルトはうなずいた。
その日の昼12時，全国の民はみな国営放送局を通じてこのような公告を聞いた：
“私、ラインホルト、自由の意志に忠実で！
非道な暴君を倒した。今、私は議会によって大統領に選出されたのだから
憲法を守り、国を守り、国民の自由と国民の福祉を増進し
列強の敵視から国を守り、誠実に大統領の職務を遂行するために努力する。
厳粛に神の前で、崇高な女神の前で、神聖な憲法の前で、国民の前で厳粛に宣誓せよ!”
ラインホルトは宣誓文を読み終え、マイクの前に立ってため息をつきながら後ろに立っている政府関係者たちを見た。
“新しい共和国時代が到来した！”
ラインホルトが声を張り上げると、後ろにいた役人たちは皆思わず声を上げた。まっすぐに立つ
“現在の国名はもはやスエビア共和国ではなく、スエビア連邦国に改名されました！
私は軍人として、今日から私は国防軍の総司令官の職務に就き、階級は中将から大将に昇進した。
新しい政府が樹立されれば、新しい憲法と新しい法律を公布せよ！君たちは早くこの仕事をよくしなければならない!まだまだ先は遠い！”
“はい、将軍様！”吏たちはラインホルトにおじぎをした後に退いた。
ラインホルトはゆっくりと門を出て、血走った目で空を見上げた。青空には白い雲がなく、静かな午後で、かすかな火薬の匂いだけが混じっていて、ここで何が起こっていたかを思い出させる。
“新しい運命がやってきた……”
