ソロは現状を聞かされる
ヘルメースが少し咳払いをして話し始める。
「現状、プレイヤー総数は大体5万人弱…これは運営側が開示している情報であり、その中でエイン様を知っているプレイヤーは大体7、8割くらいであり、その中でも実際会って実力を知る者は5割程でしょう。」
「そこでエイン様への勧誘をしないよう呼び掛けるだけでは、我々の信用だけでは物足りないためエイン様のヘッジザラゲストでの功績をいくつか掲示板サイトにて載せたい所存です…よろしいでしょうか?」
「構わん…が、盛ることは許さん」
「もちろんですとも!それではタイチョウ手筈通りに頼むぞ」
「分かりました………では、失礼します」
そう言ってコーヒーを飲み干して代金を置いて去って行った。
「既に想定した範囲内だったか?」
「いえいえ、最初の方から想定を遥かに超えておりました」
「そうか」
「…………」
ちょうど良く店主がおかわりを持ってきたのでまたコーヒーを飲む。
「それでは次に我々のようなプレイヤーギルドと有名なプレイヤーについてお話しても?」
「ギルドは関わることがないであろう?プレイヤーもこっちから関わることがなければ知らくても良いだろう」
「左様でしたか…では、ソロで活躍されるのですから現在の攻略状況や各地のボスについて話させて頂きます」
そう言いと手書きの地図を机に置いた。
「この地図自体はどこの組合でも発行しているもので、今居るのがここ[ハンダロ]でこの土地自体はこの交易港のある[ヤハロ]と合わせて[ノーディシス帝国]と[ミレニシス王国]が管理している土地です」
「そして…失礼ながら顧客から通信が入りました」
コーヒーを飲みながら手慣れたい手つきでインターフェイスを操作して席を離れた。
その間にも新聞を見ているといつもとは違いチラシが入っていた。
[プレイヤーの方々へのお知らせ]
第2回プレイヤー最強決定戦の日程について
開催日:6月10日〜6月13日
開催地:ノーディシス帝国の大闘技場
内容:個人戦(6月10、11日) 団体戦(6月12、13日)
参加方法:最寄りの組合員にお問い合わせください
ルール:
・個人戦
制限時間:10分 場外判定:あり アイテム使用:一部あり
・団体戦
制限時間25分 参加人数:1〜6人(従魔も数える)
FF:あり 場外判定:なし アイテム使用:あり
優勝賞品
個人戦:称号〔第2回優勝者(個人)〕、イベントポイント1000
団体戦:称号〔第2回優勝者(団体)〕、イベントポイント1000(パーティそれぞれに)
準優勝賞品
個人戦・団体戦:イベントポイント500(パーティそれぞれに)
参加賞
イベントポイント100
なお、イベントポイントはインターフェイスにあるポイントから消費ができます。
参加締切日:6月9日まで
「お待たせいたし…なんですかそれ?」
「…イベントのお知らせだ、ほれ」
「おっと…これは………」
挙動不審に周りを警戒して先程と違って小声で聞いてくる。
「エイン様、これどこから入手しましたか?」
「新聞に挟まってたんだが?それがどうした」
「!新聞か、なるほどだからか……有益な情報ありがとうございます」
「そうか…」
「いや、先程の通信でイベント情報をいつも早く仕入れるフレンドが居まして、ちょうどその話でお金が飛びましてねぇ…」
聞いてもいないことを喋り出すヘルメース。
仕方がない、そろそろ言っておきとするか。
「なんで早くs「ヘルメース」!はい」
「俺はずっと貴様が貴様のギルドの件について謝罪するのを待って居るんだが?」
俺の言葉にヘルメースは少し困惑していたが直ぐにハッと気づき立ち上がる。
「今回の件があったから謝罪の場を設けたにもかかわらず、人を試したり、聞いてもいない情報を話したりと、かなり待ったが最初に言わないことから察するに忘れていたな?」
「…………申し訳…ございません…」
「まあ、この事についてはどうでも良い貴様があのヘルメルスと同じように自身の話を聞いて貰いたいという欲が先走っただけだろう…それで、落とし前はどうなった?」
「…はい、その事については…まず賠償金のついてですが、先程の予想通り失念しておりまして用意できておりません。
付きましては後日エイン様の宿までお届け「それならば少しいいか?」はい…」
「まあ、賠償金など貰ったところで管理に困る。
となると代替して欲しいのだが、いいか?」
「はい、何なりと」
「ありがとう、と言っても私にではなく、昨日の朝から貴様のギルドに迷惑をかけられた宿の修復を頼みたい」
「修復…ですか?」
「ああそうだ、床の軋みがなくなればそれでいい」
「………分かりました、そのくらいのことであれば明日の昼までにプレイヤーギルドを向かわせます」
「頼んだ、そういった伝手がまだなくてな」
前のゲームだと家を建ててもらうときに酒場で意気投合した親方に頼んだが、このゲームではまだ知り合いが数えるほどしかいないから助かった。
「…それで次なのですが、今回の件に関わったプレイヤーの降格処分して「それはよい」…かしこまりました」
「貴様のギルドでの身分が下がったところで俺に関係ない。
それよりも、朝食は食べたか?」
「え、い、いえ、まだです」
「そうか、なら朝食にするとしよう…すまない、いいか?」
いつの間にか店主の他に娘さんも起きて来ていたので呼んで朝食を頼む。
「まあ、なんだ…久しいなヘルメルス…いや今はヘルメースか…」
「……覚えていらっしゃったのですね…」
「何、今までの言動で思い出したまでよ」
「……………」
「フフ…少し圧を掛けすぎたか?」
「…いえ、懐かしさに浸っておりました……エイン様」
「ん?なんだ?」
「その…この度もソロで活動為されるおつもりですか?」
「そうだ」
即答すると、少し俯きながらも再び顔を上げて苦笑しながら
「それでしたら、私どもも陰ながらお手伝いしてもよろしいでしょうか?」
「構わん、約束は覚えておるな?」
「ええ、邪魔せず、束縛せず、しかし互いのペースで生きる…でしたよね?」
「その通りだ…っとちょうど来たぞ」
机の上を片付けて朝食を受け取り、食べ始める。
「ふぅ…かなり美味しいですね」
「そうだな」
「そういえば、今回のイベントは参加なされるんですか?」
「…いや、興味はない……が、少し北のノーディシス帝国を目指すとしよう」
「…理由を聞いても?」
「そうだな…特にこれと言って惹かれるものはないが今ノーディシス帝国への直通のトンネルの工事で北に行っているし、他の場所にもいずれ行くであろうから、と言うのが一番の理由か」
「トンネルが…なるほど………でしたら寒さ対策をしっかりとしてから行く事を勧めます」
「なるほど、そうしよう」
「それとこれはあくまでも推測なのですが、なんでも各方角に居るボスモンスターをソロで討伐すると特典が出ると言う…あくまでも私どもの推測であるので真実性は低いのですが…できればで宜しいのですが…」
「…仕方ない…気が向いたらするとしよう」
「ありがとうございます、ちなみに此方がそのボスモンスターの情報と頻繁に出現する場所です」
そう言って4枚の紙束を机に置いた。
確認するとボスモンスターの名前と攻撃の特徴、そして目撃場所が書かれたものだった。
…ん?コイツは…
[デーモンベア]
両腕を振り回して攻撃し、その威力は岩をも砕く一撃である
威嚇行動にデバフ効果を付与してくる。
デバフ内容としては足が動けなくなるやパニックになる。
ただ威嚇範囲は狭くプレイヤーによってはかかりにくいと推測される。
主に東の森深部の洞窟を縄張りにしている。
「…?どうかしましたか?」
「…コイツやはりボスモンスターだったのか」
「え、ま…まさかもう?」
「獲物を探して、逃げ回られたが倒したな」
「…( ゜д゜)」
「まあ、いい…とりあえず情報ありがたく頂こう」
「…は!ええ!あといつでもお気軽にお声掛けください」
そう言うとインターフェイスをさっさと操作すると、俺の目の前にインターフェイスが勝手に開いた。
[フレンド申請が届きました]
ヘルメースさんから申請が来ました。
フレンドになりますか?
〔はい〕〔いいえ〕
「この機能を使えば戦闘中以外であれば10分ほど通信できますし、ログインして居なくともメールを使えばやり取りが可能になります」
「…そうか」
とりあえず〔はい〕を押すと、フレンド一覧に【ヘルメース】が追加され、〔メール〕と〔通信〕が増えた。
「…さて、そろそろ行くとしよう」
「そうですね、お代は此方が持ちます」
「……いや、自分の分くらいは出そう、情報代の代わりとしてな」
「…分かりました」
いつも通りお代を払ってヘルメースと分かれて、早速貰った情報をもとに狩りに向かう…。
最近知ったんですが
喫茶店ってお酒とか料理って出さないんですってね
と言っても、どうやら今年の6月辺りに改正されるそうですし、この小説は今から未来の空想ですし問題ないと考えますのでコーヒー喫茶店の営業は違反では無く合法なのでモーマンタイという言い訳でした。
次回もゆっくりお楽しみに