詰めと攻勢
その男は自身の荷物をまとめ終え、戦場になっていた場所からこっそりと正門から抜け出ていた。
当初の作戦どころかこれからの作戦に対して障害となり得る者の情報を片手に。
「っち、後少しで国をモノにできたのに」
そんな愚痴を溢しながら夜明け前、日が顔を出す気配と同時にその殺気に、自身の近くに迫っていた男の手が肩に乗る。
「お粗末だな、もう少し早く撤退する事ができればすれ違う事もできただろうに」
「!?」
手を振り払おうと勢いよく飛び退こうとするが、飛ぶことすら叶わず身体が硬直する。
「な、何のことですかね…僕は残党が居ないか警戒を」
「ほぅ、そうかでは何故誰にも何も告げず、部屋も空にしている?」
「ッ!」
それに応えようとする間もなく足の甲を踏み抜かれる。
嘘が見抜かれた男は唯一動かせる腕を使って背後の男に裏拳を当てようとするがそれすら読んでいるとばかりに大きく長い耳に受け止められる。
「師から仕事は早く済ませるコツを聞くべきだったな、それとも踏み台にでもされたか」
「それはどういう事だ」
「総長!それにハヤテ?何かありましたでしょうか」
「あ、バレンタさん助けてください!この人にPKされそうなんです!」
先ほどまでの鋭い気配から今までの猫を被った声色で仕事を終えてやってきたバレンタに救いを求める。
そして少しの油断を見つけてその時…
「そうか、やはり貴様がネズミか」
「…え?」
「気づきが遅い、隊をまとめるのであれば疑わしきは罰するのが基本であろう」
「はい、全くもってその通りかと」
「そう言ったことはヘルメースを見て覚えろ」
「な、なんで」
バレたことの動揺とバレていたことの羞恥で声が震えながらもハヤテが問う。
「答えるとでも?生憎俺は貴様の師匠でも先生でもないからな師匠に聞け」
「だそうだ、まあ大凡KKから気配の動かし方と対人のコツを聞いて勝てていたから有頂天とでもなったか?まあどうでも良いが丁度いいどうせここで殺しても本陣で再度戦うのであろう?その時にでも師匠にでも聞くといい」
「ッ!こn」
「ふんっ」
「さらばだ」
せめてもの報いと蹴りを入れようとした一瞬のうちにハヤテの身体は宙を舞っていた。
そして一息置く間もなく脳天と心臓に銃弾を撃たれその姿は砕け散った。
「PKどもは本陣んで復活か」
「恐らくはヘルメースの情報では復活は1日1回で死んで2時間のインターバルがあると、敵本陣の教会さえ抑えれば問題ないかと」
「我が王、ご報告に上がりました」
「よいここからでも聞こえている…ネズミ取りは終え蛇の脅威もないだろう、戻るぞ」
「左様で、にしてもハヤテ君も運が悪いねー」
「こう言っては何だがウサギが過ぎたな」
「ネズミにヘビに親玉はウサギ、本当に足掬われたけど小物だったねぇ」
「であれば貴様らもぬるま湯に浸かり過ぎたな、メリハリが足りておらんようなら考えるが?」
「いえいえ滅相もない、挽回する姿をとくとご覧頂きたいところでございます」
「私も精進して参ります故、総長はゆっくりなさって頂ければ」
「そうか?だが生憎俺も直接依頼を受けた身だからな後詰めは任せるが大物取りは俺が仕切るいいな」
「「仰せのままに」」




