ソロは最終防衛ラインの内情を知る
お待たせしました
最終防衛ラインであるナガルタの外壁は所々綻びがあり、ネズミにヘビに忍び込まれやすい状態であり、門もほとんど機能していない状態であった。
「あらら、結構前に来たことあるけどコレじゃあ負けるのも時間の問題だったんじゃない?」
「大声では言えんがそうだろうな、先ほどの増援が着き次第攻め込まれて終わるところだった。
正直言ってタイミングが良かったとしか言いようがない」
「エイン様、如何されますか?」
「俺は一先ず地形を把握する為に街を見て回る…貴様らも好きにしろ」
「かしこまりました、それでは先に宿を整えておきます」
「じゃあ、僕は知り合いと狩りして来ようかな」
「ッチ、やはり間者が紛れていたか」
「安心しなよ、師匠が来たんだから潮時って事で引き上げか協力かを聞いて選ばなかったらやっとくからさ」
「信じれん…が、総長関係で嘘を吐くほどの度胸も無いであろうから本当であろう」
「あ!バレンタさん!」
先ほどから様子を伺っていたプレイヤーの一人が近寄ってくる、一瞬だがKKが反応したが直ぐにその場を離れていった。
「ん?ハヤテか」
「外に出たって聞いて自分も一緒にと思ったんですが……この方達は?」
「ああ、紹介しよう。
この方は私の師匠のエイン様、隣にいるのが勇者の称号を持つユウマだ、他にも2人強力な助っ人が来た。
総長、この者はハヤテ、ここのプレイヤーの中で私に次いで強者です…では、私は作戦会議室で話し合いをしてきます」
失礼します、と敬礼した後にキビキビとその場を去って行く。
残ったのは中途半端な自己紹介をされた3人だったがエインはすぐに街の散策を始める。
ユウマは疲れていたのか少し間を置いて宿の方へ向かい、ハヤテはエインを追いかけ質問する。
「エインさんはバレンタさんの師匠なんですよね?やっぱり遠距離武器とか使うんですか?」
「……………」
「え?無視ですか?まあ、手の内を知らないプレイヤーに晒すのは嫌ですよね?僕は別に気にしませんが、僕は僕の師匠と同じ短剣の二刀流です、これでささっと」
「…………」
エインが話しかけてくるハヤテを無視して教会に入り
、その中の様子を見れば…野戦病院のように所狭し怪我人や子供が長椅子に体を横にしており、神官や医者が忙しなく動く。
その中で若い女性が近寄ってくる
「すまないねぇ、今は回復薬も食料も少なくてね、見たところプレイヤーさんだろう?少しで良いから恵んでくれないかね?」
「ああ、良いぞ」
「あ、いや待ってくださいよエインさん」
「まだ居たのか…待たせたな、これくらいしか無いが納めろ」
「いえいえ、これだけ頂ければこれ以上は罰当たりですから…そうだ、御礼としては些細なもので悪いけどコレを」
「受け取ろう、では邪魔したな」
[『オアシス神の札守り』を手に入れました]
御守りをアイテムボックスにしまい教会を後にする、少し遅れながらもハヤテが後をついてくる。
「な、なんで、なんであんなに食料を渡しちゃったんですか!?アレだけあればプレイヤーが攻める時の兵糧に」
「知らん、貴様ら寄せ集めを俺は兵士とも傭兵とも思っておらん、ここまで逃げてきたゴミにやるより、この世界を生きる者に与えた方が十分有意義だ」
「な!ぼ、僕たちだってずっと戦ってきた戦士ですよ!それを」
「戦士であれば戦って死ね、自分の命の為、今後の為など戦士の言い訳としては見苦しい。
それと貴様のような後ろ暗い奴が着いてくるのは非常に鬱陶しい、不愉快だ…分かったら失せろ」
「ッ!!」
倒れはしないもののエインの軽い殺気を受けたハヤテはしばらくその場を動くことができず、動いたのはそれから5分もした後だった。
一方でバレンタは王権派の主格であるセイテン第一王子の下へ戻ってきた。
「戻りました、無事助っ人を迎え入れました」
「報告の続きを頼むバレンタ殿」
「はい、先程西門近くの小山にある敵の陣でしたが、今先ほど助っ人の方々に潰していただいており、後ほど回収した物資を街に配給します」
「!まことか!先程は最終的に100以上の規模と聞いていたが!」
「はい、先に言いましたが今回来たプレイヤーは私のギルドから1名、ギルドマスターの友人、他国でも有名な勇者の称号持ちのユウマ、そして私の師匠が来ました。
もはや私たちは防衛に徹するだけでも勝利はできるでしょう」
「そうか……しかし先程は100程ではあるがこちらから攻めるとなればそれ以上…それこそ桁違いの数だが」
「ご安心を今回来たギルドメンバーのマメメは私以上の実力者であり、ギルドマスターの友人KKは悪名で有名ですが腕は私と…まあ、互角と言って過言ではなく、ユウマはその者と同格。
そして私の師匠は昔、国を幾つも敵に回して尚1人で全てを沈め、プレイヤー…否、この世界でも最強である」
「…なるほど、であれば是非とも会ってみたい。
直ぐに呼べるか?」
「………残念ながら応じるとすればユウマくらいでしょう、マメメも仕事が終われば応じますがKKは来ないでしょうし、師匠は気まぐれなので」
「それでもいい、我々の命運を握る勇士の顔を見ておきたい」
「…かしこまりました、少々お時間をいただきます」
「ああ、頼んだ」
部屋を出て直ぐにメールを飛ばして返事を待つ。
マメメとユウマは直ぐに返事が帰ってきており両者とも迎えるとの事、そして意外にも総長も来れるとの事、さらにKKは既にこの街のPK…と言うよりここ限定でのPK専用掲示板に書き込みと本当に知り合いに言いふらしただけでいつでも行けると返事が来た。
次回もかなりスローペースですがお待ちください




