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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode5 温厚ではあるが温情はない
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災害『天変地異-後編-』

 9時間後


「不味いな」


 襲い掛かってきた金剛雪より少し小さい熊から採れた肉を焼いて食べたが血が多く、焼きも甘く何より食べにくい。


 面倒だがヘルメースにでもやっておくか……唯々体力だけ多いからサンドバックになると思ったがノックバックに弱すぎて話にならん。


 苛立ちも収まらないから殺気も膨れ上がって小物も寄ってこんなった……仕方ない、こっちから出向くか。


「豪雪、来い」

『…唯ならぬ殺気は主の仕業か、豪雪契約者の呼び声に参上した』

「帝都上空まで運べ、降下する場所はこちらで決める」

『かしこまった…がその前にその殺気をどうにかせぬか?ここら一帯の』

「却下、抑えるのも面倒だ、それにそれを抑えるために向かう。

 他に何か言いたいことがあるなら聞いてやる」

『………そうか、では行くとする』


 豪雪の背に飛び乗り楽な姿勢で座る。

 翼を大きく動かしてあっという間に上空まで行くと進み始める。

 雪が降っていたが豪雪が通ると雲が離れていく。

 後には見えずらいがオーロラも見える。


 少し雲が離れるのを見ているとあっという間に帝都上空までやってきた。

 とりあえずヘルメースの居場所を探ると城より北、屋敷の多い場所の一つにヘルメースの気配を見つけた。

 ついでにその近くに何か濁った気配もあったが、丁度こちらに気づいたのか〔通信〕を受け取った。


『お早いお帰りで』

「随分と悠長な事をしているな」

『す、すみません、首謀者が先日エインさんが倒した幹部の右腕が取り憑いており、手間取っているうちに協力者に乗り換えられて手間取りまして』

「幹部の右腕?そのような奴に手間取るとはな……まあ良い、屋敷から30秒以内に脱出しておけ、では切るぞ」

『あ、お、お待t』


 〔通信〕を切って少し…いや深く溜息を吐いて力を抜いておく。

 少し不安定な足場を屋敷の方へ歩き出す。

 あれくらいの大きさであれば何度もやった事あるから問題ないだろう。


「ここまでご苦労、下がっていろ」

『ふむ、地上と、ちと離れておるが問題ないか?』

「失礼無用、ではな」


 短く別れを告げて飛び降りる。

 耳を広げて地面スレスレで1、2回羽ばたいて残った勢いを地面に流す。

 ……ふむ、まだまだ慣れがいるか…。


「さて…この辺りでいいか」


 そうボヤいて屋敷の地面に手をつける……口から深く息を吸い込み

 深く吸った空気を吐き出して体に力を流す。

 憂さ晴らしも兼ねて本気でコレをやるのもあの時振りか…。


 思い出に耽っていると屋敷の正面2階の窓からヘルメースと…あれはイエニスか、その後ろから他も来ているが殺気が出ているという事は敵である。


「エインさん!」

「丁度だ…ふっ!!!!!!」


 下ろした腕を力一杯振り上げ、地を掘り返す。

 制限していない事もあって掘り返って行く地はやがて屋敷を飲み込み始め追手と思われる奴等ごと宙を舞っていく。

 そして直ぐに屋敷を貫き真後ろにあった高く強固な壁に亀裂を作り、そして亀裂をあっという間に崩壊させ、尚も破壊が続いていく音が聞こえる。


 とりあえず宙を舞っている敵を確実に一人ずつ手荒くHPバーを吹き飛ばす勢いで攻撃を当て地面に叩きつける。

 どれも他の住民と変わらないが3人ほど身覚える奴もいたが気にせず叩きのめして行く。


 全ての瓦礫が落ち切る前に全員を叩き落とし終え、ヘルメースの前に着地する。


「あーあ、スッキリした……おい、終わったぞ」

「………………」

「…はぁ、おい、惚けず後始末するぞ」

「…うぐ…グギギ、あり…えん…」

「……死に損ないか、仕方ない介錯してやろう」


 立ち上がった日本の着物…あれは着流しか?しかもこの顔どこかで…………まあ、興味のない事だから思い出す時間も要らんか。

 変な気配もあるが憑かれている…いや、違うか、意識はある故わざとに近いな。


「…あ、エ、エインさん!その方は協力者で」

「……なるほど、であればとばしてやるか」

「この、俺が、ジュラム様の右「去れ」う……」

『な、なん…ななななn』

「潔く幹部と同じ様に散れ」


 胸部を手で貫く勢いで突き刺すと場所が良かったのか、それとも元々この状態での防御力がないのか分からんがHPバーが一瞬にして消し飛び、そのまま放り捨てると消滅していった。


「コレでやる事は終わりか?」

「そ、そのはずです…あ」

『[調査団体]とその他1名が、[ワールドクエスト:帝都に潜む陰]をクリアしました』

『以降、ノーディシス帝国にて過激派魔族による侵略行為が縮小されます』

『また、本クエストに参加されたプレイヤーに〔称号〕【帝国の救世主】が付与されます。

 このアナウンスは本クエストに参加されたプレイヤーのみに伝えられます』

『一撃で広範囲を破壊したため〔称号〕【破壊の申し子】が付与されます。』

『一撃で建物を崩壊させたため〔称号〕【破壊の申し子】が【破壊の天災】へ昇格しました。』

『高耐久の施設を破壊したため〔称号〕【破壊の天災】が【破壊王】へ昇格しました。』

『一定回数急所に攻撃を与えたため一部システムを解放しました。

 詳細は〔ヘルプ〕を参照ください』


「予想通りワールドクエストでしたか…成功してよかったです。

 エインさんも力添えありがとうございます。」

「…ん、ああ、まあ、憂さ晴らしにはなったが…この[称号]はなんだ?」

「それは良かったです、〔称号〕はクエストで貰えたり、イベントで貰えるもので効果のない異名から効果付きのやつもあるんですが、まあ、今回のやつがそれですね」


 とりあえず確認を


『審査の結果、一撃で高耐久かつ重要施設の破壊をしたため〔称号〕【破壊王】が【災害王】へ昇格しました。』


「………」


 〔称号〕

【帝国の救世主】:ノーディシス帝国の危機を救った者

 ノーディシス帝国にて住民の好感度が最初から高くなり、上がりやすい。

 また、城内を事前に許可なく入れる。

 [装備中]


【災害王】:多くの者が畏れ、どの様なモノも災害の如く壊す者

 建造物や地形に対して攻撃がかなり通る。

 住民から好感度に関係なく畏れられる。

 [装備中]


「おお、これは良い〔称号〕を……え」

「む、どうし…ああ……まあ、そういう事だ」


 突然俺の顔、というより上のネームプレートを見て固まったヘルメースが更に突然膝を崩して話し出す。


「…ついに、ついに【災害王】の〔称号〕が…私ヘルメースは、今感動しております!」

「あー、まあ、見たら分かるだろうがあそこまでやったからな」


 指差す方向には見事なまでに崩れた屋敷後と聳え立つ壁を壊して瓦礫の山ができていた。

 幸い外には魔物も獣も居らず、すぐに入ってくる事はないだろう。


「そう、ですね、そうですよ、流石は我が王…あ、すみません」

「構わん、もう戻って良い…さて、それよりいつまで寝そべって様子を見ているつもりだ貴様」


 試しにいつも通りの感じで殺気を飛ばしたが、反応した奴は跳び起き両膝をついて…というか正座をして畏まる。


「申し訳ない、不意打ち等は考えていなかったが不快にさせてしまった」

「わ、我が王、この方はここより東の大陸の剣聖の一人、カグラノキミ様に御座います」

「…そうか、なら良い……楽にして良いぞ」

「許しに感謝を」

「……ふむ、やはりトンネル工事中の3人の内の一人だったか。

 あの程度、取り憑かれる前に斬れるだろうに…驕りでもあったか?」

「…ふふ、いやはや、その通り…護衛として買って出たがこの有様だ、驕り以外何もない」

「…まあ、俺としては八つ当たりに丁度いい事だったからこれ以上は何も言うまい…が、ヘルメース」

「は、はい!何でしょうか我が王」

「この国の王に話をつけに行くぞ、この様な体たらくに今日までの不快な行為、誠意を示してもらう。

 貴様もついて来い、都合よく事が運ぶだろう」

「かしこまりました、このヘルメース、我が王、災害王エイン様にお供いたします」

「であれば、私も勝手について行こう。

 乗りかかった船は最後まで付き合うとも」

「…そうか、勝手にするといい、ただし手出し口出しの勝手は許さんがな」

「…ああ、心得ておくよ」


 チラリと圧を掛けておく。

 圧を出した時、いつもより多めに出た気がするが、まあ、感覚がまだキレてるにだろう。

 とりあえず落とし前をつけてもらうとしよう。

ほんの少し補足

今回出た称号について

破壊王と災害王は同じ効果で説明文にフレイバーテキストが増えただけ(要は運営からの固有称号)

【破壊の申し子】

他を顧みない攻撃は多くの犠牲を生む

建造物や地形対してダメージが通り易くなる。

住民の好感度が下がり易くなり、畏れられ易い。


【破壊の天災】

破壊に関しては天才であり、他者はそれを天災と呼ぶ。

建造物や地形対してダメージが通るようになる。

住民から畏れられ易い。

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