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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode5 温厚ではあるが温情はない
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ソロは再び…

晩餐が終わり、宿へ帰還したが店員に変な目で見られ耳を立てるとどうやら今朝の事で良くない噂が出ているようだ。

「犯罪者」というかワードも出たが特にあちらから直接何か言われず部屋の鍵を貰って寝床につく。


正直なところこの国に対して俺としてもよく思っていない。

1人プレイヤーに何故にそこまで干渉するのか、そしてわざわざ表立って行動して事を荒立てるのか……いかんな、寝る前に苛立ってリアルに持ち込みたくない。


仕方ないと割り切って寝床に横になってログアウトする。























次にログインすると予想通り1日経っており、既に夜だった。

空腹を感じてとりあえず手頃で余っていた携帯食料を食べて予定を考えながら下りると食堂は満員。


ふむ、ログアウト前に見かけた屋台が有ればそちらで食べて運動がてら外で狩りでもするか。

そう思い鍵を預けている時に、わざとらしいタイミングで気になる話が耳に入った。


「あのボロい孤児院が焼けたって?そりゃマジかよ」

「ああ、なんでも昨日お前たちが出てた時にあって昨日はそれで持ちきりよ」

「持ち切りつったって唯の火事なんて珍しくないだろ、俺がガキの頃なんて」

「ああ、分かってるって、でもその孤児院があのハイエル商会が狙っていた土地ってんだから、もう噂話でって事よ」

「あー、あそこか…でも」

「ああ、そうさd「ヘルメースの者か?」!」


話していた二人組のプレイヤーに近づいて話に割り込む。

もう何度とやってきたやり取りで面倒だと感じる、しかも他にもちらほらと……全く周りくどい、メールにでもして送ればいいものを…。


「な、なn「簡潔に忠告しておくが、リアルで腹を満たしたがこっちでは空腹だ、今もし嘘や誤魔化しをすれば国ごと無くしても良い」…」

「すみません、エイン様」

「貴様か、良いだろう…謝罪を受けよう」


見知った顔のタイチョウからの謝罪をさっさと受け、本題に移る…がついでに席に座って食事を頼む。

先ほど話していた阿呆どもはそそくさと席を離れていった。


「それで、わざわざ聞かせたという事はよっぽどの事で良いか?」

「…そう、だと思います。

自分もギルマスの指示でここに来ていたので…予定ではあの二人と一緒でしたけど、猛烈にイヤな予感がしたので席を外しました」

「そうか、まあいいどちらにせよこちらから孤児院の方へ向かうが……そうだな、貴様」

「は、はい!」

「ヘルメースに俺から「次からメールでやれ」と伝えろ」

「わ、わか、分かりましたー…!!」

「……はぁ………」


少し威圧を掛けただけであれほどとはな…まあ、あれならヘルメース(アホ)にとって良い薬になるだろう。

タイチョウの慌て立ち去る背中を見て少しすると夕飯が運ばれる。


「では、いたd」

「ねぇ、お客さんってなんで衛兵さんに探されてるの?」

「……………」

「アウルさん!?何聞いてるの!?」

「えー、だって気になるじゃん」


ああ、面倒だ。


「気になるからってそんな」

「フェンネさんだって気になってたじゃーん」

「だからって急にそんな事言ったら」

「はぁ……面倒くさ」

「「え?」」

「なんかやる気削がれる、いや、食う気も失せた。

二度とこんな国こねぇわ、うん、そうしよう。

宿代も返金いらねぇし、鍵も返す。

料理代も置いとくから、それじゃあ」

「ちょっとお客さ「もう客じゃない、失せろ」ッ!!」


加減のない殺気に晒された女性はへたり込んで動かなくなり、周りにいた人々は急に言葉を発する事を忘れる。


外に出れば空は雲が覆い雪が降っていた。

その日、帝都のとある宿の周辺は気絶者や何かに怯え縮こまる人が多数発見された。


そして中心である宿の従業員や客からはどれも同じ証言が取れた。


「殺される殺される殺されるころされるコロサレル………」っと…

怒りと苛立ちを溜め込んだ無気力な災害の矛先は………

次回『天変地異』

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