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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode 1 ソロであってボッチではない
5/68

ソロは怒りを露わにする

 その日東の森のありとあらゆる動物が逃げ出し、魔物ですら怯え、武器を持たず走る姿が目撃された。



 そしてそれは、その原因である者の殺気を直に受けている者は言うまでもなく怯えていた。

 このまま向かえば、死より恐ろしいモノが来るという事を本脳で感じ取ったのである。



 殺気だけでは引かないか…仕方ない、先にこちらから叩くとしよう。

 俺はオオカミとそれの飼い主の方に向かって歩き出す。






「おい、どうした?急に止まって」

「……(フルフルと首を振り、足が震えている)」

「行きたくない?おかしいなぁ…ん?」

「お前がコイツらの飼い主か」

「な!?」


 俺が近づいていくることが予想外だったのか、驚いて固まって居るが、そんなことは関係ない。


「お前達の話はすでに聞かせてもらった…生憎、俺はお前達のように群れる事が苦手だ、だから一回しか言わない……失せろ」


 と言って、殺気をさらに飛ばす。

 すると、固まっていた顔が急に戻って


「い、いや、な、なんのこと「俺の耳はかなり良いからなあそこに居るお前のお仲間さん達との会話は丸聞こえだ…それで、返事は?」」


 吃っているところ申し訳ないが昨日からストーキングされていてかなり腹立っていて手を出さないように必死に落ち着いて居る…が


「ちょ、ちょっと待ってくれ、隊長にッヒ!?」


 ちょっとという曖昧な言葉に少しムッとしただけで怯えられるとは…まあ、どうでもいい…。


「……あまり待たせないでくれよ…こちらは譲歩して居るんだ…いいな?」

「は、はいぃ…た、隊長、目標にバレました、早く早く来てくださいいいいいい!」


 少しずつ後退りして木にぶつかって、驚いて声が裏返っていた。

 殺気に当てすぎた気はするがこれでもまだまだ序の口なんだがなぁ…。




 5分もしないうちに隊長と呼ばれていた声の主とその近くで話していた声の主が現れた。


「す、すまない「遅い」…すまない」

「…まあ、どうだっていい…それで俺の前から失せるか失せないのかどっちだ」

「いや、待って「あ?」!!」


 おっと、さっきからずっと待って待ってと待たされてばかりだったから待つという言葉に反応してしまった…が良いや。


「後30秒やるからさっさと決めてくれよ?越えたら…絞めるからな?」

「わ、分かった、あありがとう」


 目の前で打開策を考えられるのも腹立たしいが、何でもかんでも否定や制限するのは良くないし、少しは猶予を


「わ私たちのギルドに入らないか?」

「…( ゜д゜)」


 …なんだこの阿呆は?


「これは君のためでもあるんだ、近々イベントが開催されるという噂が上がっていて、前回と同じ形式であればパーティ同士が戦うイベントになるはずだ!」


 まるで子どもの言い訳…いや、それ以下か?

 宗教勧誘の方がまだ日本語を理解できているというのに…


「君のような強いプレイヤースキルを持っている人がイベントに参加すれば、必ず上位入選するだろうし、そうすれば君に得しかない!」


 先ほどあげた30秒を…いや、待っていた時間全てを返してほしいくらいだ…


「そうだ!私達のバックアップさえあれば君に装備だって用意できるし、宿だってもっと良い「はぁ…」!」


 呆れてため息を吐くと、まるで自分の演説が効いたかのように眼を輝かせこちらの言葉を待っている。


「入ってく「なんだろうなぁ…俺って難しい言葉使ったか?」…え?」


 質問をぶつけられて戸惑っている阿呆は答えなさそうだから、他の2人の顔を見ると首を横に振っている。


「だよなぁ…俺は失せるか失せないかの2択を聞いているはずだったが、なんだ…俺がお前らと連むメリットでも聞いたと勘違いしたか?」

「え、いや、だが」

「もうさぁ…昨日からずっと見られていたから言うけど、正直言ってこれってストーカーだよな?GMにでも訴えれば気が済むか?」

「な!?」


 昨日から見ていたことがバレた事に驚いたか、GMに訴える事に焦ったのかは知らないが、俺はそのまま今の気持ちを言う。


「まあ、最初に言った通り…お前らを絞めてからその後の処理は考えよう」

「え?」


 手始めに阿呆の喉を潰して、その勢いで首を掴み地面に叩きつける。

 後頭部を強打したのに加えて首を攻撃されて悶えているところでひっくり返して腕の関節を外す。


「!?!?!?!!!!」

「た、たいt「お前は後だ、動けばこれ以上の事をする」ッヒィ!?」


 まあ、これで助けに入ったりするならまだ良かったが、腰を抜かして立ち上がれず眺めているだけだった。

 仕方ないさっさと殺すか。


「すまないが俺は獲物がない、そこでお前らにどっちか選ばせてやろう…殴殺と刺殺どっちが良い?もちろん刺殺が良いなら、お前らから適当なナイフを貸して貰うがな」


 阿呆に乗ったまま聞く。

 固まって、動かなさそうだが、オオカミの飼い主が


「こ、殺さ…ないで…」

「……」


 素晴らしい命乞いだ、まるで価値がない…が、まあ、これでストーカーしない、勧誘しない、邪魔をしないと言うのであれば許すとしよう…


「良いだろう…但し、これから言う事を守るならな」

「ま、守ります守りますからお願いします!」

「お俺も、絶対守ります!!」

「じゃあ、まずストーカーは辞めろ、話したいことがあるならさっさと声かけろ。

 そして、これはお前らの発言力によるが俺を勧誘するなさせるな、俺は別にお前らのプレイスタイルは否定しない、だが俺は俺のプレイスタイルがあって…信念を持って1人でやってんだ、お前らのものさしで計んな、以上分かったか?」


 震えながらも何度も頷き従う意思を見せる。

 この阿呆はこの2人が言い聞かせるかどうかするだろうし、とりあえず外した肩を戻して、解放する。


 解放された阿呆は痛みよりも恐怖が優っているのか蹲った。

 土の汚れを払って、再度阿呆どもに向かい警告をする。


「さてと、まあ、最後に一つだけ言っておこう」

「はいぃ!なななんでしょうか」

「MMOだからこう言う事は良くあるが、あまり人の意見を無視しているとこういう目に遭うから怖い思いをしたくなかったら、謙虚に誠実に、そしてゲームを楽しむ事だ」

「はははいぃ!肝に銘じておきます!!」

「んじゃあ、二度ととは言わんが…失せろ」

「「「はいぃ!!」」」


 阿呆どもとオオカミ達はあっという間に街の方へ逃げるように去っていった。

 全く持って苛立ちが収まっていないが、良い大人はグッと堪えるものだ……。





 と言ったものの早々に収まらないので森を散策して獲物を探すが全く気配が見当たらない。

 あったとしても捨て去られた武器や食べかけの食べ物くらいだ。


 はて?これは何かあったに違いない…急いで逃げるほどの脅威が…そういえばいつか見た記事にオオカミが逃げていったとかなんとか書かれた記事があったような…それが原因と考えるとボスエネミーがこのゲームでは徘徊型なのかも知れない。


 もう少し森の奥に行くとしよう。

 どうせ今戻っても暇を持て余すだけだし、ここは一つ冒険してみるとしよう。






「た、隊長、待ってくださいよ!まず手当を!」

「『手当はあとでいいギルマスに報告が先だ』」

「たしかにヤバいやつでしたけど、あんなのは他のギルドにも居るでしょ?ああ言うイキって!?」


 走っていた隊長と呼ばれていた男は急に立ち止まり、話しかけていた男は止まれずぶつかる。

 そして、止まった隊長はすぐ振り返り恐ろしい形相で伝える


「『あれはイキリとかカッコつけとかそういう次元の人間じゃない』」

「え、あ、そ、そりゃ、恐ろしかったですけどそんな大袈裟な」

「『ヘッジザラゲストってゲーム知ってるか』」


 隊長は先月惜しまれながらもサービスを終了した大人気近代ファンタジーゲームの名前を出す。


「え?そりゃ自分もやりましたから知ってますが、それが?」

「ならそのゲームで起きた大事件も知ってるだろ?」


 少ししゃがれながらも声を出して話し出す。


「大事件…確かほとんどがクエストでの大惨事とかでしたよね?疫病とか国が崩壊したとか」

「その通りだ、だったら“災害王”って聞いたことあるだろう」

「“災害王”?…ああ、掲示板サイトの危険人物の最上位…の……も、もしかして」

「ああ、彼がそうだろう、彼の怒りを直に受けて確信した。

 機嫌を損ねれば、最強と謳われたギルドも難攻不落と言われた国も“災害王”の怒りを買ったことで消えたと噂…いや真実の張本人だ」

「そ…」


 そんな、ありえない…その言葉が続かない。

 あの振る舞いを、あの殺気を、そしてあの言動を、思い出せば出すほどそう思わざるを得ない。


「よし、ギルドホームに戻れる!さっさと警告しないと、地獄になるぞ!」

「は、はい!」

「ま、待ってくれ、さっきから可笑しくないか?」

「何が!?」

「さっきからモンスターの姿が見えないんだ!ここまでかなり走ったが、1体もだ!」


 ふと、その言葉にあたりを見回すと言われた通り所々にプレイヤーは居るものの戦っている様子もない。

 少し気になって近くのプレイヤーに話を聞けば


「急にモンスターに逃げられた」

「こちらを身もせず一目散に走っていた」

「何が起こっているんだ?スポーンしてもすぐに逃げていったぞ」


 と、何かから逃げるように走っていると言う同じ情報が出てくる。


「なあ?あんたらあの【調査団隊】のメンバーだろ?金出すから情報くれよ」

「す、すまないが今はちょ、調査中なんだ、分かったら多分掲示板に出るから待ってくれ」

「ちぇ、分かったよ」



「やってしまった…俺たちのせいだ…」

「どういうことですか?隊長?」

「とにかくこれも含めてギルマスや幹部に報告に行くぞ」

「あ、え、ちょっと!」


 隊長は転石を使いギルドホームへと転移する。

 それを追うように男達も転移する。

災害王の噂()

・軍事国家の挑発を買いその日のうちに1人で攻め落とした

・団体戦毎回優勝したギルドのしつこい勧誘にキレて、半日未満で完勝

・ラスボスと言われた魔王種に土下座させた

・プレイヤー格付け危険人物にすら危険人物と指定された

・PKがPK依頼を拒否した

・どんなに混んでいても、そこだけ人が居ない

・脅しに使ったやつを特定して殴殺

・運営ですら恐れる

・地雷を踏まれたら何も残らない

・回りくどい事を嫌う

・NPCにかなり好かれている

etc………



次回もお楽しみに

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― 新着の感想 ―
[一言] 徘徊エネミーが( ̄□ ̄;)!! 怒ると、狩りがはかどらないね~
[一言] 会話出来るNPCはともかく敵対モンスターのAIが賢すぎるのも色々と困りものですねぇ... でもいつかそれぐらい賢いAIを積んだゲームをやってみたいものです
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