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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode4 パーティではあるが目的はバラバラである
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パーティは依頼を完遂し……

 流石にこれで洗脳であれば解けてほしいが、そうでない時は…

 そう考えていると激しく吹雪いていたのが少し弱まって視界もそこまで遠くは見えないものの面倒ではないほどにはなった。


「これで終わったのか?」

「ど、どうなんでしょうか…あ、戦利品は………」


 そう言って倒れた幹部の跡を探しに行く…が、どうやら何もなかったようだ。

 そうこうしていると上空で待機していた龍が降りて来た。

 雰囲気からして敵意はない……が、どうやらこちらを試す様な目で見ているようだ。


 少しするとヘルメースも気づいて、慌ててランタンを出して火の精霊を呼び出す。


「お初にお目にかかります、■■■様の許しを得て、火の精霊姫となる■■■■■です、これからよろしくお願い致します。

 今回の件は■■■■様より聞いてやって参りました」

『ほお、■■■からの遣いか…ふむ、助かった』

「…………」


 かなり上から目線と言うのが気に触るが、これ以上面倒くさい事を引き起こすのも疲れるだけなので無視しておく。

 俺の苛立ちを察してかヘルメースが前に出て話し出す。


「初めまして、私はプレイヤーのヘルメース、こちらのお方も同じくプレイヤーのエイン様にございます。

 今回の件は先程火の精霊姫様が仰った通り四獣である金剛雪のヒョウガロウ様のご依頼でやって参りました。

 つきましては依頼の完遂を示すためにご同行…いえ烏滸がましいですが連れて行ってもらえないかと提案したいのですが…」

『ふむ、よかろう。

 ヘルメースにエインよ、我が背中に乗ることを許す』

「ご提案に賛同していただきありがとうございます」

「………」


 チラリとヘルメースが俺を見て来たが何を伝えたいかは大体わかる…特に何も言わずに黙認しておく。


「いやー龍の背中になんて(この世界では)初めてですので緊張しますね」

「(この世界では)そうだな」

「本当よ、■■■様に感謝しなさいよね!特にそこのアンッヒ!」

「………」


 流石に馬鹿みたい…いや、位だけ一丁前の馬鹿には調子に乗らないように射殺す。

 加減しておいたが、これで黙るのだからまだまだ未熟も未熟だ……そう言えばソリ……


 ソリがあったであろう場所にはソリの残骸が散らばっていた…まあ、流石にあの攻撃で運良く当たらないことはそうないか……。


『では、向かうとしよう…少し何かに掴まっておくと良い』

「では遠慮なく」

「じゃじゃああああたしはもどりゅわね…」

「……はぁ……」


 とりあえず適当に突起物に掴まって奥が、ここから龍であればいくらほどで着くだろうか……まあ、狼どもよりは幾分か早く着くか……。


















 -ヘルメース視点-


 上空を飛んでいるからか地上以上にどこにいるのか分からない。

 が、どうやらようやく着いたようで段々と下降して行っている。

 魔法かそれとも仕様なのか分からなかったが…まあ、そんなに寒くなかったから気にしないでおこう。



『■■■■!無事だったのか!』

『否、其方が遣いを送ってこなければ危うく国の民に仇なすところであった、感謝する』


 地上に着いてすぐに我が王が降りたので続いて降りる。

 こう言っては贅沢な悩みだが、1日ほど硬い鱗の上で待機していたせいで体が重たい……っとと、そんな場合じゃないよな。


「んん、よろしいでしょうか」

『む、どうした?』

『…………』

「私どもはそこのヒョウガロウ様に頼まれて()()()()ヒョウガリュウ様をお助けに参ったまで、そしてヒョウガロウ様は報酬として我が王の忠誠なる僕となる事を言われました…そうですよね、ヒョウガロウ様?」

『なぬ、そうであったのか■■■?』

『…うむ……だが、其の方は我が忠誠を要らぬと言っておったであろう?』


 む、確かに言っていたが…そんなに我が王に仕えたくないなどとは、国を守護するためなのか自分のプライドが邪魔をしているのか……まあ、いいd


「そうか、では貴様は自身で言った約束事を破ると言う事だな?」

『…なんだと』


 おや、これはどうした事か?

 我が王が考えを改めるとは……まあ、聞いてみるとしよう。


「我が王、ヒョウガロウ様を配下にすると言うお考えでしょうか?」

「ああ、気が変わった…と言っても忠誠心なんぞは期待しておらん、俺がこの国を旅するの足となればそれで良い」

『足だと!我を愚弄するのもッ!?』

「…ほぉ…愚弄すると…なんだ?貴様ら程度のプライドだけの低脳が俺に、何を、やろうと?」


 一瞬だった、ほんの一瞬で先ほどまでイキっていた守護獣が死を覚悟したのか、それともようやく我が王の偉大さに気付いたのか、見上げるほどの巨体が、余裕ある立ち振る舞いから一転し、固まっている。


 それもそうだろう、怒りを正面で受けていない私でさえ恐ろしくて我が王の顔を覗き込む事ができないのだから…。

 だが、後退りも怯えもしないのは守護獣であるが所以だろう…他のヒョウロウが散り散りに逃げゆく中、プライドだけがヒョウガロウを立たせていた。


「答えろ…先に俺を見下し愚弄し約束を破る貴様らが俺に愚弄されたら何をするかを」

『……………』

『……すまない』


 先に動いたのはヒョウガリュウの方だった。


「…察しの良い龍はこう言っているが、どうする?言っておくが選択権なんぞ元からないのは分かっているだろう?」


 そう言って少しずつ、少しずつ圧を掛けていくのが伝わってくる。

 徐々にヒョウガロウの体が震えていくのが目に見えて分かる。

 そして…


『………我の負けだ…約s』

「そうか、では態度を改めよ…良く言うだろう?口より体を動かせ、行動で誠意を示せ。

 俺が貴様らに求めるものは最初から誠意だけだ」


 そう言い終わるとヒョウガロウに飛び乗る。

 ほんの少しだけだったがそれが途轍もなく長く感じた。

 だが、これで我が王は許したのだろう……ふぅ、生きた心地がしなかった。

 流石にこの世界の上位種2体では我が王でも苦戦するかと一瞬だけよぎったが杞憂だった。


「ヘルメース、早く乗ると良い…先程よりはマシだぞ」

「は、はい!今すぐ」

『我はどう誠意を示せば良い?』

「自分で考えろ…と言いたいが、ならば他の知能ある者に俺の存在でも言っておけ、馬鹿を減らすには貴様くらいの奴が一番早い」

『う、うむ…■■■■、我は』

『そうしろ、我々の恥ずべき行いを広めても構わん』


 その言葉に目を丸くするヒョウガリュウ。

 だが、何も言わずに一拍置いて飛び立つ…。


『…それで何処へ行けば良い』

「そうだな…まだ大会まで時間はあるが帝都で観光をしたいからな」

「そうですね、炎の精霊姫様もそれで宜しいでしょうか?」


 と聞くと、ランタンが小さく揺れる……どっちなんだ?

 まあ、我が王の怒りに当てられて出たくないのであろう…まあ、どちらにせよ


「構わないようですよ」

「では、帝都まで頼もうか」

『承知した…行くぞ!』


 雪の上にも関わらず一気に加速して景色を置き去りにしていく。

 ここまで来るのにあった豪雪もものともせず駆けていく。

 そして何より驚いたのは全く自分達に雪が纏わりつかないのだ!


「凄いですね!凄いですよ!」

「ああ、これで快適に移動ができそうだ」

『我ら四獣はこの地一帯の天候を司るもの、この程度は序の口!』

「おお!!」


 豪雪地帯を一瞬にして抜けて行き雪が徐々に収まっていく。

 空を見上げて見ればこの地では未だ見たことなの無かった夜空とそれを彩るようにオーロラがあった。


 良く見ればオーロラの先端には先程のヒョウガリュウらしき姿が見え、通った後には徐々にオーロラが展開していった………。


『[災害王と自称右腕]が、[ワールドクエスト:帝国の危機]をクリアしました』

『以降、ノーディシス帝国領での天候に稀に晴れが出現するようになりました』

『[チャレンジクエスト:金剛雪を下す者達]をクリアしました』

『なお、このクエストはワールドアナウンスされません』

『[チャレンジクエスト:豪雪龍を下す者達]をクリアしました』

『なお、このクエストはワールドアナウンスされません』


 ………ああ、やはり我が王は素晴らしいなぁ……。

クエストについて補足


クエスト:一般的に組合が掲示している仕事のことを指す

シークレットクエスト:重要な住民から依頼されることを指す

ワールドクエスト:世界全体に影響が出る(例:村がなくなる、国が滅びる、大陸が消えるなど)レベルのものであり、始めると後戻りできない。

チャレンジクエスト:高難易度であり、ほぼエンドコンテンツに近いもの、運営が用意した鬼畜を指し、その分報酬が良い


今の所ワールドクエストの失敗は2つ

・魔物の大量発生を防げず、要塞を占拠され周辺の村が滅びた

・重要な住民に取り憑いた魔物を取り除けず、封印された魔物が解き放たれた


両方とも未だに解決しておらず、失敗とされている。



次回はエピローグです。

それでは次回もゆっくりお待ちください。

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