パーティはイベントの話をする
少し前に行った登山道に入ってしばらくして別れ道に出る。
確かこの前は左に行って拓けた行き止まりでボス鹿と戦ったから、ここは右に行けばいいのか?
まあ、間違えていてもイベントまでまだまだ時間はある、が、できれば早めに行って宿は確保しておきたい。
流石に質の悪い宿では寒さが心配ではある。
「こっちで良いのか?」
「ええ、そちらの道で問題ありません、ただそろそろ防寒着を着ておいた方が良いと思います。
なにぶん日が落ちてしまえば雪山でなくとも夜の山は寒いですし、このペースで行ければ明日の昼前には北の領地に入る関門がありますので」
「関門?何か不味い事があるのか?」
「いえいえ、今の格好で行けば少々門番に心配されて時間を取られてしまうかもしれませんので、掲示板サイトにも何人か居たようですので」
「なるほど、ではもう少ししたら着るとしよう」
「かしこまりました」
確かにそろそろテントを張っても良い頃合いではあるし、この前の釣りでも少々寒さも感じた。
この際着るのであれば早めに着て防寒着での動きを馴染ませた方が色々都合もいいだろう。
「ふむ、ここにテントを張るとしよう」
「かしこまりました、一応お聞きしたいのですが、テントはb「個人個人で脹れ」…かしこまりました」
手慣れた手つきでテントを張っていく。
ヘルメースの方も俺と同じようなテントだが、さっきの口ぶり的にどうせもっと大きい多人数用のテントを持っていそうだが、わざわざそこまで世話になりたくない。
テントを貼り終えて、道中で適当に拾った枝とこれまた道中で飛び出してきた鹿を狩ってドロップした肉で夕飯を作る。
持っていた石で枠を作り、そこに枝を並べ、着火材に火打ち石で火をつける。
ドロップした鹿肉はステーキにできるくらいあるが面倒なので適当なサイズに切って串に刺して焼いていく。
「貴様は夕飯どうするんだ?」
「一応保存食は持ってきていますが、ご一緒させて頂いても?」
「構わん、一応お前もこれの確保に手を貸したんだからな」
「では、遠慮なく」
「ああ、と言ってもあまり料理は得意ではないのでな、味には期待するな」
「いえいえ、我が王の料理であれば例え墨になろうとも金を払ってでも食べたいと思っております」
その言葉を適当に流しながら肉を切っては串に刺していく。
ヘルメースは枝を入れて火を持たせたり、低いテーブルを2つ出し、大皿を置き、水の入ったグラスを置いて待っていた。
「では、いただくとしよう」
「はい!いただきます!」
元気よくそう言うと串焼きを手に取って、少し喜びの顔で眺めてゆっくり味わって食べていた。
そこまで良い物ではないし、ヘルメースの【ギルド】で食べた物の方が断然上であろうに…まあ、食べずに保存されるよりマシか…。
「いやはや、大変美味しいです!」
「そうか、俺としてはお前の所で食べた料理の方が良いがな」
「いえいえ、私にとっては我が王の作られた料理を我が王と一緒に食べられる…これ以上の至福の料理などそうそうない事ですので」
「そうか、それなら良い」
これ以上変に喋らせるのも面倒だと感じて早々に黙らせ、話を切り替えていく。
「そう言えば、貴様はイベントに参加するのか?」
「それは勿論にございます。
何せ、イベントでの賞品と優勝による名声は是が非でも欲しいものですので」
「ふむ、ちなみに賞品と言うと今まで何が出たのだ?」
「そうですね…【ギルド】やマイホームがなかった時は称号と少し品質の良い武器や防具、それから少ししてトロフィーやペナント、あと魔物の卵もありましたね」
「ほぉ」
「後は優勝者が拠点にしている国が次回のイベント開催地になるので場合によっては有利に働く事がありますね。
例えば、サバイバルゲームではその地の特性が多く出たり、信憑性は低い噂話ですが商人が運んでくる商品の中にイベント関連のものが増えたりするようです」
「なるほど、という事は今回のイベント開催地がノーディシスなのは」
「ええ、我が王よりはるかに弱くはありますが、私のような一般的なプレイヤーでは歯が立たないレベルの者がノーディシスにおり、今回で確か…3回連続での開催地になっていますね」
「なるほど」
「一応この世界でも今回のようなイベントであれば住人も参戦してきますが、それでも頭一つ抜けていますね」
「そうか、まあ、なんでも良いがイベント頑張るが良い」
「!!はい!!今回はいつも以上に頑張って優勝を狙います!」
立ち上がって息撒きながらそう応えるヘルメースの眼はどこか燃え上がっているように見えた…。
まあ、何せよ俺は面白い試合が観れればそれで良いんだがな………。
裏話
開催地が連続でなったのとゲーム内で3年は経ったので北への直通トンネルが掘られたのである。
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