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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode 2 ソロであって暴君ではない
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エピローグ

 ウィロー村では捕まっていた村人達が無事に戻ってきた事を祝う宴の歓声で賑わっていた。

 それを横目にヘルメースが村長や村の兵士に報告をしていた。


「と言う事で、残りのデーモンベアも時期に通常通りの個体数になりますが、後数日は森に入らないようにして下さい」

「分かった…しかし村人達を助け出してくれた方にお礼を申し上げれなんだことが気がかりじゃなぁ…」

「我が…んん、そのプレイヤーはお忙しい方ですのでそう言った時間をかけさせられる事を避けますので…私からお礼の方を言っておきます」

「そうでしたか…直接言えない事は申し訳ないですが、それでしたらよろしくお願いします」

「はい、しっかり伝えておきます…それでは私はこれで」

「そうですか、それではささやかながら宴を楽しんでいってください」

「ええ、そうさせていただきます」


 そう言ってヘルメースはその場を後にして宴に戻り、他のプレイヤー達の輪に入る。


「ただいま戻りました、こちらが報酬金です。

 あ、もちろん既に人数分に分けているので1人1袋持っていってください」

「ギルマス、飲み物をどうぞ」

「ん、ありがとうマムル」


 ヘルメースがマムルから宴で出されている果汁酒を受け取って席に座ると数人のプレイヤーは袋を前に少し戸惑って、あるプレイヤーが手を上げた。


「すまんがヘルメースさんよぉ、ホントに貰って良いんかいなぁ?ワイ…と言うか、みんなそのミソパスタベア倒してないんやが?」

「タカバネさん、ミソパエスベアですよ…まあ、自分も同じ気持ちですが…」


 それを皮切りに他のプレイヤーも口々に不安を口にする。袋を受け取ったプレイヤーも少し気まずそうに袋を返すか迷う素振りもあった。

 果汁酒を一口飲んで少し間を置いてからヘルメースが口を開く。


「まあ、皆様がそう考えるのも仕方ありません。

 現に今回のイベントのボスであるミソパエスベアを倒したのは我が王、災害王様ですが、その前に集まり、ボスの情報やデーモンベアの数を減らしたのは事実ですし、万が一ミソパエスベアの指揮下から解放されたデーモンベアが村を襲っても問題の無いよう防衛をした皆様には貰って当然の報酬金です。

 ですが、それでも気が引けるのであればこの村の復興資金にでもしてもらうよう村長様に寄付でもすれば宜しいかと」


 そう言ってまた果汁酒を一口飲んで出された料理を食べ始めるヘルメースだった。

 それを聞いたプレイヤーは少し悩みながらも袋を受け取って、また少し時間を置いて宿や村人達に混ざって宴を楽しんでいった。


 去っていくプレイヤー達を見ながらゆっくりと宴を楽しんで居るヘルメースに1人のプレイヤーが話しかける。


「ヘルメースさん」

「おや?勇者君ですか、何かこの私に聞きたいことでも?」

「…僕の名前は勇者じゃありませんユウマです!」

「良いじゃないですか、君の二つ名なんですから、かっこいいじゃないですか勇者」

「かっこいいですけどちゃんと名前で呼んでくださいよ!さっきだってタカバネさんにその二つ名で呼ばれてここの村の人にも誤解を受けたんですよ!」

「まあまあ、良いじゃないですか、その二つ名に相応しい行動してるんですから、聞きましたよ?森でデーモンベアに襲われていた商人や村人を助けたって」

「それは誰だって助けますよ!ってそんな事より災害王について教えて下さい!」

「…おや、またですか、前にも言いましたでしょ?プレイヤーの個人情報は余程の事情やPKでない限りは教えないと」

「でも!前に掲示板で書いてたじゃないですか!危険なプレイヤーだと!」

「また君は変な知識だけで…保護者さんしっかりして下さいよ」


 そう言ってユウマの後ろで話を聞いていたプレイヤーに目線を投げる。


「保護者ではないですが、僕も災害王さんもついて知りたいですね」

「貴方も共犯ですか…全く、何度聞かれても同じですよ、まあ、それでも知りたければ他のプレイヤー…特にヘッジザラゲストをプレイしていた人にでも聞けば少しくらいは教えてくれるでしょう」

「ヘッジザラゲスト?」

「このゲームを創ったゲーム会社のゲームの一つですよ、そのゲームをプレイしていた人であれば漏れなく全員、災害王についてご存知でしょう」

「分かりました、ありがとうございます」


 そう言ってユウマは他のプレイヤーに話しかけに行った。

 それを見ずにまた果汁酒を一口飲もうとするが、もう1人がまだ居ることに気づき声をかける。


「着いていかないのですか?放って置いたらそれはそれで面白いですが」

「ユウマはあれでもあしらわれますが、僕は違います。

 確かに知っているプレイヤーに聞けば分かるでしょうが、それは昔話、僕達が知りたいのは今です」


 それを聞いてか、少し小さなため息を漏らして向き直る。


「私は勇者君のような面白いプレイヤーは好きですが、君のように猫のような好奇心はほどほどにしておいた方がいいよ」

「でしょうね、ですがそれでも知る権利はあると思います…これでどうですか?」


 そう言って金属が擦れる音がする袋を机に置いて交渉し出す。


「…まったく、今は宴中ですよ、楽しい席を交渉の席に変えないでください…」

「すみません…ですが」

「ですがも、たいがもありません、それをしまって勇者君を回収して、良い子は早く寝なさい」

「……分かりました、でも、僕は諦めませんからね」

「…はぁ、掲示板でも言いましたが聞きたい事は本人に会って運良く話して下さいと…」

「危険な可能性は避けたいので…では、失礼します」


 去っていく背中を見ずに席を戻してまた宴に戻る。


「良かったんですかギルマス、結構な額ありそうでしたけど」

「良いんですよ…あーあ、勇者君は結構気に入っていたんだけどね」

「と言うかあんまアニキの事をコソコソと知るんじゃねぇってんだよ、ったく」

「全くよね、アンタと同じ意見なのは嫌だけど、私の災害王様に気安く近寄ろうとすんじゃないって感じ〜」

「んだとコラ!」

「何よ〜文句あんの〜?」

「こらこら、宴の席を喧嘩の席にもしない、君たち自分にブーメラン刺さってるよ」

「ああ“ん!?」「なによ!」

「相変わらず仲良いわねぇ、それよりヘルちゃんそろそろ王様の場所くらい教えても良いんじゃなくてぇ?」

「ははは」


 痴話喧嘩をのらりくらりと流し、少し圧のあるオネェの言葉を笑い飛ばしながら果汁酒を飲み、空の杯を机に置いて向き合って


「ターニアさん、いくらウチの幹部でも言えないものは言えませんよ、それに我が王に会いたければ自然と出会えるでしょう、私も例の件がなければこのゲームに居ることにすら分からなかったくらいですから」

「…そうね、確かに偶然出会えた方がロマンチックよねぇ、分かったわ、無理言っちゃったみたいでごめんなさいね」

「ははは、分かってもらえれば問題ないですよ。

 逆の立場であれば私もそうしましたから」

「あらやだ、惚れちゃいそう…だけど、私のことはターニアじゃなくてターニャちゃんって呼んでくださらなぁい?」

「ははは」


 またいつもの笑顔に戻って返ってきた言葉を受け流しつつ夜が更けていった。


「はてさて、我が王の今後の活躍を陰ながら祈っておくとしましょう…素晴らしき出会いに…」

これにて2章の幕を閉じ、3章へ

実の所前の章で4章までの構想をギリギリの範囲で創っているので、行き当たりばったりなんですよね。

まあ、それはいつも通りのため置いといて

いつも評価やお気に入りに登録ありがとうございます。

今後も不定期に上げていきますのでどうぞよしなに


それでは次回もゆっくりお楽しみに

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