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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode 2 ソロであって暴君ではない
23/68

ソロは面倒事を流す

 巣穴の中はかなり奥まで続いており、所々に生えている光る植物のおかげで真っ暗ではなかった。

 そして奥に進むにつれて、動物の骨やボロボロの生地が所々にあり、その近くには乾いてはいるが錆びた鉄のような臭いがする。


 そこそこ歩いて奥の方に普通ではありえない灯りの色が見え始め、そこから殺気が漏れ出ていた。


 その正体が見え始めたその時、地面から棘の形を模した岩が飛び出てきた。

 これは罠…いやどっちかと言うと感覚的には魔法の類なのだろう。


 このゲームで初めて知能の高い相手に高揚する気持ちとそこそこの殺気に当てられ足を早める。

 魔法は後ろから迫っているという事はすでに相手のテリトリーに入ったのだから、後戻りなど最初から考えていない俺は最速で地を蹴り、妖しい灯りを放つ場に足を踏み入れた。


 そこに居たのは、今まで見たデーモンベアの2回り以上大きく、腕を4本体から生やした三つ眼のクマだった。

 その体は地に伏したデーモンベアの血で汚れたのか、それとも最初からその色だったのか判別が付かないほどに赤黒くそして悍ましく濁っていた。


 そして踏み入れた場所の床や壁、そして天井にまで魔法陣が血で描かれており、壁付近には壺がいくつも並んでいた。

 奥にもまだ道が続いていたが、今はそんな事どうでも良い。


 入ってきて少しすると魔法の棘岩は侵攻を止めて出入り口を完全に封じた。

 が、それに気も止めずに俺はボスであるミソパエスベアと殺気を飛ばし合い、いつでも動けるように構え始める。

 すると悍しい笑い声を上げ始める。


「ギギガア“ア”…オロカナニエガ……ワレノマエニ…タチムカッタバンユウヲコウカイスルガイイ!!!」


 そう言って襲いかかって来た。

 が、今はそんな事どうでも良くなった。

 正面から4本の腕を防ぎにくいであろうと形で攻撃して来たが、今はもう興味がなくなった。


 軽く1、2本目を避け3本目を弾き、体制を崩しながら放たれた4本目の反動を利用して壁に受け流す。

 当然ながら流した壁付近にはあった壺が割れ、血が地面に流れ込んだ。


「ギギガギギ……キサマ…ナn「喋るなよ、それ以上無駄に喋って強者になったつもりか?」…ナンダト…」


 立ち上がってくるミソパエスベアに呆れながらも疑問に答えておく。


「わざわざ人語を喋る為にその知能を活かしているのかと聞いているんだ、それくらいは理解する知能はあろう?」

「グギググギガガガガ…ワレヲ…グロウスルトハ……ヨホドシニタイヨウダナ!」


 そう言って魔法の棘岩を俺を中心に生やして来たが、


「それは見た、次を出せ」


 生えて体に触れる前に蹴り折り破片をミソパエスベアに返す。

 そして破片が当たったのが余程腹立たしいのか口を開けて炎を吐いた。


「なるほど、面白い攻撃だが懐が甘い!」

「ギュエ!?」


 姿勢を低くして間合いを最速で詰め、鳩尾を深く突くと、炎を吐くのを止めて後ろによろけた。

 が、一応デーモンベアの親玉、体力が多いのかまだまだ倒れる気配はない。


「まだ出してない技があるなら早めに出せ」

「グ…グググ…コノ…コノワレガ……」

「言葉でなく技を出せ!」

「!!?!??!?」


 つい殺気を出しすぎたせいか、ミソパエスベアが硬直した。

 …まあ、やはりと言っては何だが、序盤の街周辺で出てくるボスでは良くて練習台程度が限界か。


「もう良い……沈め」























「……やっと逝ったか…」


 完全に動かなくなったミソパエスベアを見下ろして小さくため息を吐く。

 それと同時にドロップアイテムがアイテム欄に加わった。


 ミソパエスベアの肉×10

 ミソパエスベアの手×4

 ミソパエスベアの眼×1

 ミソパエスベアの肝×1

 ミソパエスベアの魔石×1

 ミソパエスベアの毛皮×7


 他のドロップも確認しながら、ふと何故ミソパエスベアがわざわざ巣穴で壺に血まで溜めていた理由が気になったが、もしかして依頼で調べたりするのだろうか…いや今となってはどうでも良いか。


 とりあえずヘルメースにメールを送り、奥に続く道への探索をし始める。




 奥はそこまで続いておらず、行き止まりまであっという間だった。

 そして最奥には血で所々汚れた檻ができていた。

 中には村人らしき住民が大人と子供を含めて5人入っていた…が、檻の出入り口や鍵穴がない。


 どうしたものかとあたりを見渡していると、檻の中の人が1人、また1人と起き上がってくる。

 が、環境が良くないせいかやつれている人ばかりだった。


「…あ…あんた…は…」

「俺はエイン、依頼を受けて来た者だ」

「た…たす……け?…たすけ…!」


 話している人の目が光を取り戻し始め、喋りもハキハキしだす。


「た、頼むここから出してくれ!」

「助けてー!ママー!」

「お願いです助けてください!!」

「助けたいのは山々だが生憎出し方が無理矢理格子を開けるくらいしか思いつかんし、それでは非効率すぎる。

 誰かどうやって入れられたかわかる奴がいるか?」


 騒ぎ始めて収集がつかなくなる前に要望を言って全員を見渡すが、残念な事に誰も分からないようだ。

 どうしたものかと見渡していると檻に変な共通点があった。


 檻を調べて分かったが材質は鉄っぽいし強度はそこまでないが何やら変な石が埋め込まれていた。

 とりあえず妖しいものは壊してダメだったらその時の精神で壊すと、檻の原形が崩れ始め徐々に消え始めた。


 なるほど?多分だが魔法で作られた檻をさっき壊した魔石?で形を保っていたのだろうか?

 そう言えば、まだミソパエスベアを沈める作業の時、最初にそれっぽい魔法で捕まえようとしていたな…まあ、掛かる前にミソパエスベアを殴ったら消えたが…。


 とりあえず仕組みが分かれば後は同じように埋め込まれていた魔石を壊せば良いか。

 他の檻も同じ場所に魔石?が埋まっていたので砕いて全員を解放する……なんか最近ずっと石とか粉砕してるな。



 とりあえず全員解放して他に何かないか調べたが何もなかったので、全員の持ち物を回収して入り口まで戻る。



 入り口に出ると灯りを持った人々が待っており、駆け寄って家族で抱き合っていた。


「お疲れ様でした、我が王」

「ああ、俺はさっさと街に戻って寝るとする、後処理は貴様でやれ」

「かしこまりました、報酬は後日メールにてご連絡したいのですがよろしいでしょうか?」

「分かった…が前の待ち合わせ場所は使えんぞ」

「?理由を聞いてもよろしいでしょうか?」

「手短に言うが、店主の故郷の親が怪我で倒れたらしく実家の店の手伝いだそうだ」

「なるほど、でしたらまた私のギルドにお連れいたします。

 もちろん、前回食べ損なった料亭で食事をしながら」

「分かった、ではな」

「はい、お気をつけて、本日はありがとうございました」


 別れの言葉を最後に俺は街へ帰るために駆け出し、森を突っ切る。

 もう夜も明けそうだが面倒k…ヘルメースの受けた依頼の後処理まで付き合う事まで頼まれた訳ではない。

 あのままあの場に居れば、住民はもちろん他のプレイヤーにまで絡まれる厄介な事になるだろう、いや絶対になる。


 であるのであれば近いウィロー村よりも夜が明けようとも街に帰った方が幾分かましだろう。

 はぁ…少し楽しみにしていた俺が馬鹿だったな、もっと戦い甲斐のある相手が欲しいものだ……。


 …夜が明けていく森を1人草木を掻い潜りながら、街へ帰るのだった………。

ミソパエスベアの野望

デーモンベアの上位種であるミソパエスベアは巣穴で6人の生贄と一定数の魔力を持ったモノの血を捧げる事でさらに上位の種に進化する予定であった(プレイヤーが依頼を受けていなくてもイベントの進行は進む)


ミソパエスベア

デーモンベアが一定量の魔力を吸収することにより生まれる上位種の魔物

大きさはデーモンベアより大きく、力はデーモンベアの3倍である。

知能が高く魔法を使い近づいた者を4本の腕を使い捉えて四肢を捥ぐ。




次回はエピローグかも

次回もゆっくりお待ちください

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