ソロは狩り抜ける
作業に戻って2、3時間して地底湖の反対側まで橋がかかり、予定より少し早く仕事が終わった。
親方の話では魔除けの灯りを使って2、3日時間を置いておけば属性スライムが出て来なくなるのでそれまではまた作業を中断するようだ。
街に戻って、体を洗って属性スライムの素材を商業組合で売り、昨日の飯屋で[オーク肉の野菜炒め]を頼んだ。
店に入ってきた時は少し目線が多かったが、少し時間が過ぎれば元の雰囲気に戻り目線が無くなった。
[オーク肉の野菜炒め]はキャベツ?ともやし?、あとピーマン?のような野菜に辛めのソースで和えたオーク肉で付け合わせのパンがそこそこ進む美味しい料理だった。
お会計を済ませて宿に戻って店員に少しだけ出る用事があるのでまた部屋を空けることを話すと、少し呆れた笑いをして了承を得た。
とりあえず今から向かえば予定より早めにウィロー村には到着するだろうが、わざわざウィロー村に行くより熊の巣まで行った方がここからだと近いし、『今から向かう』とヘルメースにメールを送って南門から真っ直ぐ走り出す。
大体日が落ち始めた頃には熊の縄張り付近には到着した。
とりあえず熊を見つけ次第倒せば、ある程度はボス熊との戦闘に集中できるだろう。
「グア“ア”ア”!!」
と考えていると目の前から突進して来る熊…デーモンベアだったか、が向かってきたので戦闘に入る。
「ふっ…っと!」
「!?」
とりあえず真正面から熊を受け止めて少し押されながらも肘でデーモンベアの鼻を潰す。
受け止められたことに少なからず動揺したのか綺麗に肘が当たり暴れ出したので少し離れてから勢いをつけてフリーになった腹を蹴り、デーモンベアが後ろ向きに倒れた。
最初に狩ったデーモンベアとは追いかけっこで時間がかかったが、今の状態であれば前より時間をかけずに倒せそうだ。
まあ、最初の街の周辺のボスではあるから体力が多いがこれくらいなら問題ないだろう。
「グル“ル”…グガア”!!」
そんな事を考えているとデーモンベアが起き上がり声を上げながら両手を大きく開き襲いかかってきたので耳で受け止めてみたが少し無理があったのかギリギリで止めることしか出来なかった。
まあ、耳の使い方を覚える機会としては最適である相手だと思いつつデーモンベアの顔を蹴り上げて後退させる。
次は耳での攻撃を試すとしよう。
属性スライムと違って石のように硬くなく水のように物理無効でないデーモンベアは実験台としては一番良い相手だ。
「ほらよっと!」
「ギャギ!?」
とりあえず追撃でデーモンベアの肋辺りに勢いをつけて耳で殴ってみたが感触としては四肢での攻撃より少し劣る感じだ。
と言っても使い慣れていないし、デーモンベアはそれでもかなりダメージを受けたのか動きが大分鈍ってきた。
とりあえず最後は適当にラッシュを入れて倒したが、体感デーモンベアの体力はボスの時よりちょっと少なく感じたが、一度しか倒せてないし、さしたる問題もないし、さっさと巣に向かうとする。
あの後3体のデーモンベアを狩ったり、他のプレイヤーが共闘を申してきたのを断ってきたりしたが、ようやく熊の巣付近にやってこれた。
月もそろそろ真上に来るが、巣の前は3体のデーモンベアが陣取っていた。
まあ、関係ないので真正面から行った。
もちろんだが、こちらに気づいたデーモンベアどもがタイミングをずらして襲ってきた。
「グルル…グガ!!」
「「グア”ア”!!!」」
なるほど、確かに連携が取れるほどに賢いとなると今までは感じなかったが厄介なのだろう。
が、タイミングが違うのであれば先に近づいてきた奴から倒すのが楽だ。
とりあえず右が近いのでこっちからも近づいて顔を横から蹴り、他の2体も同時に相手をするのは面倒なのでひと睨みして牽制して地面に叩きつける。
まあ、流石に睨んで叩き伏せただけではダメだと思っていたが、そんな事はなく、まるで虐められた者のように縮こまった。
何とも情けないと思うが、まあ、狩りやすいし放っておく。
蹴った奴はすぐに起き上がりはしたが、何故かこっちの様子を見ている。
近づくと少しだけ足が下がった。
もう一度近づこうとしたが、また下がっていくので仕方なく一瞬で距離を詰めて下がる足を引っ掛けて転ばして顔に耳で殴る。
まだまだ威力が低いが精神的に弱った相手を倒すのには十分役に立った。
抵抗されながらも少し押さえつけて、何十発か入れると完全に動かなくなって息絶えた。
「ふぅ……ん?」
一息吐いて残った2体の方を見れば居なくないっていた。
そして辺りに居ないか探すと巣穴の方から何かの叫び声とグシャリと地に叩きつけられる音が微かに聞こえてきた。
どうやら奥に逃げ帰ったのを咎められたか…。
まあ、どうでも良いが歯応えのある敵だと嬉しいんだが、さて、どうだか……。
次回『アクマ狩り-後編-』
次回もゆっくりお待ち下さい




