ソロは仕事を優先する
あれから3日何事もなく平凡な日常を送っていた。
地底湖の橋も今日で完成し、属性スライムの出てくる量が少なくなっていた。
今日は朝早くに喫茶店の片付けを手伝いをしているとメールが届いた。
差出人はいつも通りヘルメースのようで、内容は会って話をしたいと…。
喫茶店の片付けは前日からほとんど終わっており、荷物を荷馬車に載せるだけであと少しで終わるし、「喫茶店に居る」とだけ応えて荷物の搬入作業に戻る。
「これで最後ですかね」
「はい!助かりました!」
「いえいえ、俺が頼み込んだことなので」
「それでもですよ!あ、そうだ!いつでも良いのでお婆ちゃんのお店に来てくださいね!良いよねお父さん!」
「ああ…今日は助かった、ありがとう」
「分かりました、近いうちにでも」
「やった!ミュラナ村って言って東の門を真っ直ぐ行ったらある村ですから、絶対来てくださいね!」
「はい、っと、それでは俺はこれで」
「あ、少し良いですか」
ミダロス山脈に行こうとした足を店主の奥さんの声に止められたので少し戻る。
よくみるとバケットを両手に持って差し出してきた。
「今日はありがとうございました、こちらいくつかサンドイッチを作ったのでお昼にでも食べてください」
「それは…分かりましたありがとうございます、お昼が楽しみになりました」
バケットを受け取って今度こそ店を後にする。
ヘルメースは来なかったがどうしたものか……まあ、いいか。
案の定ヘルメースからメールがまた届いたので、昼にミダロス山脈に来るようにメールを返して属性スライム狩りを続ける。
橋の方は予定通り完成目前で残りの転落防止用の柵の生成と馬車が通れるように平す作業がある。
親方の話ではそれに一応魔除けの灯りを等間隔に設置すればトンネル作業に戻れるようで、トンネルも前と同じ作業速度で行けば大会前には整備が行き届く予定のようだ。
昼休憩になり、いつもの木にもたれてサンドイッチを食べようとしているところにヘルメースが走ってやって来て横に膝をついた。
「も、申し訳、ございません…っは、」
「息を整えてから要件を言え」
「は、はい…」
少し下がって水筒の水を飲んで少し落ち着いてからヘルメースが話し出す。
「3日前に話した件は覚えていらっしゃいますか?その件でお願いしたい事がありまして…」
「3日前か…確かデーモンベアの上位種が出てその討伐のための作戦会議中だったか…しかし、頼み事か…」
「はい、お察しの通り作戦会議後に準備を整えてデーモンベアの上位種ミソパエスベアの討伐に出たは良いものの、敢えなく敗走しました」
「…ほぉ、腕の立つ者は居たのであろう?」
「はい、デーモンベアと互角以上で戦えるプレイヤーを集めれるだけ集め向かったのですが、ミソパエスベアが思ったより賢く、村から離れた場所の洞穴を住処としてさらに配下であろうデーモンベアを目視で確認しただけでも5体が周辺を彷徨いている状況で通常のデーモンベアより賢く動くので少々難航しています」
「…なるほど、それで?まさかとは思うが俺に手伝えと?」
サンドイッチを食べ終えて水を飲み終えてからあえて聞く。
ヘルメースはいつもの弱った顔をして応える。
「そのまさかです。もちろん3日前に手伝えないと言うことは承知の上でお願いいたします」
「ほぉ………何か不味い事でも起こったか?」
「…はい、我々が今回の討伐に当たって拠点としているウィロー村でデーモンベアやそれから逃れて来る野生動物や魔物による被害が出て殆どのプレイヤーが防衛に当たるようになりさらに攻略が遅れており、さらに諦めて離れていくプレイヤーも少なからず出ております」
「……そうか…」
「一応、村長から領主のハンダロへ応援を要請していますが、それまでに保つかどうか…」
「………残念だが、今は行けそうにない、こっちも切りが悪いからな」
「……分か「夜まで待て」え…」
「流石に今から抜けると親方に申し訳ないからな、それで良いか?」
「!是非!」
「では、夜からそちらに向かうが、余り時間をかけたくないからな、その熊の巣の位置情報を貰うぞ」
「もちろんです、我が王よ…こちらになります」
そう言うとヘルメースからメールが届きスクリーンショットが貼ってあった。
ウィロー村までは急げば丑三つ時くらいには着くだろう。
「それでは我が王、夜に迎えを用意します。馬に乗って向かいますがよろしいでしょうか」
「いや、走って向かうから貴様は先に戻れ」
「分かりました、ウィロー村にてお待ちしております」
深々と頭を下げてまた走って街まで戻って行った。
丁度良く昼休憩が終わったので作業に戻るとするか…さて夜が楽しみだ。
次回『アクマ狩り-前編-』
次回もゆっくりお待ち下さい




