ソロは巻き込まれない
朝を迎えた。
今までより質の良いベッドになったからだろうか、かなり目覚めが良い…気がする。
実際バフデハフはないが気分の問題だ。
ゲーム内で眠るというのも変な感じだが今のゲームは大体そういうものだと割り切って部屋を出る。
階段を下りて新聞を待つ。
前までなかった椅子と机が置かれていたので座っていると店員さんが起きてきた。
「…そういや、帰ってきてたんだったね…」
「おはようございます、またしばらくは急な用事がない限りは居ますよ」
「そうか、まあ、金さえ払うなら文句はないさ」
と言ってまた奥に戻っていった。
その後少しして新聞を受け取り、久々に喫茶店へと赴く。
いつも通り営業しており喫茶店に入る。
いつもの席に座りコーヒーを注文してから新聞を読む。
[ミダロス山脈にてスライム討伐者募集]
内容:属性スライムの討伐
定員:なし
資格:魔法もしくは打撃攻撃の得意な方
報酬:1500Z(ドロップ品は買い取ります)
[ミュラナ村にてボヤ騒ぎ]
昨夜ミュラナ村の民家にて火事が発生
村民がすぐに気づき被害は最小限に食い止めれたものの
未だに犯人は捕まっておらず、ハンダロでの連続放火犯の犯行と類似しており、領主ハンダロ氏は
「ミュラナ村及びミュラナ村周辺に近々警備の増強する」とのこと
[ウィロー村近辺の森にてデーモンベアの上位種が出現か]
昨日、ウィロー村にてデーモンベアの討伐依頼を受けた冒険者が深傷を負い戻ってきた。
冒険者によると「デーモンベアより大きく、こちらに気づいた瞬間に仲間が1人やられた。自分たちでは勝てないと思い命からがら逃げ切れた」とのこと
これを受け冒険者組合は「デーモンベアの中でも進化する個体がおり、資料と情報をすり合わせた結果、デーモンベアの上位種に当たるミソパエスベアである事が判明した」
これを受け領主のハンダロ氏はウィロー村近辺の森への無断侵入を禁止し、冒険者組合はギルドに協力を呼びかけている模様。
「…コーヒーお待ち」
「ありがとうございます」
久々の店主のコーヒーを飲み一息ついて続きを読み進める。
読み終えて2杯目のコーヒーを飲み干し、朝食も済ませて会計を済ませる。
その時、あまり喋らない店主が口を開く。
「…すまないが、長期で店を閉めることになった」
「長期で、ですか」
「…ああ、身内が怪我をしてそっちの手伝いに少し出ることになった」
「そうでしたか、お大事になさってください」
「…ああ、ありがとう」
「…となるといつから閉めるんですか?」
「色々準備を含めて3日後には閉める」
「なるほど、まあ、何か手伝える事があれば頼ってください」
「……ああ、そうさせてもらう」
「はい、それではまた来ます」
「…毎度…」
店を出て丁度日が顔を出し終えた頃、時間も良いし今日も属性スライムの討伐に向かうことのする。
ミダロス山脈に着いた。
昨日と同じように3人がトンネル前に居たが、今日は何も言われずアイコンタクトと会釈だけで素通りできた。
地底湖には昨日と同じパーティと違うパーティが増えていた。
特に興味もないので空いているところに陣取り属性スライムの狩りを再開する。
工事の様子を見ながら適当に属性スライムを相手にする。
工事といってもどうやら魔法で土台をある程度作っては休みまた作っての繰り返しだ。
下の方から岩?の土台が迫り上がりそこに橋を渡す。
地味な作業だがこれを人力でやるのと比べるとかなり違うだろうなぁ…と思いながらまた出てきた属性スライムを潰す。
試しに耳で殴ってみたが、扱いがまだまだ難しい。
両手で両足なら意識せずともなんなく動かせる。
が、人間にない器官を動かすとなると意識してどう動かすか思い描きながらでないと攻撃が軽くなる。
それに長耳ではあるが地面まで着く事はないのでどうしてもしゃがんだりしなくては小さい属性スライムを狩る事ができない。
これは属性スライムが飛び上がって突進攻撃をする時にカウンターするのであれば良いが、属性スライムだけあって土属性の属性スライムなら問題ないが、水属性の属性スライムは水を飛ばして攻撃してくるので仕方なく手で狩る。
そんなことを考えていると昼になったようで休憩時間となった。
今日は旅の途中に突っかかってきたデーモンベアの肉を適当に焚き火に当てて食べることにする。
焚き火用の木を適当に囲った石の中に入れて火をつけて、これまた適当にナイフで切ったデーモンベアの肉を串に刺して地面に刺してできるのを待つ。
肉が焼き上がるのを待っていると、トンネル前に居た3人のうちの1人が歩み寄ってくる…あの中で一番できる奴か?
「隣、いいか?」
「構わんが肉は無いぞ」
「それは残念、まあ、それは問題ないさ…私はナガレという昨日件は弟子が失礼をした」
「…俺はエイン、仕事なのであろう?仕方あるまい」
「助かる、彼奴はまだ修行中でな、本来は我々の旅に同行するには未熟なのだが、頑固でな」
「そうか、悪い奴に当たる前に身につけると良いな」
そう言って肉を動かしてついでに木を追加していく。
少しバツの悪い顔で失笑しながら
「たしかにそうだな、あんたで良かったよ」
「それはどうも…」
少し離れた森の方から見られているのを感じて耳を澄ませる。
ナガレも察したのか少し黙ってくれた。
…足音は2人だが、木の上に1人下の2人と違って上手い。
漁夫の利系のPKか、それとも仕事か…まあ、今考えても仕方ない、襲われれば締めるのみっと丁度良く焼けてきた。
警戒を少し残して串を取って食べる。
ドロップ品だからか血抜きができているからかは分からないが獣臭さは無いがかなり固い……そう言えばどっかの料理番組で熊肉を薄く切って料理していたが、なるほど、そういうことだったのか。
かなり固いが食えないこともないので我慢して次は薄く切ってフライパンなり鍋なり使って料理するとしよう。
「…良く食えるものだな」
「まあ、固いには固いが捨てるなどできんからな、これも経験と思って食うしか無いだろう?」
「なるほどそれもそうだ、それより見つけたようだがどうする気だ?」
「…降りかかる火の粉であれば払い悔い改めさせるが、来なければ無視が一番だ…無駄に時間を消費して金が入る訳でもあるまい」
「ふふ…なるほど合理的だな、強そうだから手合わせ願いたかったが金がないからな、また今度機会があればその時に申し込むとしよう」
「………あまり不用意に言うものではない…とだけ言っておこう」
あまりにも回りくどく言って最後に真正面から吹っかけてきたので思わず睨んでしまったが、少し顔を強張っていたがすぐにそれを解いて
「……ふふふ…確かにそうだな、すまない」
「…いや問題はないが、そうだな……人気のなく、真正面から来るのであれば都合は付けるさ」
「そうか、なら次からはそうしておく、と言っても近いうちにやれるであろうからな」
と言い残して元の位置に戻って行く。
周りを見ると既に昼食を済ませて工事を再開させて行くようだ。
俺も火を消して、念のため土で被せて完全に消えたのを確認する。
…近いうちって言っていたがそんな近くではないと思いながら持ち場に戻る…。
次回もゆっくりお待ち下さい。




