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ウサギはソロでも生きている  作者: ハズカシダリア
episode 2 ソロであって暴君ではない
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ソロはスライムと戯れる

 ミダロス山脈のトンネル工事現場に着くと入り口に見張りが3人居た。


「すまない、商業組合から仕事を受けたエインという、中に入っていいか?」

「む、貴殿がエインか、見たところ魔法を使わぬ獣人種に見受けられる」

「ああ、私は素手しか使えないが、魔法がなければ通っては行けないのか?」

「むむ、通っていいが、半端な者を中に入れて事故が起こっては困る…むむむ…」

「ザエ、その者を通せ」

「ウケイ殿、しかし…」

「ウケイの言う通りだ、ザエ、貴様では分からんだろうがこの者はスライム程度さも労せず倒せる…すまんなエインとやら、通ってくれ」

「…ありがとう、通らせてもらう」

「むむむむ…危険な事があれば近くの者に頼るのだぞ?」

「ああ、そうする」


 心配性な男とその兄弟子か師にあたる者達に見送られ中を進む。

 お、前より地面が慣らされている…まあ、結構日数が空いたからその時にやったんだろう。





 前よりかなり掘られているが先の方から戦闘音が近づいて、水の音も鮮明に聞こえ始める。


 現場が見えだすと同時に、鮮やかな色であり透明度の高い地底湖が見えてきた。

 地底湖に完全に入るとドーム状の天井に上から白…いや水色か?水の反射なのかは分からないがクリスタルが天井にいくつかあり、中はランタンの灯りがなくても明るい。


「魔力が回復したら続きやるから今は安全な所で休め!」

「誰か!そっちの水スライム狩ってくれ!」

「こっちはまだ居るから無理だ!」

「土スラ硬すぎてワロエナイ」

「「笑ってる暇があるならさっさと狩れ!」」

「さーせー」


 レイヤさんが言った通り現場の人員が足りていない。

 とりあえず偶々近くにいた水属性スライムを試しに軽く殴ってみる。


 軽くとは言っても勿論狩れるであろう速さと力で殴ると、スライムの体内に入った瞬間から徐々に減速し始めたので焦りはしたが、最終的に中央までに勢いが残りそのまま魔石を殴り抜けた途端にスライムの体の抵抗力がなくなり魔石だけが残った…が、当然ながら魔石は傷が入っていた。


 そしてやはり収納するとアイテム名は傷ついた魔石(極小)となっていた。

 まあ、それはどうでも良いが、さっきの戦闘を最初からずっと見ていた男が近づいてきた。


「お、兄さんやりますねぇ」

「…俺はエイン、貴様は?」

「おっと、これは失敬、あっしはアッシー、チンケな魔人種のプレイヤーです、以後お見知り置きを」

「そうか、では俺は空いているところでやらせてもらう、ではな」

「はい、分かりまし…て、あらら」


 何ともどうでも良い、まるでヘルメースのような誰かに好かれようと、取り入ろうと、もしくはそう言うロールプレイスタイルなのだろうか……まあいい、とりあえず次は作業員の近くにいた土属性スライムに近づき、同じように殴る。


 水属性スライムと違って物理的に魔石を守っているが、その殻はそこらの岩と同じくらいなので容易く砕け、難なく魔石も粉砕した。


 が、それが原因でアイテムドロップは石ころだけだった。

 やはり、スライムの魔石だけを砕くとドロップに影響が出やすいのか…。


「えぇ…素手で岩割れるとかワラエル」

「何言って……えぇ…」


 また、他のプレイヤーに見られて今度は勝手に引かれた。

 どうでも良いが、俺を含めて戦闘しているのが5人で、どうやら4人でパーティーを組んでいるのだろう。


 どうでもいい推測を済ませて、次は魔石を綺麗にドロップさせる方法を見つけるとしよう…土属性スライムはとりあえずどれくらいであれば魔石が残るか数をこなして慣れるしかない。











 何度か試してみたが、土属性スライムはどうやっても魔石を効率良く狩るためには魔石ドロップを諦めて狩るしかない。

 別段金に困っている事もないしわざわざ抑えて手数を増やすより倒す方がスッキリする。


 そして水属性スライムは飛びかかってきた所を速度を上げて魔石を抜き取ると徐々に水の形が保てなくなり、10秒くらいでアイテムドロップとして魔石がそのまま取れた。

 しかもごく稀に(極小)ではなく(微小)の個体も居た。


 もちろん(微小)の個体だと水の形が長く保て、水が腕を伝って魔石に寄ってくるが、届く事なく倒せた。


 そして何より、土属性スライムの派生スライムでクリスタルスライムと言うのも(微小)の水属性スライムより低い確率で(体感)スポーンしてくる。


 クリスタルスライムは土属性スライムより硬度があり、動きもその分重く見えた。

 珍しかったので丁寧に手刀を入れて割るとクリスタル(小)をドロップした。

 もちろんだが魔石は真っ二つに割ったのでドロップ品も欠けた魔石という物になっていた。



「よし!今日の作業はここまで!!解散!!」

「「「「お疲れ様でした!」」」」

「護衛の方々もお疲れ様!!また明日もよろしく頼むぞ!!」


 今回も現場を仕切っているヤカタ親方の指示で作業を止めて、地底湖を後にする。

 作業速度は魔法があるからこそ早いが、当たり前ながら湖の中央は深くなっているせいで土台作りが難航し始めていた。


 そんな心配事を思っているとヤカタ親方が近寄ってきた。


「よう!エインじゃねぇか!元気そうで何よりだ!!」

「親方も元気そうで良かったです」

「おうよ!それにしても土属性スライムを素手で割るとはな、流石獣人種だ!!」

「あれくらいの強度であれば問題ないですね、それより現場は順調そうですか?」

「そうだな、いまんところは問題ねぇが、いかんせん嫌な予感がしてなぁ…」

「嫌な予感?」

「ああ…まあ、それはこれから商業組合のお偉いさんと話して来るからすぐに調査が入るだろうよ!」

「なるほど、できれば何もなく無事に対岸まで橋を渡せたら良いですね」

「まったくだ!ガハハハ!!」


 高笑いしながら街に戻るヤカタ親方の後を追うように俺も街に戻ることにした。


 汗を流し、商業組合から今日の分の報酬と魔石等を売り、ヤカタ親方の馴染みの店で夕飯を済ませて宿に帰る途中、ふとある事を思い出した。


「そう言えば親方、トンネル前の護衛は中で戦わないんですね?」

「ん?ああ、奴らは傭兵組合でたまたま海の向こう側から旅で来たらしくてな、最初はエインの言うように商業組合からそう言った依頼をしたんだが、上の方が入り口の護衛として雇ったらしくてな、まあ森から来る魔物や動物の方も対処せねばならんし、何より変な輩が入ってきて袋のネズミになったら笑い話にも何ねぇからな!」

「そうだったんですか、あ、私はこっちなんでお疲れ様でした」

「おう!また明日も頼りにしてるぞ!」


 ヤカタ親方と別れ、真っ直ぐ宿に戻る。

 …それにしても海の向こうか…いつか行ってみたいものだが、とりあえず今の目標は北のノーディシス帝国だ。

 ある程度の路銀を稼いで旅支度を済ませたら行きたいが、それまでにトンネルは開通するのだろうか…。

 まあ、できなければ山を登って行くしか道はないのだ、また今度ヘルメースにでも道を聞くとしよう。


 宿につけばそこそこ気配と物音が聞こえて来る。

 とりあえず新しくなったベッドで寝るとしよう…結構柔らかくなってるな………。

次回もゆっくりお待ち下さい。

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