ソロは再び王となる
王都の道を歩く。
普段は人通りが多く歩くのも大変な道が今日は全く違い、中央部をパレードが通るほどの広さの空間ができていた。
その道をフードの男と魔人種の男のみが通り、左右に居た人々は驚きと恐怖で誰一人として声を出すことがなかった。
そして、フードの男がとある建物の前で止まり、建物に入っていく。
魔人種の男は建物を見た瞬間、驚きで声が漏れる。
「こ…ここ、は、」
「さて、貴様がやることは3つ
貴様のギルドの解体、そして解体に際しギルドの資金及び資材を分配、もちろん貴様の取り分は無しだ。
そして、最後に貴様を公の場で貴様の犯した罪を貴様が述べること、分かったな?」
「そ、そんな横b「はぁ…」」
魔人種の男は言葉が詰まり、それ以上言わずずっとフードの男の顔より下を見ていた、恐ろしい殺気に顔を見ることができなかった。
「俺の言うことに従うと言ったのはどこの誰だ?貴様だろう?それに横暴と言いかけたようだが、そんな事貴様もやったであろう?」
「……」
「…良いだろう、もう一度だけチャンスをやろう。
今言ったことをやるか、やらないかそれだけ述べよ」
「………や、やらないに決まってんだろうガアアアアアアアア!!!!」
「そうか、では再開といこう」
恐怖で狂気に堕ちた魔人種は力任せに腕そして尻尾を振り回してフードの男に突進する。
「アアアアアアアアアアア!!!!!」
「それが当たるのは阿呆くらいだろう」
しかし、それを全て読んでいたかのように躱し、尻尾を掴み魔人種の男のギルドホームに投げつけ扉を破壊する。
「へ?あ!さ、災害王様!?」
「邪魔をする」
「だ!誰だ!」
「邪魔だ消えろ」
「へぷぁ!?」
不幸にもフードの男の前に立ってしまったプレイヤーが石柱のような硬い脚に蹴り飛ばし、壁に叩きつけられた。
そして吹き飛ばした本人は気にせず投げた魔人種の男に近づき
「まだ死んでいないとは、頑丈な体のようだ…まあ、どれくらい保つか見てやろう」
そう言って気絶している魔人種の男を蹴り飛ばし建物の中の家具ごと壊していく。
その場に居たプレイヤーは何とか止めようと襲い掛かるが近づいた瞬間に投げ、蹴り、挙げ句の果てには武器のように振り回され最初の頃の勢いが少しずつ弱まり、誰も近づかなくなってきた頃…
「さてコレで最後か…」
「な、何を」
「本当であれば其方でプロに頼むのが良いが、俺も何度かこう言う事はやっているからな、安心するが良い。
他の者に迷惑は掛からんだろう」
そう言って魔人種の男を柱に叩きつけ、柱を壊すと魔人種の男は光に包まれ消えてしまう。
「頑丈だったがコレで終わりか…まあ良い、俺はここで帰るとしよう。
用は一部を除いて片付いたからな…ああそうだ」
出入り口まで来て半壊した扉から出ようとした時振り返り
「もうじき倒壊するだろうから逃げると良い…って誰も居ないか…」
そう言って出て行く。
フードの男が出てから数分経ち、野次馬が建物の中を見ようと集まった時、ある者がその場を仕切り始める。
「はいはい、下がって下がってー
これ以上近づくとただじゃ済まないよー
怪我したく無かったらもっと下がった方が安全だよー」
「ギルマス、本当に壊れるんですかね?」
「ん?そりゃ大事な柱全部折れてるし、他のゲームならいざ知らず、ヘッジザラゲストを作った会社が作ったゲームだし、それに建物の方の変な音が聞こえ」
言いかけた言葉を止めて建物の方を見ると先程まで辛うじて形を保っていた建物が豪快な音と共に崩れ、数十秒後には3階建ての建物が見る影もなく瓦礫の山を築いていた。
そして、それを見届けたヘルメースが大声で宣言する。
「見たであろう、貴様らが王と称えた愚王の城は消え、私が王と称えた王の手で愚王を処したのだ!
そして、今ここに宣言しよう!
全プレイヤーの頂点にして、最強のプレイヤー…
災害王の完全なる復活を!ここに!!宣言する!!!」
まるで劇のようにわざとらしく、大々的に発表したこの出来事は、プレイヤーに…否、ゲーム世界中に僅かながら変化を与えたのだった。
そしてヘルメースは宣言を終えた後、部下に指示して瓦礫を片付け、隣の敷地をちゃっかり買収したのであった。
次回はエピローグとなります
知らないキャラとか出てくるかもしれないけど、後々出てくる(予定)なので気にせず
次回もゆっくりお待ち下さい




