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きっと藍色の、その先。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
















―ー画面の中―ー
















眠りについたその夜、少年が認識できたもの、それはやはり
















――始める――
















――リセット――
















この二つの概念だけでした。
















少年は今日も始めるの選択肢を選びます。




















―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

少年は、レンガを積み上げていました。


レンガを摘んでは、そこにセメントをつけてまたレンガを積んでいく。


単調すぎるこの作業を、少年は、ただ黙々と繰り返していきます。


額には汗が浮かび、手は、セメントの匂いが染み付いていきます。


ただ黙々とその作業を繰り返していきました。


目の前のあなたは、どうして、少年は、レンガを持ち合わせているのかと思われるのではないかと思います。


この世界にいて、知ったことがいくつかありました。


というのも、NPCとは日常的なコミュニケーションをとることはできないけど、物を買ったり売ったりすることができるということ。


少年は、森の中で資材を拾い、そしてそれを売ることで、レンガを手に入れました。


そして、それを今積み上げている。


「・・・・・。」


改めて、途方もない作業量だなと・・・少年は思います。


ゴブリンを守るために、柵・・・もとい、壁で平原を覆う。


いくら積み立てようとも、いくら積み立てようとも・・・終わりは見えてきません・・・。


「・・・。」


それでも、少年は、黙々とレンガを積み上げていきます。


―そんな時でした―






―ガラガラガラガラッ―






音がした方を振り向くとあの時と同じく、数枚の板を落としてこちらを真ん丸とした目で見ている青髪の少女の姿。


「・・・・。」


その言葉が、これほどまでに似あうのかと思うほど、真ん丸と目を広げていました。



その顔には、ありありとどうして?と書いてありました。


「きっと、木の板の柵じゃ、不十分だと思うよ。」


そう言って、作業を再開していきます。


少女の顔に段々と笑顔が灯っていきます。


それは、つまり……少女は初めての仲間を手に入れたということ。


耳をすませば、仲間を手に入れたときのBGMが聞こえてきそうです。


だから、


二人肩を並べて、その作業は再開されました。


無言のまま、二人はレンガを積み上げています。


ちょっとずつ、ちょっとずつ、レンガが積み重なっていきます。


互いに汗を額に浮かべながら…


少しずつ、すこしずつ。




、、、、




「そういえば・・・」


小一時間ほどたったころでしょうか、口を開いたのは、少女の方。


「名前・・・・どう呼べばいいの?」


セメントで汚れた手で汗をぬぐいながら、少女は少年を見上げます。可愛らしい顔が少年を見上げます。


今更ですが、二人はお互いの名前をいまだに知ってはいないのでした。


「桜田・・・・修二。」


「修二・・・いい名前だね。」


いきなり、下の名前で呼んでくるのかと、少年は思います。


「君の名前は・・・?」


「・・・・分からない。」


寂しそうに俯きます。


一人しかいないこの世界では、少女に名前を付けてくれる人だっていません。


「ねぇ。」


また、少女は少年を見上げます。


「君が私の名前を付けてよ。」


ですが、


「・・・俺が?」


今なら、彼女に名前を付けてくれる人が、一人だけいる。


「・・・だめ?」


少女は、優し気に微笑んで、ちょこんと首を傾けます。


少年は、悩むように首を傾けると、その視界にこの世界の群青が飛び込んできました。


「じゃあ、ソラ。」


「・・・ソラ?」


「そう、空と同じ髪の色をしているから・・・ソラ。」


「ソラ・・・・・いい名前だね。」


少女は、その名前をかみしめる様に呟くと、ヒマワリのような笑顔を浮かべて、ありがと、そうつぶやきました。


「これからもよろしくね、修二。」


「うん、よろしく・・・ソラ。」


二人はまた黙々と仕事を再開しました。


-to be continued-



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