きっと藍色の、その先。
―現実世界―
”クロの店”で、俺は、ゲームの攻略本を読んでいた。
何となく・・・読んでいた・・・という訳ではない。
あの青髪の女の子を助けるため、俺は武器を探していたのだ。
しかも、ただの武器・・・という訳ではない。
そして、ある一点でその視線が、止まる。
―その時―
「ふむ、眠り木の刀かい・・・?確か・・・相手を傷つけることなく、眠らせることのできる刀・・・だっけ?」
気付くと、間宮さんがいつの間にか隣にいて、攻略本をのぞき込んでいた。
胸元がチラリと見えて、女性らしい膨らみが、一瞬視界に映る。
ふむ・・・と、思案する声に視界を戻した。
そして一言。
「なあ、君は誰も傷つくことのない正義というものが・・・本当に存在すると思っているのかい?」
その目は、いつもからは想像できないほどに………シラケきっていた。
「・・・。」
「断言しておいてあげよう。」
心底失望したかのように………
「誰も傷つけることのない正義なんてものはね・・・この世のどこにも存在しないんだよ?」
「・・・・。」
その言葉は・・・あまりにも……あまりにも……心の奥底ににぐさりと突き刺さった。
「そんなものを追いかけたって・・・すべて失ってしまうだけだ。」
「俺はそれでも・・・・・。」
思い浮かぶのは、あの子の笑顔。
常に危険に満ちた世界…それでもあの子は誰かを傷つけることを悲しむに違いない…
間宮さんはしらけたまま・・・
「好きにでもなってしまったのかい・・・?」
間宮さんは自分の髪の先をいじりながら、心底興味を失ったとでもいうようにそう言う。
「・・・分かりません……。」
「そうかい。」
ため息をつく。わざとらしいものではないただただ自然と漏れたそれ・・・
「君は・・・私と同類と思ってたんだけどなぁ・・・。」
「・・・・。」
「もし、本当に守りたいものがあるのならば、世界を敵に回しても、どうしようもないくらい黒色に染まったとしても、君の信じる正義を貫きたまえ。」
一拍
「影のない光なんて、ただのまがい物だ。」
「・・・。」
俺は、返事ができなかった。
「きっと、君は選ぶことになる。大切なものか・・大切なものを捨てた倫理感の・・・どちらか。」
「・・・・。」
「もし、そのどちらをも選べぬというのならば・・・」
「・・・・。」
「きっと君は・・・全てを失うことになるだろうね・・・。」