表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/25

きっと藍色の、その先。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
















―ー画面の中―ー
















眠りについたその夜、少年が認識できたもの、それはやはり
















――始める――
















――リセット――
















この二つの概念だけでした。
















少年は今日も始めるの選択肢を選びます。




















―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今日もまた・・・無垢な青空が、その世界を包んでいました。


地上にあるのは、大量の・・・ゴブリンの墓。


そして・・・


膝をついて、祈りをささげる・・・一人の少女。


少女は、目をつむって・・・ただただ、祈っていたのです。


「・・・。」


この世界に降り立ったばかりの少年は、そっとその姿を後ろから見ています。


後ろから見る、その少女の姿は、満たされすぎてしまった我々現代人のなくしてしまったものを・・・如実に示しているような気がしました。


―少女は、そっと・・・目を開けます。―


ぽつりと、


「ごめんなさい。」


呟いた。


「ここにあるのは、ゴブリンだけの墓だけじゃなくなった。」


「・・・?」


後ろから見ているため、その女の子がどの表情をしているのか・・・少年は分かりませんでした。


「ゴブリンをたくさん殺し、あなたも傷つけた冒険者・・・その墓もさっき・・・ここに作ったの・・・。」


「・・・。」


傷のふさがったお腹、そしてなくなってしまった左腕。そのどこかが疼くような・・・。


「どんなにひどいことをされても・・・。」


一拍


「どんなに悲しいことをされても・・・。」


一拍


「どんなに仲間が殺されても・・・。」


一拍


「誰かが死んで悲しいと思うこの気持ちだけは・・・消すことができない。」


一拍


「・・・だから・・・」


少女は立ち上がります。


振り返って・・・


少年の左腕を見つめます・・・。




「・・・ごめんなさい。」




今日もまた無垢な青空の元・・・そんな空の色のような色の髪をした少女は、何とも表現しずらい表情をして・・・そうつぶやくんです。


「・・・。」


少年は、上手く言葉を紡げません。


それはきっと、怒っているからだとか・・・そういった理由ではありませんでした。


ただ、そんな表情でこちらを見ている少女に、どういった声を掛けたらよいのか・・・そう思うと・・・

言葉が出てこないのでした。


―と、―


二人の間に生き残ったゴブリンたちが集まってきます。


来た当初、たくさんいたはずのゴブリンは、しかし・・・


その数を、7まで減らしていました。


「こんなに・・・減っちゃったんですね・・・。」


少年は、先の言葉の返答をうやむやにごまかしながら、そう聞きます。


少女は、優しくゴブリンの頭を撫でて・・・。


「死んだら・・・それまでだから。」


そして、再度、少年の方を向く。


「・・・やめようよ。」


「?」


「・・・敬語。」


「・・・。」


「私・・・・」


「・・・。」


「君と・・・友達になりたいんだ。」


首をちょこんとかしげて・・・その女の子は、寂しそうな笑顔を浮かべていました。





評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ