きっと藍色の、その先。
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―ー画面の中―ー
眠りについたその夜、少年が認識できたもの、それはやはり
――始める――
――リセット――
この二つの概念だけでした。
少年は今日も始めるの選択肢を選びます。
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今日もまた・・・無垢な青空が、その世界を包んでいました。
地上にあるのは、大量の・・・ゴブリンの墓。
そして・・・
膝をついて、祈りをささげる・・・一人の少女。
少女は、目をつむって・・・ただただ、祈っていたのです。
「・・・。」
この世界に降り立ったばかりの少年は、そっとその姿を後ろから見ています。
後ろから見る、その少女の姿は、満たされすぎてしまった我々現代人のなくしてしまったものを・・・如実に示しているような気がしました。
―少女は、そっと・・・目を開けます。―
ぽつりと、
「ごめんなさい。」
呟いた。
「ここにあるのは、ゴブリンだけの墓だけじゃなくなった。」
「・・・?」
後ろから見ているため、その女の子がどの表情をしているのか・・・少年は分かりませんでした。
「ゴブリンをたくさん殺し、あなたも傷つけた冒険者・・・その墓もさっき・・・ここに作ったの・・・。」
「・・・。」
傷のふさがったお腹、そしてなくなってしまった左腕。そのどこかが疼くような・・・。
「どんなにひどいことをされても・・・。」
一拍
「どんなに悲しいことをされても・・・。」
一拍
「どんなに仲間が殺されても・・・。」
一拍
「誰かが死んで悲しいと思うこの気持ちだけは・・・消すことができない。」
一拍
「・・・だから・・・」
少女は立ち上がります。
振り返って・・・
少年の左腕を見つめます・・・。
「・・・ごめんなさい。」
今日もまた無垢な青空の元・・・そんな空の色のような色の髪をした少女は、何とも表現しずらい表情をして・・・そうつぶやくんです。
「・・・。」
少年は、上手く言葉を紡げません。
それはきっと、怒っているからだとか・・・そういった理由ではありませんでした。
ただ、そんな表情でこちらを見ている少女に、どういった声を掛けたらよいのか・・・そう思うと・・・
言葉が出てこないのでした。
―と、―
二人の間に生き残ったゴブリンたちが集まってきます。
来た当初、たくさんいたはずのゴブリンは、しかし・・・
その数を、7まで減らしていました。
「こんなに・・・減っちゃったんですね・・・。」
少年は、先の言葉の返答をうやむやにごまかしながら、そう聞きます。
少女は、優しくゴブリンの頭を撫でて・・・。
「死んだら・・・それまでだから。」
そして、再度、少年の方を向く。
「・・・やめようよ。」
「?」
「・・・敬語。」
「・・・。」
「私・・・・」
「・・・。」
「君と・・・友達になりたいんだ。」
首をちょこんとかしげて・・・その女の子は、寂しそうな笑顔を浮かべていました。