令嬢はゲームと現実の違いを思い知る2
この時期は偏頭痛がひどい(´・ω・`)
気圧の変化が少ない国に行きたい(´・ω・`)
お久しぶりですわね、ローゼリアですわ
学園に入ってから1ヶ月
どうやらゲームが始まったようですの
子爵令嬢のヒロインが次々と攻略対象に接触していますわね
見事な手腕ですわ
心の底から応援しますわ
頑張れヒロイン!貴女ならやれる!
わたくしも少しですがお手伝い致しますわね
けれどもわたくしはこの時忘れていたのですわ
ここがゲームではなく現実だということを……
♢♢♢♢♢♢♢
「まぁ!見て下さいませ」
「またですわ。どうにかならないのでしょうか…」
あらまぁ…手の早いことですわね
それにしても誰もが通る場所から見える中庭で二人寄り添って話をするなどよくできますわね
「ローゼリア様、よろしいのですか?」
「殿下が良しとしているならばよろしいのではなくて。殿下にはまだ婚約者もいらっしゃらないのですから」
「ですが…ローゼリア様は婚約者候補ですが卒業後すぐに婚約者になることが決まっていますのに…」
「わたくしは候補の1人でしかありませんわ」
「あの方、殿下以外の方とも親密だと噂になってますわ」
「婚約者のいる方にまで馴れ馴れしく寄り添うように側にいるとか」
へぇ〜〜〜すごいねヒロイン
誰狙い……というより逆ハーレム狙いなのかしらね
まぁ何でもよろしいですけど悪役令嬢としてわたくしが登場しないことには燃え上がるような恋にはなりませんわよね
さしずめわたくしは加速装置ですわね!
ローゼリア!行きまーす!
「殿下、お話中のところ失礼致します」
あら、邪魔されて睨むなんて誰かに見られたら台無しですわよヒロイン様
「やぁ、ローゼリア」
ふふふ、わたくしが悪役令嬢だとわかって嬉しそうにしてらっしゃるのね
ええ、ええ、貴女の予想通り邪魔しに来ましたわ
「殿下、そちらのご令嬢ととても親しいようですわね」
「ん?そうかな…ローゼリアから見てそう見えるかい?」
「そうですわね」
殿下の顔が赤い?
おおっ?これは…
もうすでにヒロインにメロメロなのかしら
グッジョブですわ!ヒロイン様
もっと燃え上がるよう後押ししなくては!
「初めまして。わたくしカーマイン侯爵家のローゼリアと申します」
「え……あ、えと…初めまして」
あらあらあら、家名も名前も言わないなんてわたくしに攻める隙を下さったのかしらね
「まぁ…このわたくしに名乗りもしないなんてどんなお育ちをしていらっしゃるのかしら」
「ひどいっ……私は子爵家ですがお父様やお母様にちゃんとマナーは教えられました!」
「そうでしたの。貴女のその態度が子爵家のマナーでしたのね。わたくしの知っているマナーとは違いましたので知りませんでしたわ」
「そんな…」
お目目うるうる可愛いですわね
男性はこういうか弱い守ってあげたくなるような女性がいいのでしょうね
そういえば、前世でもぶりっ子な子は男の子に人気でしたわね
女性から見ればすぐわかる演技でも騙されるのが男性ですもの
ですが!それでいいのですわ!
さぁ!さぁ!殿下!大いに騙されて下さいませ
「ローゼリア、たとえ今間違っても学生のうちに直せばいい。そのためにこの学園があるのだから」
「ミヒャエル様…!」
嬉しそうですわねヒロイン様
殿下もほんのり赤い顔でにっこりヒロインに微笑んでいますわ
いい感じですわ
「そうですわね。たとえ男性にそのように寄り添うことが淑女としてあってはならないことでも学生のうちに直せばいいのですわね」
「どうしてそんな意地悪なこと言うんですか?私が子爵令嬢だからってバカにしてるんですか!?」
「爵位は関係ありませんわ。もちろん意地悪でもありません。貴女の資質の問題ですわ」
「そんな言い方しなくても……」
目に涙を溜めて悲しそうにしつつ殿下から顔が見えるように俯くなんて……なんて高等技術なんでしょう!
「彼女も頑張っているんだ、もう少し見守ってあげてくれないかな?」
「頑張っているとして、それがなんですの?」
「え……」
ああっ…そんなビックリしては涙が引っ込んでしまいますわ
いけませんわ、ヒロイン様はずっと健気に耐えるところを殿下に魅せなくてはっ!
「そのようなこと当たり前ではないですか」
ふふふ、ちょっと意地の悪い笑顔がいい感じにできましたわ
家で練習した甲斐がありましたわね
これぞ悪役令嬢!
そして健気でか弱いヒロインを守る攻略対象!
今のわたくしは加速装置…2人の恋を燃え上がらせますわ!
「ローゼリア」
「なんでしょうか?」
おこ?激おこ?プンプン丸?
恋心を抱いてる相手を悪く言われれば庇いたくなりますわよね
怒りたくなりますわよね
さぁ!殿下!恋心スイッチを入れるのです!
「嫉妬してるのか?」
「…………」
うそ……だろ……
「可愛いな。嫉妬なんかしなくても俺にはお前だけだ」
いやいや!
俺にはお前だけだ(顎クイ)とかいらねぇぇ!
そもそもなんでお前呼びされてんの?
イケメン王子でいい声で「お前だけだ」とか2次元なら悶えるところだけど…
だけど!ここはリアル!現実!
キッツイわ〜
お前だけとか重たいよ!これ絶対、わたくしにも「俺だけ」っていうのを押し付けてくるやつでしょ!
押し付けなくても期待してるやつでしょ!
「え…?ミヒャエル様…?」
ヒロインもっと頑張れよ!
Youもっとやっちゃえよ!
「だが、ローゼリアに嫉妬されるのも悪くないな」
……っ!
やっちゃうのはお前じゃねぇよ!
さり気なく髪をかきあげて「嫉妬されるほど愛されてる俺」(ドヤ)とかいらねぇぇ!
どこに嫉妬要素あった!?
普通のことをキツめに言っただけじゃない!
頭お花畑か!
その花畑をこっちに持ってくるんじゃない!
ヒロインをその花畑に案内しろよ!
焼くぞ!
その花畑焼いて、焼き野原畑にしてやるぞ!
♢♢♢♢♢♢
そうでしたわね…ここは現実
ゲームではないのですわ
ヒロイン補正どこにいきましたの?
現実って厳しいのですわね
ヒロイン様…
本当に本当に頑張って下さいませっ…!
ゲームだろうと現実だろうとヒロインは貴女ですわ!
髪かきあげてふぁさ〜に思わず笑いそうになったローゼリアでした(´・ω・`)