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第86話 演劇「戦いは永遠に」

「これより、特殊クラスの演劇、『戦いは永遠に』」を上演いたします。


(幕が上がる)


「キャサリン! キャサリンはいるかい!」

 キャサリンの母親のリャはキャサリンを呼びました。

「なんですか、お母様」

「この国の破滅を目論む魔王キルルを倒せば一億ゴールドだとよ! 倒してらっしゃい!」

「そんな、わたしはふつうの女の子なのに」

「そんなの知らないわ。ほら、妹のネルのためにもお金持ってきてよ!お父さんも病気だし、お前しかお金持ってこれないでしょう!」 

 リャに抱かれた赤子のネルはバブーと泣きました。キャサリンの父、ポールトーマスは病床で寝ています。

「はい、わかりました……」

 キャサリンが途方にくれていると、魔法使いショウが通りかかりました。

「魔王を倒す魔法? 私は攻撃魔法は使えないの。だけど変身魔法なら使えるわ。だからせめて美女に変身させてあげる」

 ショウが変身魔法を唱えると、キャサリンは美女に変身しました。

(観客どよめく)

 すると、目の前に、いきなり少年が現れました。

(観客どよめく)

「なんと綺麗なお方だ。結婚してください」

「まあなんと現金な。美人になった途端これ? だけど、そうね、魔王キルルを倒すのを手伝ってくれたら結婚してもいいわ。あなた、名前は?」

「ワープマンです。瞬間移動ができる格闘家です」

「うん、なかなか役に立ちそうね。さあ、魔王を倒しに行くわよ!」

 ワープマンを従えたキャサリンは、魔王キルルの元へ向かいます。


 魔王キルルが住む森へ向かいました。

(草魔法で作ったであろう木々がステージ上に現れる)

 メガネをかけた魔道士が現れました。

「私は魔王キルルの手下ポールトーマス。お前らはここで殺す」

「何この人! 私のお父様そっくりじゃない! こんな人私には倒せないわ!」

 キャサリンは戸惑います。

「私にお任せを!」

 ワープマンとポールトーマスが戦います。

(ワープマンが瞬間移動魔法と格闘技を繰り出し、ポールトーマスは複合魔法で応戦した)

 ワープマンが勝ちました。ポールトーマスはキャサリンの手下となりました。

 キャサリン一行の元に、派手な男が現れました。

「俺は魔王キルルの手下トイだ! クイズに答えられたらこの先通してやろう」

「そんな、クイズなんて、ろくに学校も行かせてもらえなかったのに、どうすればいいの?」

 キャサリンはまたしてもピンチです。

「私もクイズは得意ではありません」

 ワープマンも言いました。

「ここは私が。勉強は得意なのです」

 ポールトーマスが応戦しました。

「うーん、これは……」 

「坊ちゃんが池にぼっちゃん!」

(観客なぜか爆笑)

「うう、観客の笑い声が邪魔だ! しかし、負けないぞ!」

 トイとのクイズ対決に勝利したポールトーマス。トイはキャサリンの手下になりました。


 とうとう魔王キルルの住む森に来ました。

(恐ろしい雰囲気の音楽が聞こえてくる)

「ふははは。来たな。愚か者ども」

 魔王キルルが現れました。 

(ステージ上の木々がすべて枯れる。観客どよめく)

「来たわね! 魔王キルル! この国をどうする気なの!」

「この国はみんな背が高すぎだ。チビッだってみんないじめやがって! 皆殺しにして、小柄な女だけ残して世界を仕切り直す!」

「な! 長身美女のキャサリン様に対してなんという冒涜、許せん!」

 ワープマンは憤りました。

「魔王キルル様、もう無益な殺生はおやめください!」

「そうです! おやめください!」

 ポールトーマスとトイが言いました。

「うるさい! みんな死ね!」

 キャサリン一行と魔王キルルは衝突しました。キャサリン一行が勝ちました。当然です。四対一だからです。数の暴力です。

(キルルが枯らした木々が息を吹き返す。観客どよめく)

「キャサリン様、魔王は倒しました。結婚しましょう」

 ワープマンが、言いました。

「いや、キャサリン様とは僕が結婚する」

 ポールトーマスが言いました。

「いや、キャサリン様は僕が」

 トイも言いました。

 そのとき、キャサリンの魔法がとけ、元の姿に戻りました。

(観客どよめく)

「やっぱり僕はいいです。みなさんどうぞ」

 ワープマンが言いました。

「僕もいいです。どうぞ」

 ポールトーマスが言いました。

「どうぞどうぞ」

 トイも譲りだしました。

 腹を立てたキャサリンは三人とも殺しました。

 キャサリン一行は褒美をもらいに女王様のところへ向かいました。

「私はこの国の女王リリイ。よくぞ魔王を倒してくれました。一億ゴールド差し上げましょう」

 こうして、キャサリンは一億ゴールド手にしました。手下は全員殺したので、褒美は独り占めです。家族の元には戻らず、お金を独り占めして旅に出ました。家族は野垂れ死にしました。


 一年後、キャサリンは絶望していました。

「結婚したけど、旦那は金目当て、男なんてどいつもこいつも見た目ばかり……こんな国、滅びればいいのに……」

 憎しみでキャサリンの周りの木々が枯れました。魔王キャサリンの誕生です……


(幕が降りる)


読んでくださってありがとうございます!

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