第7話 東と西の特殊魔道士
東からの特殊魔道士一人目。丸坊主の男の子だった。
「瞬間移動魔道士のワープマンさんです。瞬間移動魔道士は名前のまま、瞬間移動ができる魔道士です」
「よろしく! ただ足が早いだけかと思ってたけど、瞬間移動までできるようになるなんて楽しみだよ!」
ワープマンはとても明るそうな少年だった。なんと東の端にある故郷の村から走って王都まで来たらしい。はっきり言ってありえない。みんなびっくりしていた。
東からの特殊魔道士二人目は金髪のポニーテールの女の子だった。薄着の活発そうな子だ。
「簡略魔道士のリャさんです。簡略魔道士は、魔法の詠唱を簡略できる魔道士でして、普通の魔道士より素早く魔法が発動できます」
「リャでーす。みんなよろ!」
リャは、みんなに気さくに挨拶したあと、紹介されたクラスメイトの名前を早速省略しあだ名をつけた。ポールトーマスは「ポー」カランドは「カラ」僕は「キル」ネルとトイはそのままだった。
東出身の二人、瞬間移動魔道士ワープマンと、簡略魔道士リャは、二人とも非常に親しみやすい人柄だったので、トイとカランドと僕の王都観光に誘うと、喜んで付いてきた。だが、ワープマンもリャも興味のあるものを見つけるとすぐどこかに消えてしまう。せっかちなタイプのマイペースな子だった。この二人はそれぞれ単独で動く方が向いているとトイが判断し、それ以降は誘わなかった。
第三週、今度は西からさらに二人加わった。二人とも女の子だ。
一人目は、ショウという名前の、ラベンダー色の髪を肩まで伸ばした、大人しそうな子だった。なかなかかわいい顔をしていたが、肩書きは「笑わせ魔道士」という、わけのわからないものだった。
「笑わせ魔道士は、笑いキノコを食べたときのような作用を起こす魔道士です」
説明を聞いてもなんだかしっくりこなかった。
もう一人は、こう言っちゃなんだがかなり醜い容姿の女の子だった。ずんぐりむっくりで、目が小さく、鼻と口が大きく、肌荒れがひどい。
うちのクラスにいる女の子は、ネルも、リャもショウも中身はあれでも見た目は皆そこそこかわいいので、余計に醜さが引き立ってしまっていた。
「彼女はキャサリン。変身魔道士です。名の通り変身できるようになります」
「よろしく。レベル100になったら絶世の美女に変身できるようになるらしいわ。私、頑張ります!」
キャサリンは変身魔法を極めるべく意気込んでいた。
「絶世の美女かあ。楽しみだなあ」
男子たちは少し浮き足だった。僕も絶世の美女姿、早く見たい。
特殊魔道士名簿(判明順)
1退化魔道士ネル 二年留年女 南出身
2クイズ作成魔道士トイ 留年男 王都出身
3複合魔道士ポールトーマス 男 北出身
4音楽魔道士カランド 男 北出身
5即死魔道士キルル 男 北出身
6簡略魔道士リャ 女 東出身
7瞬間魔道士ワープマン 男 東出身
8笑い殺し魔道士ショウ 女 西出身
9変身魔道士キャサリン 女 西出身
あとは南出身の特殊魔道士を待つのみとなった。
「南は・・・最低一人は来ますね」
校長先生が言った。
「どうして断言できるんですか?」
ポールトーマスが尋ねた。
「まあ、これは実際現れたらわかりますよ」
校長は言葉を濁した。
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