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第62話 春の恐怖の遠足

 レベル40になった。人を殺せるレベル80まであと半分というところに来た。あれだけいろいろなモンスターやら動物やらを殺して、まだ半分なのか、という感じだ。レベル80までは遠いなあ。レベル100までの道のりは、本当に長い。

 僕は、レベルを上げたい気持ちが割と強い方だと思う。それでも、毎日毎日同じことの繰り返しには若干嫌気がさしていた。モンスターを殺すのはいいけど、いつも同じようなモンスターを殺すのに飽きてきているのだ。レベル50になると、新しい呪文を使えるようになり、倒せる対象のバリエーションが増えるのだが、それにはあとレベル10上げないといけない。考えるだけで嫌になってきた。こんな気持ちになるのは即死魔道士になって初めてだった。


 魔法が使えるようになったばかりのころはそれはそれは感動した。ただの人から魔法使いになるのは大きな変化だから、当然だ。現に、ロビーに出入りしている一年生の特殊魔道士達は、身につけたばかりの特殊魔法を楽しそうに乱発している。だけどその感動は、日々が過ぎるにつれ薄れていくのだ。僕が考えていることは、皆もわりと考えているようだった。何かあれば魔法を使っていた、ショウやトイ辺りが最近おとなしい。


「皆さん、最近ちょっと中だるみですねえ。レベルの上がり方が遅いです」

 いつも、僕達を褒めてくれている校長先生が、珍しくホームルームで苦言を呈した。

「まあ、このぐらいのレベルの魔法使いが皆通る道ですね。魔法を習得したときの感動は薄れているし、まだレベル的にすごいことができるわけでもない。学校生活にも慣れてしまって、割とつまらない時期なんですよね」

 と校長先生は続けた。

「校長先生はこういう時期どうしてたんですか?」

 ショウが質問した。僕達は先輩の学年に特殊魔道士がいないから、身近な特殊魔道士の先輩が校長先生ぐらいしかいない。校長先生はどうしていたのだろう。

「やっぱり、魔法を使わざるを得ない状況に身を置くのが一番ですね。実は、もう少しあとで遠足を考えていたんですが、いい機会なので前倒ししましょうか。わたくしの学生時代にも行われた遠足です」

 次の日、校長先生は早速遠足のしおりを作ったらしく、ホームルームで皆に配布した。

 しおりには「春の恐怖の遠足」と書かれていた。文字の雰囲気もなんだか怖い。

「せ、せんせい……なんかしおりが物騒なんですけど……」

 トイが声を引きつらせながら質問した。皆もしおりに度肝を抜かれていた。

「魔道士がただのピクニックに行くわけありませんよ。魔道士は命がけでモンスターと戦わなきゃいけないときがありますからね。時々は身の危険が伴う実習も行います。厳しいですが、終わればレベルが一気に上がります。もう少しレベルが上がればまた新しい楽しみが見つかりますから。頑張ってくださいね」

 


読んでくださってありがとうございます!

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