第54話 リャの近道
簡略魔道士リャだよー。やっと簡略魔法がレベ30になった!簡略魔道士は魔力が少ないからレベ上げに時間かかるんだ。にしても、あたしこの学校に来てからパッとしないなあ。バトロワも4位だったし。あたしこれでも中学までは勉強も運動もできておしゃれでちょー人気者だったんだよ?それがここの学校だとなんでもあたしより出来るやつがごろごろいるんだわ。世の中上には上がいるね。
レベ上げも終わったし式典期の王都を観光……パトロールに行こっと。
おおー、式典期の王都はにぎやかだなあ。ん?冊子を見ながらキョロキョロしてる女の子がいる。見た感じ式典に来た中学生だ。王都の街は複雑だから多分道に迷ってんだね。
「ねえ、もしかして道に迷ってる? よかったら案内するよ!」
「あ……えっと……式典期しかやってないサーカスがあるって噂で聞いたんですけど……」
「なるー。こっちこっち」
あたしはその女の子を案内した。路地裏を抜けようとすると、
「あ、あの冊子に書かれたルートと違うんですがいいんですか」
「いーの。こっちのが近いから」
ただ、ルートに載せないのはワケありの道だから。
「おいおい、俺達の縄張りに勝手に入っていいと思ってんのか? 通行料10000ゴールドもらうぜ」
案の定、めんどくさそうなおっさんたちが出てきた。しかも五人組。10000ゴールドとかバカ?あたしのお小遣い三ヶ月分じゃん。
「はいどいてー」
簡略魔法でちゃちゃっと五人に一発ずつ魔法をお見舞いし、おっさんたちは倒れた。簡略魔法は威力が低いからおっさんたちもすぐ復活するからさっさと先に向かう。
「着いた! ここだよ」
派手な壁色のサーカス小屋に着いた。
「魔道士さん、ありがとうございます! 国立魔道士学校の魔道士さんって凄いんですね! 魔道士さんの名前伺っていいですか?」
「簡略魔道士リャだよ! 帰りは他の客に着いていけば大通りに出るから! じゃあね!」
この女の子とは意外なところで再会するんだけど、それはもすこし先の話。
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