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エピローグ

 僕はいじめられていた。


 理由は、お父さんもお母さんも、魔法が使えなくて、多分僕も使えないから。クラスメイトから「無能」って言われていた。


 ある日、僕は学校をサボって、村の外に出た。

 草むらに座っていると、僕に向かって野犬が走ってくるのに気がついた。逃げなくちゃ!と思ったとき、いきなり野犬が倒れた。

「し、死んでる……?」

 野犬は、死んでいた。どうしていきなり死んだんだろう。

「大丈夫かい?」

 後ろから、男の人の声が聞こえた。黒髪で、真っ黒なローブを着てマントをつけて、ロッドを持っている。小柄で優しそうな顔をしていた。横に首輪を着けた女の人がいた。目が白目がなく真っ黒で、ヘビみたいだ。男の人は、その女の人の首輪に紐をつないで引き連れていた。

「お兄さん、魔道士さん?」

「そうだよ」

「野犬、お兄さんが魔法で倒してくれたの?」

「そうだよ。君はどうしてこんなところに? 学校は?」

 僕はその魔道士さんと話をした。いじめられていることを話したらとても親身になって聞いてくれた。

「魔法については、適正検査のときまであきらめないで。もしかしたら、魔法の素質があるかもしれないから。それに、魔法が使えないからって無能なわけじゃないよ」

「ありがとう。魔道士さんはここで何してるの?」

「恋人とケンカしたんだ。浮気されちゃって、うっかり殺しそうになったから頭冷やそうと思って、ちょっと小旅行」

「そうなんだ。横の女の子は?」

「ペットだよ。人間じゃなくて人型モンスターなんだ。飼い主がひどい人だから引き取ったんだよ。恋人が浮気したからつい飼っちゃった。色白でかわいいでしょ」

 たしかに横の女の子は、とても肌が白かった。死人みたいだ。

「そうなんだ……あっ、もう僕、家に帰らなきゃ」

「気をつけてね。僕も、恋人のところにそろそろ帰ろうかなあ……あ、もしね、18歳になっても、いじめられていた恨みが消えなかったら、僕のところに来て」

「魔道士さんのところに行ったらどうなるの?」

「僕がいじめていたやつらを殺してあげるよ。僕は『即死魔道士キルル』。殺すことが仕事だからさ」

 魔道士さんは、そう言って笑った。殺すことが仕事には見えない、綺麗な笑顔だった。僕は少しだけ怖くなった。このお兄さん、言ってることと見た目が合わなくて怖い。

「大丈夫だよ。君みたいにいい子は殺さないから。じゃあね」

 魔道士さんは、僕の気持ちに気がついたのか、優しく言ったあと、去っていった。



 






この物語はここで終わりです。


読んでくださってありがとうございました。


最後まで読んでくれた皆様には本当に感謝いたします。



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