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第130話 暴露

 僕はこれからどうしよう。即死魔法の素質が見つかってから、魔法が使える嬉しさと、いじめっ子への復讐で頭がいっぱいで先のことなんて考えてなかった。ちゃんと考えなきゃいけない。

 とりあえず、先生から一旦離れようと思った。一度先生から離れて、これからどうするか考えたかった。

「先生、僕、自分の部屋に戻るよ」

 僕がそう告げると、

「わかりました。いつでも来てくれていいですからね」 

 先生は快諾してくれた。


 自分の部屋に戻るため、特殊クラスの寮がある学校の地下に行った。今は後期のテスト期間で、みんな出払っていた。ちょっとほっとしながら自分の部屋に入った。

 リリイと、ちゃんと話さなきゃ。

 一番最初に思ったことはそれだった。リリイのこと、ずっと放ったらかして、校長先生と遊んで、もうリリイのところに戻れない。きちんと別れを告げよう。

 ロビーにリリイが来るのを待とうと、僕はロビーに行った。

 そのロビーに、見知らぬ人が立っていた。

 背の高い、男の人……?

「あ、あの?」

「おや、きみはここのせいとですね」

「ど、どなたですか」

 なんだ?この人?見た目は普通の男の人に見えるが何か違う。

「わたしはきみたちのせんせいです」

「先生?」

 何言ってるんだこの人。僕達の先生は、校長先生だけだ。

「はい、きみたちをもっとかしこくするためにやってきました」

「あなた、何者なの?」

 本当に何者だ?部外者が早々ここに来れるはずないけど、どう考えても部外者だ。どうしよう、殺してしまおうか?だけどもしかしたらここの先生の一人かも――

「キルル、そいつから離れろ!」

 後ろから叫び声がした。トイがいた。

「トイ、この人は?」

「人型モンスターだよ! お前! とうとう来やがったな!」

「トイくん、ひさしぶりです。ずいぶんかしこくなりましたね。だけど、ここのせきゅりてぃのくいずはまだまだですね。かんたんすぎて、すぐにはいれてしまいました」

「トイ、何こいつ!?」

 ポールトーマスの声だ。いつの間にか、特殊クラス全員がロビーに集まっていた。校長先生もピエロ姿で駆けつけていた。

「こいつは、昔、俺のこと誘拐したんだ。賢いやつは生かしてくれるけど、賢くないやつは殺してくるんだよ!」

「な!? なにそれ!? 一体なんのために?」

「ばかなものにいきるかちなどありますか。わたしはかしこいものとしかかかわりたくない。そこの、くろいこ」

 人型モンスターは、僕の方を見ている。「くろいこ」は僕のことのようだ。

「きみはとくにおろかだ。あとさきかんがえずばんばんひとをころして、あげくこうちょうせんせいとせっくすざんまい……」

「ぎゃー!!」

 まさかこんなタイミングで暴露されるとは思わず、僕は叫んでしまった。

「え、今なんて……?」

 みんな啞然としている。ていうかなんで知ってるんだこいつ!


「どこで知ったのさ、それ!」

「のーすりたしゅうへんのれんぞくふしんし、ひがいしゃはぜんいんおなじまちしゅっしんで、おないどし。いきのこっているのはきみだけ。そしてきみはそくしまどうしで、このじけんとれべるひゃくになるたいみんぐばっちり。はんにんはきみしかかんがえられません。こうちょうせんせいとのことはここにしんにゅうしたときにしらべました」

「う……」

 もう、ぐうの音も出なかった。まさか、人型モンスターに暴かれるとは……

「なんて、おろかな。しかもれべるあげするひつようがなくなったらこんどはこうちょうせんせいといかがわしいことを」

「うわああ! もうやめてってば!」

 僕は思わず即死魔法の呪文を唱えようとしたが、トイが止めに入った。

「キルル、待って、殺さなくていい。俺がやるよ。こいつと因縁があるのは俺だから」

 トイがそう言ったあと、

「くらえ! 『クイズ作成魔法』レベル100の力、見せてやるよ!」

 トイはクイズ作成魔法を発動した。いつの間にかレベル100になっていたようだ。

 人型モンスターに、何かクイズが出された。人型モンスターは夢中で解いている。その間に、人型モンスターの周りに石のような壁ができていく。人型モンスターは石の壁に四方を囲まれ、姿が見えなくなった。人型モンスターが、クイズを解いている声が小さく聞こえてくる。

「……何この魔法……?」

 みんなぽかんとした。もっと派手に殺すのかと思いきや、石の壁の小部屋に閉じ込め、クイズをひたすら解かせている。

「知能の高い人型モンスターはね、目の前に問題が出ると、解き続けるんだ。何もかも忘れてね。ちなみに、あの石の壁、普通に出口あるから。人間なら問題解かずに出ていくことが出来るんだけど、人型モンスターはこれができないんだよね! 問題が出る限りあの場所から移動できないよ。100年分問題出したから、あと100年あいつはあのままだよ。人間なら耐えられなくてすぐ出てくるんだけどね! あははは!」

「ひゃ、100年……」

 なんてシュールかつ恐ろしい魔法だろう。

「ところで、キルル、あいつが、さっき言ってたこと、あれなに?」

 人型モンスターを片付けたトイは、僕に向き直った。

 そうだ。大変な暴露をされてしまったんだった……特殊クラス全員、リリイもいる前で……。




読んでくださってありがとうございます!

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