(5)聖女が配下になりました
あらすじ***中身が入れ替わり休戦協定を結ぶ魔王と勇者。目覚めた聖女にドヤ顔で配下宣言をした魔王(勇者の体)中身的には魔王が配下ってことなんだけど見た目は勇者ダヨ!
青ざめた表情のアリア。
全裸でドヤ顔の勇者(中身は魔王)
魔王らしくないのも不味いと思いなんでもない顔をする勇者の俺(見た目魔王)
アリアの視線が 勇者→魔王→勇者・・・の股関に移動する。
すっげ凝視。ヤメテータスケテー 魔王ソレカクシテー
と冷や汗ものの内心で勇者の前に立つ。
「わかったな、アリア。今日からお前は俺のしもべだ!」
真っ赤な頰をしたアリアが潤んだ瞳で俺を見る。
ゴメンナサイ アリアさん とりあえず急場をしのぎたい。
「・・・かしこまりました。魔王さま。どうぞよしなにお願いします。」
震える肩でため息をつくようにそう答えてアリアは俺の前に伏せた。
後ろでは魔王が着替えている。すっげー自由だなくそっ。
「よし!じゃあ今後のことについて話をしよう」
着替え終わったらしい魔王が発言する。しもべ偉そうだぞ。
と、振り返って ブハッ 吹き出す。
「な な な なんだそのかっこ!!」
「魔王城に人間サイズの服はないからな。ゴブリンの腰布だ!」
本気で勘弁してほしい。俺はもう戻れない気持ちでいっぱいです。
なるべく勇者が見えないよう立ち位置に気をくばりつつ
アリアに声をかける。
「俺の体には呪いがかかっている。知っていると思うが
アリアは触れぬように」
「魔王さま・・・この身を案じてくださりありがとうございます。
ですがご安心ください。このペンダントには聖魔の力があります。
触れてもビクともしません!!」
なぜかアリアがキラキラした美しい笑顔で言う。
そしてソッと腕に触れて毛触りを確かめる。
「なんて素敵な毛皮・・・逞しいです。腕がお父様の倍はありますね・・・
必ずや魔王様のお力になります!!」
聖女はきっと命乞いをしているんだ。
死にたくない一心で
魔王の姿を、肌触りを褒め称えている。
俺は必死で魔王らしい態度を心がける。
「クックック そうであろう。俺は強いのだ。」
そしてバカです。なにそれ 魔王ってどういう態度がらしいの?!
なんとなくアリアが冷めた目をしている。助けて魔王!
ちらっと横目で見ると魔王は腰布ひとつで堂々と
そばにある座椅子に腰掛けている。
「では、コレからのことについて話そう。我は旅に出る。」
・・・えっ!!