(4)聖女の心とドヤ顔の俺
あらすじ***勇者(中身魔王でかつ全裸)と魔王(中身は勇者)が休戦協定を結び、握手をしているところを聖女に見られた。つまり勇者は全裸を見られた。
★秘密の聖女視点★
幼い頃からいつか王子様が迎えにきてくださるとおとぎ話で聞いていました。
王であるお父様はとても素敵な、逞しい男性でしたので
そのような方の妻になれることを心待ちにしておりました。
世界に魔王が現れた頃、勇者も出現し私に聖女の力が顕現したため
パーティを組むように命を受け旅立ちました。
無事戻ってきた暁には、勇者と婚姻をして国を納めるよう言いつかったのです。
が、最悪でした。
勇者の外見はモヤシです。お父様の腕くらいの胴体
世間一般にはカッコいいと言われる顔立ちなんでしょう。
でも私が添い遂げたいのは漢なのです。
どれほど強くともカッコよくとも、逞しい外見でなければ
男だとも思えないし夫にもしたくありません。
表面上は聖女に相応しい立ち居振る舞いを心がけてはいましたが
旅路にすれ違う逞しい冒険者たちにトキメキを覚えておりました。
そして今、魔王との最後の戦いで結局モヤシ(勇者)は負けるのです。
ただ一つ心残りがありました。
魔王の姿を一目見たとき、支配されたいという気持ちが沸き起こり
抑えきれない誘惑が私に降りかかってきたのです。
この猛々しい獣のオスに支配され、貪られる私。
今ここで死ぬのならば奴隷のようにこの方に扱われてみたい。
でも初めてだから優しくしてほしい・・・痛いのは当然嫌いです。
その時閃いたのが、中身だけ逆ならば理想的・・・。
中身は私が調整すればいいのです。
だって妻になるのですもの、勇者の・・・ね。
★★★
「いや!ちがうんだ!!コレはその・・・!!」
と言いかけて何がどう違うのか、何を説明したらいいか
真っ白な自分に気づく。
アリアにこんな姿で嫌われたくないし責める気もない。
命を救ってくれたのだから。
でも論理的な説明ができない。こう、ちょっとなんとかして魔王!
横目でチラチラ魔王(IN勇者)に合図すると
変わって答えてくれた
「そなたの命と引き換えに見逃してやることになったのだ。
これからは魔王に尽くして生き、精進するように!」
あ・・あかん
そんな情けないことをめっちゃドヤ顔。
オロオロする俺を尻目に全裸で腕を組み自信満々です。
大切な仲間たちもなにもかも見捨てた俺の発言に果たしてアリアは・・・?!