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見習い魔女と異界の騎士  作者: 豊穣 マツリ
5/11

特典

 捕食者の大半には目がない。

 どういう仕組みか解らないが角に相当する部位によって視覚を得ているらしい。

 光のない場所でも的確に目標を攻撃をしてきたことから、超音波のようなものなのだろうか?

 しかし、今の自分の目には普段と変わらない視野が広がっている。

 強いて付け加えるなら、暗闇を見通すことが出来るようになっていた。


 コクピット内は電源が止まった事で真っ暗である。

 そのコクピットの中、操縦席には人影があった。

 見覚えのある歩兵用の戦闘バトルスーツ。

 胸に貼られているエンブレムも見慣れたものだ。

 ゲーム内で自分が作ったオリジナルエンブレム。

 趣味の旅行から発想を得た、鳥居を模した物である。


 そう、ドッペルゲンガーよろしく、眼前にもう一人の自分がいた。

 正確には自分のゲームアバター《猫撫で》だ。

 まんまのネームであるが、以前に猫を飼っていて、一日中撫で回していたことがあるほどだ。

 勿論、過剰なスキンシップの果てに噛まれるオチがつく。



 話がズレてしまったが、転がり込んだコクピット内に自分のアバターがいた。

 驚きに一瞬戸惑ったが、自身のASが存在しているのだから不思議ではない…のか?

 それに観察していても微動だにしない。


「もしもし?もしも〜し?終点ですよ、お客さ〜ん?」


 試しに声を掛けてみるが反応がない。

 ただの屍のようだ。


 冗談はさて置き、触っても、叩いても反応がない。

 恐る恐るヘルメットを外すと中身は空っぽだった。

 まぁ、空っぽだろうなぁ、というのを可能性の一つとして薄々感じていた。

 形が変わったとはいえ、自分自身がこうして健在なのだからだ。



 操縦席の後ろには収納ボックスがある。

 歩兵戦闘を行わなければならない時の携行火器や非常時のアイテムなどを入れておくスペースだ。

 今回取りに来たのは携行火器ではない。

 そもそも30cm代の自分に小型とはいえ携行火器の反動すら制御出来ないだろう。


 大きめのウェストバックを取り出す。

 これが目的のものである。

 中身は歩兵用の回復キットが10つ。

 注射器型をしていて、細胞の自己修復を爆発的に高めて一瞬で怪我を治癒するものだ。

 普通に考えて、なにそれ、恐ろしい‼︎

 また、毒から火傷まで肉体的状態異常を完治する錠剤なども5つほどある。

 他にはレーションが3日分。


 レーションにも回復効果はあるが、回復キットに比べると少ない。

 だが、一時的な副効果を付与することが出来るのでソロでもマルチでも重宝される。

 なにより、性能よりレーションの見た目にこだわるユーザーも多かった。

 味気ないブロック型や高級感溢れるレトルト型、ひたすらバナナを食べて皮を足元に散らばらせるユーザーなど様々だ。


 ちなみに今回の中身は、回復量は並だが使用回数の多い濃厚バタークラッカー、集中力と状態異常耐性を上げる豆腐とワカメの味噌汁、恐怖状態の解除と士気向上率を上げるする皇室御用達ココア、兵種ごとの固有スキルを発動するのに必要なスキルポイントを回復するレトロ板チョコ、最後に人気な戦艦ゲームとのコラボアイテムの海軍カレーである。

 名前は艦…艦…思い出せない…orz



 一先ず一時的ではあるものも、食料を入手することが出来た。

 後は護身用の武器である。


「お前の仇は必ずとるぜ‼︎」


 それっぽいセリフを吐きつつ空の歩兵用スーツからサバイバルナイフとマガジンの入ったハンドガン、装弾数20の予備マガジンが3つを入手した。

 収納ボックス内にあるサブマシンガン等になると扱えないだろうが、ハンドガンなら何とかなるだろう。


「それにしても、ゲームの事前登録で特典アイテムを入手したみたいだなぁ〜」


 銃を構えつつ、そんなことを考えたのであった。


かんこ...

あず...

ウッ...頭が...(/ _ ; )

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