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クロアの物語はここで終わり
クロアの大願はついに果たされようとしていた。
彼女は人生を棒に振ったとしても、もうすぐ訪れる瞬間の為なら
全ては意味を成す出来事であったと思える程、震えていた。
手にしている剣でその喉を掻き切ってやるだけ。
躊躇いも、容赦も無く、彼女は一気に距離を詰める。
―――その時一瞬、閃光が彼女を襲った。
思わず彼女は目を瞑ってしまったが、ここで逃す訳にもいくまいと、
明らかに射程距離に入った瞬間に、あるべき箇所に向かって剣を振るった。
確かに終えたのだろう。感触はあった。
今となってはもう、それを確かめる術は無いのだけれど。