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月の落ちる都から  作者: 秋豊
プロローグ
1/10

クロアの物語はここで終わり

 クロアの大願はついに果たされようとしていた。

 彼女は人生を棒に振ったとしても、もうすぐ訪れる瞬間の為なら

全ては意味を成す出来事であったと思える程、震えていた。

 手にしている剣でその喉を掻き切ってやるだけ。

躊躇いも、容赦も無く、彼女は一気に距離を詰める。


 ―――その時一瞬、閃光が彼女を襲った。

思わず彼女は目を瞑ってしまったが、ここで逃す訳にもいくまいと、

明らかに射程距離に入った瞬間に、あるべき箇所に向かって剣を振るった。

 確かに終えたのだろう。感触はあった。


今となってはもう、それを確かめる術は無いのだけれど。

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