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 レナと似ている、その事実は私にとって思うよりもずっと大きなことだったようで。


「ノエルさん? は、リディアーヌ王女やジェラルド王子が〈黒鱗病(こくりんびょう)〉の症状が確認された時の事をご存知だったりするんですか?」


 普段なら躊躇っているだろう、愛想のかけらもない相手に話し掛けていた自分自身に驚きながらも問いを口にしきると、ノエルくんはこちらを肩越しに見て、


「……一介の侍従である私に、そのように畏まる必要はありません。どうぞ呼びやすいようになさってください」


 にこりともしないけど、嫌悪とかといったような反応ではないと思う。

 実際、すぐそばを歩くカノンが必死に笑いを堪えている事からも、私の感覚は間違っていないのだろう。……それはそれとして笑うのは失礼だと思うけどね、カノン?


 当然ながらノエルくんはむっとしたように眉を寄せたけど、すぐに気を取り直すように口を開いた。


「ジェラルド殿下の時もリディアーヌ殿下の時も、私は最初に確認したわけではないのですが……侍従や侍女が起床を知らせた際に気付いたのが最初になると思います」

「ということは、前日の夜には何もなかった、ってこと?」

「そうなりますね。症状は一切ありませんでしたし、体調を崩されたということもありませんでした。もちろん前日の食事の内容や、接触した人間も洗われたのですが……呪術であるという可能性が高いという結論以上は出ておりません」


 ノエルくんの話を聞きながら、私は首を傾げる。


「接触した人間も現れていてなお、ってことはお二方共と接触したひとはいないってことですか?」

「いえ。それは私やラスカを含め、何人かはいました。ただ、肌身離さず何かを持ち歩く者もいませんでした。もちろん不審な行動を取る者も」

「それって……」


 遅効性かつ、遠隔でこんなことになっているの?

 リュミィやカノンたちが広域に残滓が満ちていて場所を特定出来ないって言うほど呪具の力は強いし、そもそもとしてジェラルド王子とリディアーヌ王女にしか確認されていないのに?

 あまりにも手が込みすぎている。

 カノンやリュミィは愉快犯によるものだと言っていたし、この国である理由――最初の標的がジェラルド王子とリディアーヌ王女である理由はあるはずだって言ってたけど、長い期間を掛けて仕込んでいるのに、それでも本当に通過点でしかないってこと?


 そうまでする理由って、本当にあるの?


 私にはわからない。

 わからないからこそ、犯人は特定しなきゃいけない。

 そうじゃなきゃジェラルド王子とリディアーヌ王女がこの先どうなるのかもわからないし、その命だって最初から保証されていないのだから。


「……この世には、悪意なき悪意、というものが存在します」


 と、ノエルくんはぽつりと言った。

 誰にともなく。答えを求めるでもなく。


「どこまでも純粋で、それ故にほかの何もかもを顧みない。そしてそれを成す人間は、それを悪事とは本気で思っていません」

「…………」

「……皆様もどうか、お気を付けください。王家のお客様であるとはいえど、障害と断じられれば当然のように悪意なき悪意が向けられる可能性がありますので」


 ノエルくんがぴたりと足を止める。

 そこは私とカノンとリフの部屋の扉の前。彼はそこで、私達へと真正面に向き直った。


「違和感を抱いたならば、些事であろうがご報告を。ティートとラスカは、テオドール王子殿下の命令によりその為にあなた方につけられたのですから」

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