第一話:追試に向けて勉強する日常
さて。さっそくようやく第一話です。今回は、本当に他愛の無い、ただの普通の日常です。
「勉強のし過ぎで死んだ人はいないんですよ」
俺は今、可愛い可愛い妹の目の前で勉強をしている。化学の計算問題をひたすら解いている。
「いやしかしだな。それは死ぬ前に勉強をやめているからであって、ただ永遠と強制的にやらされる分にはその限りではないわけで・・・・・・」
「言い訳する暇があるならしっかり勉強してください」
「くぅ・・・」
俺はいそいそと勉強を開始する。くっ、確かに勉強しないと今回はさすがにマズイから、コイツには内心感謝してるんだが・・・。
「そもそも普段からコツコツとやっていれば、こんなことにはならないですのに・・・。兄さん、もともと頭はいいんですから、少しはそれを勉学に役立ててください」
じゃあ、頑張ってくださいね。と言い残し、三葉は部屋を後にする。
しかし・・・・・・どうしてこうなった・・・。
◆
「俺は悪くない。悪いのは俺の頭だ・・・」
「その言い訳、意味あんのか?」
前の席に座る友人、高村善樹は呆れ顔で俺を見る。正確には、俺の手元にあるプリントを。
そこには、『期末考査における赤点者を対象とした追試のお知らせ』と、なぜか無駄にかわいらしい字で書かれている。何故に手書き・・・。
「しっかしお前はホント懲りねぇな。もう少しでも真面目にやれば、お前なら学年トップ取れんじゃねぇの?」
「いや、無理だって。そもそも学年トップってもうほぼ指定席じゃねぇか。アイツには勝てる気しねぇよ」
アイツ、というのは、教室の前のほうで喋っている女の子、清水唯のことだ。唯は、この中学に入学した当時から成績優秀者、というか、一年の中間考査から学年一位を獲得したのを皮切りに、一年二学期期末・二年一学期中間に二位だった以外全てで一位を取るようなやつである。
「はぁ、めんどくせぇな。追試ねぇ・・・適当にやるかな」
「いや、そうもいかねぇだろ」
「あ?」
「ほら、よく見てみろよ」
そういって善樹が指差したのは、俺の手元のプリント、その最下部末端に書かれている※印であった。
『※今回の追試で合格点を取れなかったものは、夏休みの前半二週間と後半一週間と三日に、特別補習を行います』
俺は思わず、プリントを落とした。ひらりと舞うその紙をしかし拾い上げることも出来ずに、俺は唖然とする。
「うそ、だろ・・・。夏休みが、俺の夏休みが、たったの二週間程度じゃねぇか!」
「そういうことだ。まっ、頑張れよ。さすがに今回は洒落になんねぇからな」
「あぁ、こうなりゃやるしかねえぜ!やってやんよ!」
拳を突き上げ、声高らかに宣言する。やってやんよ、俺やってやんよ!
それに反応したのか、唯が要とともにこちらに歩いてきた。
「竜司君、どうかしたの?」
「あ、まさか赤点取ったん?またいいタイミングで」
前田要。俺たち四人は結構つるんでいる、いわゆる仲良しグループ(?)である。
「いいタイミングとか言うなや。なんで喜んでんだよ」
「いやいや。これを機会に、アンタのその不真面目なところが少しは改善されるかな~って意味」
「そして、これは面白い展開だぜ。という意味」
要の言葉を善樹が繋ぐ。こやつらは・・・。
「えっと、頑張ってね竜司君!なにか困ったことがあったら、私も手伝うから!」
二人の言葉の後に来る優しい言葉に、思わず涙が出てきそうになる。
「ありがとう唯。俺、頑張るから」
こうして俺の、三日後の追試に向けた試験勉強が始まったのであった。
◆
うん、全部思い出した。
「ぐぅ・・・しかし、なぜよりによって化学だし」
これを、あと三日でやらなければいけないのか・・・。
俺が化学を苦手としている、一番の原因は。――――――教科書が理解できないことである。
初っ端の授業から、苦手意識バンバンだった俺は、そもそも本気で化学の授業を聞くことが出来ず、そして気が付いたころには、すでに教科書を読んでもなにもわからなくなってしまったにである。そして、いざ真面目に授業を聞こうと思っても、開始三分でなに言ってるか分からなくなる。
というわけで、仕方なく追試用の短期対策として、とにかく計算問題を練習し、単語用語原理をひたすら暗記する、という本来はきっと三葉が許してくれないような勉強法に乗り出すしかないのである。
そんなこんなで、俺がカリカリと計算していると、ドアをノックする音が聞こえる。俺が返事をすると、三葉が入ってくる。
「兄さん、コーヒー淹れてきました」
「ん、あぁ、ありがと」
コーヒーを受け取る。おぉ、冷えたコーヒーは効くぜぇ。
「悪いな、わざわざ」
「兄さん。頑張るのもいいですけど、しっかり休んでくださいね。別に前日というわけでもないんですから」
確かに、時計を見るともう夜の1時を回っている。
「そうだな。そろそろ寝るか。三葉もありがとな、こんな時間まで」
「いえ、いいんですよ。兄さんが頑張っているんですから、私が手伝わないわけにはいきません」
おぉ・・・本当に良く出来た妹だなぁ。俺には勿体無いくらいだ。
「じゃあ兄さん。私は部屋にいますから、何かあれば呼んでくださいね」
こういう気遣いがあるから、俺は頑張れるんだよなぁ~。いやぁホント、もう一家に一台三葉が必要な時代が来るかもしれん。
「あ、兄さん。これを」
そういって三葉は、紙袋を渡してくる。
「ん?なんだこれ。本?」
「私も中身は知らないんですが、父さんが兄さんにと」
へ~父さんが。気になるな。なんだろう。
「それじゃあ、私はこれで。どうやら、父さんと兄さんだけの秘密らしいですので」
「あぁ、悪いな」
三葉が出て行くのを見送り、俺は早速手元の紙袋を開ける。中には――――――
―――――――――いかにも買ったばかりというような、新品のエロ本が入っていた。
一緒に入っていた紙には。
『そろそろ必要になるだろ?ついでに、保健の勉強にでも使え(笑)』と書いてあった。
「と、父さん・・・」
とりあえず、一通り読む。
おぉ、こんなことまで・・・。おい嘘だろ、そこでか!?お、おぅ。これは俺にはまだ早いだろ・・・。こ、これはー!こんなプレイが存在するのか!?
―――――――――数十分後。
ふぅ~、満喫したぜ。さすが父さん、いいセンスしてるぜ。
しかし、まさか妹モノとは・・・。俺のこと、どんな目で見てるんだよあの親は。
しかし、いい気分転換にはなったな。とりあえず父さんには感謝しとこう。
さて。それじゃあ再開するか。
数分後。
思わずエロ本に手が伸びてしまうので、そいつを棚の上に置いた。チラチラ見るくらいは許してほしい。
◆
試験当日。
「兄さん。頑張ってくださいね!」
そういって俺を見送ってくれる三葉。本日は、追試生のみの登校となるので、三葉はお休みである。
「おう!まぁ、気ぃ抜かずに、全力出してくるわ」
そういって俺は、果敢に学校へと歩を進めた。
我が校の追試は、それぞれ教科別に会場、というか教室が用意される。
「化学は・・・二年K組か。――――――Kぇ!?」
K組ってどこだ!?聞いたことねぇぞ!三年間この学校かよってたけど、二年にK組が存在するなんて聞いたことねぇぞ!Fまでしかねぇはずだろ!
「・・・ってこれ、普通に二年A組じゃねぇか」
地図が無かったらマジでわからなかったわ。
というわけで、二年A組に到着したわけだが・・・。
「・・・誰もいねぇな」
集合15分前なんだが・・・。まぁ、みんな直前まで頑張ってるんだろうし、ギリギリに来るのかもね。
さて、どこに座るか。まぁ、別に決まってないみたいだから、適当に座るか。
――――――5分後
まぁ・・・まだ、ね。まだ10分あるからね。まだまだ・・・。そうだ、最後の復習でもしとくか・・・。
――――――10分後
あ、この問題ちょっと曖昧だったな・・・。よかったわ~最後復習して。
――――――15分後
ガラッ。
「お、折坂ちゃんといるな~」
「読めてたわッ!」
俺はイスから立ち上がり、入ってきた担当教師にツッコミをいれる。
「おわ!?どうした急に?」
「やっぱり俺1人だけだったんすね化学の追試!会場案内にK組とか書いてあった時点で薄々感付いてたけどよぉ!Kってあれだろ?化学のKだろ!?ちくしょう俺だけならもう別の科目の教室で一緒にやらせてくれよ!」
この普通サイズの教室でたった一人化学の追試を受ける俺の図・・・。あぁ、全教室に配備されてる、なぜか凄く最新式の薄型テレビに、俺の寂しい姿が映し出されてる・・・。
「そうもいかんだろう。今回はそもそも化学は追試ナシの予定でいたんだよ。それをたった1人追試生が出て、教師サイドでもちょっとした話題になったんだぞ」
「求めていない知名度の上昇!」
まぁ、受けますけどね。
「んじゃ、テスト配るぞ」
「1人っすけどね」
というわけで、試験開始。
―――――――――終了15分前
『よし。見直しも含めて、とりあえず終わったぞ』
スゲー一夜漬けスゲー、と俺は若干間違った感心を抱きながら、教室のドアを眺める。
『しっかし。試験中の生徒放ったらかしてトイレ行く教師ってどうよ』
それだけ信用されてるってことなのだろうか。まぁ、カンニングする相手もさせる相手もいないしね!ハハハ!1人さっみしー!と、何の気なしにテレビ画面に目をやると。
(じ~・・・・・・)
・・・・・・。
『なんかいるぅうううううう!!!!!!』
教室の後方隅っこに鎮座する掃除用具入れの中から、俺のこと監視してる謎の人物がいる!ちょっと扉開けた隙間からずっとこっち見てる!誰アレ!?そもそもずっとあそこにいたの!?俺がこの教室に入る前から!?すでに50分以上、ずっとあの狭い用具入れにこもって俺を監視してたの!?どんだけ信用ないんだ俺!つーか怖っ!
俺が眺めているのはあくまでテレビの画面なので、向こうは気付いてないようだが・・・。改めてみるとスゲー怪しい。なにあれストーカー?ストーカーされてるのに気付いた瞬間ってこんな感じなの?怖いわー。この生涯でストーカーされることなんてないと思ってたのになぁ・・・。
『・・・・・・あぁ、うん。なんか、ずっと見てると慣れてきちまったわ』
つーか誰なんだろうな・・・。俺がここにいる限り、つまり閉じ込められてるのと一緒だとしたら、なんか可哀想になってきたわ・・・。
『早く終わんねぇかな~この時間・・・』
こうして。俺追試験は、誰かに監視されながら終了した。
◆
「よ~し、終了な。お疲れさん。じゃあ採点するけど、どうする?」
「は?どうするって?」
なにがじゃ、という気持ちを顔で表現すると(人はこれを表情という)、先生は俺の答案やらを軽く持ち上げ答える。
「いや、化学はお前だけだからな。なんならすぐ返却してやろうか?」
「え?そんなことできるんすか?」
本来は、結果発表日が明後日にあり、その日にまた登校しなきゃならないはずなんだが・・・。俺だけいいのか?
「いや、むしろお前1人だけなんてのは早く終わらせたいからな。これで晴れて俺の担当はおしまいだ。教員側の許可もあるし」
「はぁ・・・・・・なんか俺、教員サイドから特別扱いされてません?決していい意味ではなく」
「まぁ、お前みたいな生徒も珍しいからな。別にマークされてるわけじゃねぇんだからいいだろ?んで、どーする?」
「え、あ、じゃあお願いします」
「おう、わかった。んじゃ、ちゃちゃっとやってくるから、その間は適当に待っててくれ」
そういって、先生は教室を後にした。
「さて」
そういって俺はイスから立ち上がる。
そして、ふらっと用具入れの前に立ち、扉に手をかけ、開けた。
キィ・・・・・・と少し軋んだ音を出しながら開いた扉の奥には。
「あれ?美帆ちゃん?」
「ひぃ!?先輩!」
心底ビックリした、と言わんばかりの表情に、若干涙目の俺の後輩、そして三葉のクラスメイトがいた。
「えぇ~と、なにしてるの?」
用具入れの中でビクビクしている後輩を、とりあえず外へ出す。
「あ、あの!違うんです!」
なにがだろう。一体なにが違うのだろう。
「私、ただ忘れ物を取りに来ただけで!だから、その!」
「とりあえず一旦落ち着こうか。はい、深呼吸」
「す~~~~~・・・・・・・・・は~~~~~~」
とても深かった。どんな肺活量してるんだろうか。
「え~と、美帆ちゃん。美帆ちゃんは、忘れ物を取りに着たんだよね?」
そういえば、二年A組って三葉と美帆ちゃんのクラスだったっけ。とか思い出しながら、たずねる。
「なのにどうして、掃除用具入れに篭っていたんだい?」
用具入れに忘れ物、とかだったら納得だが。
「あの、忘れ物を見つけて帰ろうとしたら、先輩が入ってきて・・・・・・それで思わず・・・」
思わず避けられちゃったか~、とかは、まぁ多少思うけど。でも、この答えは大体予想できていた。
わざわざ説明せずともわかるように、美帆ちゃんは。三葉の大切な友達で、俺の可愛い後輩は、こういうタイプの女の子なのである。
「にしても、50分以上ずっと篭ってたの?足、辛かっただろ?」
この用具入れのサイズじゃ、しゃがむことも出来ないからな。
「え、と・・・はい。結構・・・」
見れば、今にも倒れそうである。結構、というかかなり辛かったようだ。
「じゃあ、ほら。これに座って」
そういって、手近なイスを引いて、持ってくる。
「ありがとう、ございます・・・・・・」
美帆ちゃんは、おずおずとそれに座る。そしてそのまま俯いてしまった。俺と二人っきりになると、どうも会話が出てこないらしい。う~む。好感度が足らんのかなぁ・・・・・・。
まぁ、ここは先輩らしく、俺が話題を出してみよう。
「美帆ちゃんは、追試ないんだね」
「あ、はい。なんとか一個もなかったです」
えへへ、と笑う。やべぇ、可愛すぎる。癒される。
「そっか、凄いな。俺、化学が13点で引っかかったんだ」
「で、でも先輩!先輩は全体的に凄い点数取ってるじゃないですか!」
「ん~、まぁ悪くはない・・・かな?うん、謙遜しないで尊大になってみるとそうだな」
確かに、それ以外で言ったら、まあ山はあるが悪くはない。しかし、唯と比べてしまえば、大した自慢にはならない。そもそも、比べることすらおこがましい。
と、そんな感じでようやく美帆ちゃんが会話に乗ってきて、まあ俺も楽しくていろいろ話していると。
「お~う。終わったぞ~・・・・・・って、あれ?なんで相沢がいるんだ?」
あ。先生来るの忘れてた・・・。まぁ、説明すれば大丈夫か。
「忘れ物を取りに来たみたいで、俺の話し相手になってもらってました」
「ん、あぁそうなのか。んじゃ、もう少しかかっても良かったのか?」
「いえいえ。いつまでも俺に付き合わせるのも悪いですから」
「そうか。ん、ほれ」
そういって、俺の追試の結果と思われる紙の束を持ち上げる。
俺は美帆ちゃんに、片手を上げてちょっといってくる、と告げる。
「ほら。お前よく頑張ったな。化学13点だったやつの点数じゃねぇぞ、これ」
そういって渡された答案用紙には、97点という数字と、普段からちゃんとやれ、のコメント。いや、すいませんね、ホント。
◆
校門を抜けて、ようやく勉強の呪縛と、夏休み返上の恐怖から開放された気がした。ホント良かった。
「あ~。追試も終わったし、帰ってダラダラするかな~」
「じゃあ、私はこれで・・・」
「ん?じゃあ送ってくよ」
「え!?悪いですよそんなの!」
「いや、別に悪くはないけど・・・。俺が言い出したんだし」
しかし、まあ無理にはせんが。本人が嫌がってんなら、大人しく引こう。
「まぁ、嫌ならいいんだ。気をつけてね」
そういって立ち去ろうとすると、袖をつかまれ引き止められた。
「い、嫌なんかじゃ、ない、です・・・。あの、じゃあ・・・お願いします」
おぉ・・・・・・、嫌がられてなかった。なんか嬉しい。思わず涙しそう。
「そっか。じゃあ、行こうか」
「は・・・はい」
美帆ちゃんは、それからハッとしたように俺の袖から手を離す。くっ・・・もう少し握っていて欲しかったぜ・・・。
そんなこんなで歩き出す。
「美帆ちゃんは夏休み、なにか予定とかあるのか?」
「えっと・・・・・・少しずつなら、友達と遊んだりありますけど、まだそんなに決まってないです」
「そうか。まだこれからだもんな」
「先輩は、なにか決まってるんですか?」
「俺?う~ん、そうだな~。確かに、そう聞かれると答えにくいなぁ。まあ、今のところは、特にないかな」
絶対、なんらかの面倒事が飛び出してきそうで、ちょっとドキドキしている。別に、楽しみではないが。
「でも、先輩って今年は受験生、ですよね?その・・・塾とかは行かないんですか?」
「ん?う~ん・・・・・・いや、多分行かない、と思う。ほら、推薦とかで」
「推薦ですか・・・。でも、先輩だったら一般でも簡単に合格出来ちゃいそうですよね」
「う~ん・・・どうなんだろう。さすがにそれは無理なんじゃないか?だって、俺の他に、受験合格するために勉強を積み重ねた人たちが集うんだから、そう簡単には合格できないって」
「先輩って、なんでもこなせちゃう人だから、本当に合格できそうですけど・・・」
いや、買いかぶりすぎだろう・・・・・・。
「ま、受験云々はともかく、夏は楽しもうと思う。なんたって、中学最後の夏だからな」
まぁ、そんなことを言えば、今日は中学最後の1日なのだが・・・。
人生は一度きりである。貴重な青春。でも、春が過ぎれば夏が来るように。青い春が過ぎれば次は、何色かの夏が来て、人生は続く。その命尽きるまで。
しかしまあ、こうして美帆ちゃんと同じ中学在学の夏、というのは、この一度きりしかないからな。精一杯楽しんでも、バチは当たらんだろう。
「お・・・。美帆ちゃん、ソフトクリーム食べる?」
夏を楽しむなら、あえて暑い外でのアイス、というのは外せないな。
◆
その後、美帆ちゃんの自宅、つまり相沢家に到着し、そこで美帆ちゃんとは別れた。
「さて。帰って昼飯を食うか」
それで、三葉に追試の結果をみせてやらないとな。アイツには色々してもらった分、なにか買って帰るか。なにがいいだろうか・・・・・・。
そんなことを考えながら、俺は帰路につくのだった。
そういえば、美帆ちゃんの忘れ物ってなんだったんだろう・・・・・・。
竜司「う~む・・・。後書きなんてこんな機会、人生初のはずなのに、なぜか慣れ親しんだ空気があるぜ・・・」
作者「大丈夫だよ。もうすぐしたらきっと、自然に勇者に戻ってるから」
竜司「は?勇者?」
三葉「さて兄さん。今回のことで、少しは反省しましたか?」
竜司「あ~、まぁそうだな。やっぱノー勉は無理だったわ」
作者「あ、俺もそれ感じる!まぁでも、結局次の機会になると忘れちゃうんだけどね!」
竜司「はい出ましたダメなパターン!」
作者「それでも、なんやかんやでなんとかなっちまうからな!全く困った世の中だぜ!」
竜司「おいこら高二。もうすぐ受験生」
作者「ははは!志望校も進路も決まってねぇのに、意識なんてできるかよ!それよか、今は夏の宿題を何一つやってねぇ方が優先問題だわ!」
三葉「あ。兄さん、ダメですよこの人。完全に現実から目を逸らしてます」
作者「もう俺はね。ついに来週に迫った〈物語〉シリーズの原画展へと、意識を向けちゃってますからね!この胸の高鳴りは、恋といっても過言じゃねぇぜ!」
竜司「夏休み最終日の夜中まで宿題やってる奴の典型だな、コイツ・・・・・・」
作者「仕方ねぇだろ。今年の夏は予備校尽くしで、完全に勉強した気になってたから、宿題なんて忘れてたんだよ〈本気で。本気と書いてマジと読む〉」
竜司「どこぞの吸血鬼もどきの人間かよ」
作者「はは。最後にはタイムスリップするかもな!」
竜司「そんなこんなで。次回の『転生する前の俺は、普通の日常を満喫するようですよ?』」
三葉「お楽しみに!」