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序章
あの頃、キミの唇から零れ落ちた言葉の、どれほどがホントでどれほどがウソだったんだろう?
もしボクがキミの言葉のすべてを信じていたら、ボクらは今でも同じ空間を共有できていたのかな?
今でもキミは誰かのために、ぷっくりとした愛らしくも憎らしい唇から、たくさんの『ホント』を洩らしているのかな?
でもね、ボクは覚えてる。キミがボクに向けてくれた子供のように真っ直ぐな瞳を。愛情を。ホントを。ウソを。
そして心の片隅で願っている。いつかキミのどこか歪んだ羽衣を、誰かが縫い直してくれるコトをーーー。