電車の中で
※BL要素を含んでいます。
※ブログにも掲載しています。
登場人物
<春原裕紀 高2 ♂>
<小鳥遊秋人 高1 ♂>
思いっきり揺られて目が覚めた。
たぶん電車が跳ねたんだと思う。
部活帰り。
疲れて寝てしまっていたらしい。
伸びしようとすると、左手に違和感。
見てみると、俺の左手は小鳥遊につかまれていた。
何してんだ、てめぇ。
当の本人は隣でiPod聴いてる。
「何聴いてんの?」
「競馬中継ですv」
「……」
「じょ、冗談です!」
曲ですっつーから誰の?って訊いたら高鈴だって。
「コウ、リンさん?」
「あ、いえいえ、そういうユニットの名前です」
「へー……」
俺も聴いてみたいって言ったらいいですよって。
で、俺の手つかんでた右手離してイヤホン外そうとしてんだけど、
そこで手がとまった。
何か悩んでる。
「何?」
「え、あ、いや、その……んー……」
「……?」
顔赤いぞって言おうとして、気が付いた。
俺は自分のイヤホンを取り出す。
「先輩?」
「悪い、イヤホンとか借りるもんじゃなかったな」
「えっ、いや、そういうわけじゃ!」
「? じゃ何悩んでんの?」
「えーっと……それは、ですねー……」
まだごにょごにょ言ってる。
もーめんどくさくなって「それ貸して」って、iPod本体だけ取った。
女の人の声。
すっげー優しい感じの。
こいつにはちょっと似合わない感じなんだけど。
どうですか?って訊いてくるから、いいじゃんって答えといた。
へへっ、て笑いながら、「一番好きな曲なんです」だって。
「曲名は?」
「へ?あ!や、えーっと……」
「……お前、さっきからそればっかだな」
「いやぁ、なんだか恥ずかしい、っていうか、ね?」
「ねって、知るかよ。
ユニット名は言えて曲名は言えねぇのかよ」
「やー、忘れました! あはは!」
一番好きな曲の名前忘れるわけねーだろあほーって言うのもめんどくさくなった。
そういえば画面に曲名出るっけ。
ホールド解いて画面起動させてみたら、
『愛してる / 高鈴』
……なるほどねぇ。
小鳥遊の方見たら、そっぽむかれた。
耳、真っ赤になってる。
俺は小さくため息をついて、小鳥遊の肩にもたれかかった。
小さくビクって震えたのがわかる。
「せ、先輩?」
「しばらく聴いとく。
……駅着いたら教えて」
「は、はい!」
聴きながら目閉じてたら、また左手をつかんできた。
ま、たまにはいいかってことで握り返してやったら、へへって笑うのが聴こえた。
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