始まりの音
ファイブ、シックス、セブン、ナイン……
皆が見守る中一つのロケットが発射された。そのロケットは空に大きな一本線を描き、宇宙へと飛び立った。
発射成功です。
その言葉が皆の不安を取り除き、期待と嬉しさが高まる。
「今、たかとび2号が宇宙圏内に入りました!一号が成し遂げれなかったあの時の悲願と皆の期待を一つに惑星スワンダへと向かいます!、
ここから約2年をかけ人類の進歩、そして人類の秘密を掘り探す旅にいまスタートラインが切られます!」
ニュースのレポーターは胸高まる気持ちでロケットの打ち上げを鼓舞する。
しかしその期待も束の間だった。
「こちらナンバー2番飛行船員、第一エンジンの燃料が底をつきそうだ、切り離しの許可を」
「こちら、本部。切り離し許可します。5秒後に切り離してください。5、4、3、、ジィ、ジジ…」
「こちらナンバー2!ノイズがかかって聞こえない!再接続を早くしてくれ!」
一気にロケットの船内に無線を通し、緊張が広がる。
「ジジ、ジィイイイイ…」
「もういい!燃料が底を尽きた!切り離す!3!2!1!」
第一エンジンが轟音を響かせ切り離された。
「こちらナンバー3!ナンバー2に!さっきの切り離しによる影響で誤差が生じこのままでは通常のルートと大きく離れてしまいます!自動誘導システムの数値外でシステムが機能しません!!RCSを手動で行い軌道修正を行う許可を!」
「こちらナンバー2だ!許可する!およそ2.2秒だけ第3小型エンジンを発射させろ!。3、2、1!」
「デルタVが不足!軌道喪失!このままでは宇宙に放逐されます!エンジンを切って弾道落下するしかありません!」
「だめだ!もう宇宙圏に入っている!このルートを進むしかない!」
「ナンバー2へ!だめです!およそ200km先の小惑星帯に直行することになります!このままでは1分足らずで小惑星帯に入り、ロケットと小惑星が衝突し大きな損傷を与える可能性があります!今すぐにでもエンジンを切るべきです!」
「却下する!!どちらにせよこのままでは宇宙の屑になる!一か八か小惑星帯を突破する!」
「小惑星帯まであと50秒!40!30!2…嫌だ!死にたくない!まだ死にたくない!!」
ナンバー3が震える声で弱音を漏らす。
「弱音を吐いたってしょうがないだろ!俺たちは死ぬ覚悟でここに座ってんだ!少しの希望も捨てさえすれば、人類の大きな希望をないがしろにする!ましてや1号の船員たちにあの世で合わせる顔がない!覚悟を決めろ!。」
ロケットのモニターには、数え切れないほどの小惑星が映る。各船員たちは不安を少しでも抑えようと、頑なにモニターが目に入らぬよう、目を瞑った。
ほんの一瞬で、爆発音と瞼越しに赤色が広がった…




