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英雄シリーズ

あえて嫌われた英雄

作者: リィズ・ブランディシュカ



 英雄はあえて嫌われる道を選ぶ。


 英雄は、とても凄くて、皆から慕われている。


 でも、その分だけ、良くない感情も多い。


 敵意。嫉妬。憎悪。


 人間の良くない感情はいつも英雄を狙っていた。


 英雄を不幸にしようとしていた。


 それが英雄だけに向けられていたなら、対処できたかもしれない。


 しかし、それらの良くないものは英雄の友達や家族、恩人などにも向けれた。


 だから英雄は嫌われる道を選ぶ。


 けれど、英雄の身近な人はとても優しくて暖かい。


「何か理由があるんだよね?」


「そうしなくちゃいけない理由があるんだろう?」


「俺たちのせいで、そんなやりたくもない態度をとっているんだよな」


 彼らは英雄をなかなか嫌ってくれなかった。


 だから英雄は、最後の手段をとる。


 そんな優しくて暖かい彼等に不幸になってほしくないから。





 世界のどこか、苦労して見つけたとっておきの魔法で。


 そんな彼らに、英雄を嫌いになってもらったのだ。





「お前なんかとは絶好だよ」


 友達に嫌われてもいい。


「金輪際、息子などとは思わない。他の人間が産まれてくれればよかった」


 家族に嫌われていい。


「困っているところを助けなけりゃよかった。俺より有名になる剣士なんて、弟子にするんじゃなかった。愚かで愚図だったらよかったのに」


 恩人に嫌われてもいい。





 それから英雄はたくさんの人たちにも嫌いになってもらった。


 自分を慕ってくれる市民達も守るために。


 そうして英雄は敵だらけの一人ぼっちになった。


 英雄なのに世界で一番嫌われた英雄になってしまった。


 英雄はとてもかなしくて辛くなった。


 自分でも気づかなかった心に気付いた。


 その結果、途中で心が挫けて、魔法を解除したいと思う事もあった。


 けれど、その魔法は一生とけないものだったから。


 英雄は寂しい心を自覚した後、その気持ちと向き合いながら、ずっと生きていく事になった。




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