第三章∶予言と真実
魔王との激闘は、想像を絶するものだった。レオンの剣技、エレナの魔法、そしてガイアスやルナ、ミリアの連携。しかし、魔王の力は圧倒的で、私たちの攻撃はなかなか決定打を与えられない。
レオンは、魔王の繰り出す黒炎を紙一重でかわし、渾身の力を込めた剣を振り下ろす。だが、魔王はそれを片腕で受け止め、逆にレオンを吹き飛ばした。
「ぐっ……!」
レオンは、床に叩きつけられ、息を切らす。エレナが、詠唱を終え、巨大な氷の塊を魔王に放つ。氷塊は魔王に命中し、その体を凍りつかせたかに見えた。しかし、魔王は冷笑を浮かべ、黒炎を放ち、氷を粉砕した。
「無駄だ。貴様らの力では、私を倒すことはできない」
魔王は、嘲笑う。ガイアスは、レオンを守るように前に立ち、盾を構える。ルナは、魔力を集中させ、魔法の準備を始めた。ミリアは、レオンの回復を祈りながら、聖なる光を放つ。
その時、魔王は、ガイアスに狙いを定め、黒炎を放った。ガイアスは、盾で防ごうとするが、黒炎の勢いは凄まじく、盾ごと吹き飛ばされた。
「ガイアス!」
レオンが叫ぶ。ガイアスは、意識を失い、床に倒れた。ルナは、魔法を放つが、魔王はそれを難なくかわし、ルナに迫る。
「ルナ!」
エレナが叫び、魔法で援護しようとするが、間に合わない。魔王は、ルナの胸元に手を突き刺そうとした。
その時、私の体から、七色の光が溢れ出した。光は、魔王の動きを止め、ルナを守った。
「な、何だこれは……!」
魔王が苦悶の声を上げる。光は、まるで生き物のようにうねり、魔王を包み込む。
「灯里さん……!」
エレナが、驚きの声を上げる。
「みんな!私に力を貸して!」
私は、叫んだ。レオンたちに、自分の考えを伝え、彼らの力を借りることにした。レオンは剣を、エレナは魔法を、ガイアスは盾を、ルナは魔力を、ミリアは祈りを、私に集中させた。
光は、さらに勢いを増し、魔王の体を内側から焼き尽くしていく。
「うおおおおおお!」
魔王は、最後の力を振り絞り、光を打ち消そうとする。しかし、光はさらに勢いを増し、ついに魔王を完全に消滅させた。
魔王が倒れ、私たちは勝利を確信した。しかし、その時、床に倒れた魔王の体から、黒い影が這い出した。
「まだ……終わらん……」
影は、不気味な声で呟いた。それは、魔王の残滓、あるいは、魔王そのものの別の姿だった。
「これは……一体……?」
エレナが、驚愕の声を上げる。
「魔王は、まだ生きているのか……?」
レオンが、剣を構え直す。
影は、ゆっくりと立ち上がり、私たちを見据えた。
「貴様ら人間は、愚かだ。真の恐怖は、これから始まるのだ」
影は、そう言い残し、姿を消した。
私たちは、魔王の残滓が残した言葉に、不安を覚えた。真の恐怖とは、一体何なのだろうか?
その時、玉座の間に、眩い光が差し込んだ。光の中から、一人の少女が現れた。
「あなたたちは……予言の子たち……?」
少女は、私たちに問いかけた。
「あなたは……?」
私が尋ねると、少女は答えた。
「私は、この世界の真実を伝える者。あなたたちが倒した魔王は、ほんの始まりに過ぎない」
少女は、私たちに、この世界の真実を語り始めた。
この世界は、古代から続く、光と闇の戦いの舞台だった。魔王は、闇の勢力の尖兵に過ぎず、その背後には、さらに強大な存在が控えている。
そして、その存在は、この世界だけでなく、他の世界にも影響を及ぼそうとしている。
「あなたたちは、その存在を倒さなければならない。さもなければ、すべての世界が滅びてしまう」
少女は、私たちに、世界の命運を託した。
私たちは、少女の言葉に、戸惑いを隠せなかった。しかし、この世界の危機を救うため、私たちは再び立ち上がることを決意した。
「灯里さん、私たちに、あなたの力を貸してください」
エレナが、私に言った。
「うん、分かった。みんなと一緒に、世界を救う!」
私は、頷き、再び小説「七色の魔法と勇者の剣」を開いた。そこには、まだ見ぬ敵との戦い、そして、世界の真実が記されているはず。
私たちは、新たな敵との戦いに備え、準備を始めた。それぞれの武器を研ぎ澄まし、魔法の呪文を確認し、そして、互いの絆を確かめ合った。
そして、私たちは、少女から託された使命を果たすため、新たな旅へと出発した。
まだ見ぬ敵、世界の真実、そして、私の中に眠る力。すべての謎を解き明かすため、私たちは、光と闇の戦いの最前線へと向かう。
少女、後に「預言者」と呼ばれることになるその存在は、私たちに世界の真実を告げた後、静かに姿を消した。彼女が残した言葉は、私たちの心に深く刻まれ、重い責任を背負わせた。
「他の世界にも影響を及ぼす、強大な闇の存在……」
レオンが、遠くを見つめながら呟いた。彼の表情は、これまで見たことのないほど険しい。
「まるで、想像もつかないわ。私たちが、そんな存在と戦うことになるなんて……」
エレナも、不安を隠せない。ガイアス、ルナ、ミリアも、それぞれが己の力をどう使うべきか、思案しているようだ。
私は、手にした小説「七色の魔法と勇者の剣」を再び開いた。預言者が語った真実と、この物語に書かれていることが、どこかで繋がっているような気がしてならない。
ページをめくるたびに、新たな発見がある。この世界が、単なる物語の世界ではなく、複数の世界が複雑に絡み合った、壮大な宇宙の一部であること。そして、私たちが立ち向かうべき敵が、時空を超えて暗躍していること。
「この物語は、単なるフィクションではないのかもしれない……」
私は、そう呟いた。レオンたちが、私の方を見た。
「どういうことだ、灯里?」
レオンが尋ねた。
「この物語に書かれていることは、過去に実際に起こったこと、あるいは、未来に起こりうることなのかもしれない。預言者が言ったように、この世界は、他の世界と繋がっている。この物語は、その繋がりを示す、一種の記録なのかもしれない」
私の言葉に、レオンたちは驚きを隠せない。しかし、彼らはすぐに、私の言葉を受け入れた。
「確かに、お前の言う通りかもしれない。精霊界での出来事、そして、お前の中に眠る力。どれも、この世界の常識では考えられないことだ」
レオンが言った。
「ならば、この物語を読み解くことで、敵の正体、そして、倒す方法を見つけられるかもしれない」
ルナが、希望に満ちた声で言った。
私たちは、預言者から託された使命を果たすため、そして、世界の真実を解き明かすため、この物語を徹底的に分析することにした。
夜が更け、私たちは焚き火を囲み、物語について話し合った。それぞれの知識、経験、そして、直感を持ち寄り、物語の謎を解き明かそうとした。
物語の中に登場する、古代の魔法、伝説の武器、そして、予言。それらは、単なる物語の要素ではなく、実際に存在する力、あるいは、存在した可能性を示唆していた。
「この物語に登場する『七つの封印』。これが、敵の力を封じているのかもしれない」
ミリアが、物語の一節を読み上げた。
「七つの封印……。それらを解き放つことで、敵は完全な力を取り戻す。逆に、封印を破壊すれば、敵を弱体化できるかもしれない」
ガイアスが、推測した。
「しかし、七つの封印がどこにあるのか、どうすれば破壊できるのか、手がかりは少ない」
エレナが、難しい顔で言った。
その時、私の脳裏に、ある光景が浮かんだ。それは、物語の中に登場する、七つの神殿の光景だった。
「もしかしたら、七つの封印は、七つの神殿にあるのかもしれない」
私は、自分の考えを話した。レオンたちは、私の言葉に耳を傾けた。
「七つの神殿……。物語の中に登場する、伝説の場所だな」
レオンが言った。
「しかし、それらが実在するのか、どこにあるのか、手がかりはない」
ルナが言った。
「手がかりなら、あるかもしれない」
私は、そう言うと、物語の中にある、神殿の地図を取り出した。
「この地図は、物語の中に描かれているものだが、もしかしたら、現実の地図と対応しているかもしれない」
私は、地図を広げ、レオンたちに見せた。
「確かに、これは……」
レオンが、地図を食い入るように見つめた。
「この地図を頼りに、七つの神殿を探す。そして、七つの封印を破壊する。それが、私たちにできることだ」
私は、決意を込めて言った。
レオンたちは、頷き、それぞれの役割を確認した。私たちは、七つの神殿を探す旅に出ることを決意した。
夜明け前、私たちは出発の準備を終え、七つの神殿を目指し、出発した。
まだ見ぬ敵、世界の真実、そして、私の中に眠る力。すべての謎を解き明かすため、私たちは、光と闇の戦いの最前線へと向かう。
(続く)




