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4最悪な再会


 そこにお客様が来た。

 「ただいま~ママ~」

 「まあ、メリーナ。お帰り。待ってたのよ」

 またお母様、メリーナに抱きつき。きっとリオンの妹だろうと思いつつもう一人入って来た人を見る。

 「ママ~私のお付き合いしてるユーリよ。ユーゴ、ママよ」

 彼女はすぐにユーゴの腕にしがみ付きユーゴを紹介した。

 「どうもユーゴ・キャメロットです。今日はお招きありがとうございます」

 ユーゴがお母さんに挨拶をして頭を上げた。

 私と目が合う。

 いまだ健在の美しい湖面を思わせるようなあのキラリと輝く紺碧色の双眸に思わず見惚れそうに…なるか!


 ぎょ!あなたあのユーゴなの?あのわたしを捨てた?あのユーゴ?

 向こうも私に気づいたらしく顔色が変わった。

 ユーゴは「ブリジ、…」と言いかけて口をふさいだ。


 最悪!リオンの妹の彼がユーゴって事なの。

 一刻も早くここから逃げなければ?って言うかどうして私が…私は被害者なのよ。逃げ出したいのはユーゴの方ね。

 それにしてもユーゴの女癖の悪さはもう落ち着いたのかしら?メリーナさんって言ったわよね。彼女騙されてるんじゃ?

 それにあの婚約解消を言い放った時、腕にしがみ付いていた…名前は確か…マリリンだったかしら?

 私の脳内はお呼ばれしたことなどすっかり吹き飛んだ。


 「えっ?ユーゴ。知り合い?」

 メリーナさんが不審そうな顔で私を見た。

 「いや、違う「あの、私リオンとお付き合いしているブリジット・アンブロスと言います。彼、ユーゴ様とは学園の時の同級生で顔見知りなんです」ああ、そうそう、どこかで見た顔だと思ったら、ブリジットじゃないか。元気だったか?」

 ユーゴが白々しくそう言って来た。

 「ええ、あれからもう5年。早いわね」

 「ああ、あれからどうしてた?」

 「えっ?」

 (何を今さら、何もなかった風を装われたって…それにその心配してますって見たいな顔やめてほしいんだけど!誰のせいで!!!ううん、あなたと婚約解消できて良かったんだもの。でも、あなたにそんな親しげにされる覚えもないわよ)


 「まあ、ふたりが知り合いなんて、ちょうどいいわ。ふたりともママの手伝いをしてちょうだい。ユーゴとブリジットは座ってお茶でも飲んでて、すぐに支度が出来るから…」

 リオンのお母さんが気を利かす。

 気づけばリオンもメリーナも何でいなくなるわけ?


 すぐにお母さんがお茶を持って来てくれた。私達はソファーに座るように言われて仕方なくソファーに座る。

 「リオンは買い物に行かせるけど、遠慮しないでゆっくりしてて」

 「ええ、お母様、私も何か手伝いを」

 「まあ、そんな事させたらリオンに叱られるわ。いいからゆっくりしてて」

 「じゃあ、お言葉に甘えて、ブリジットいいから座って」

 ユーゴは必殺の微笑みをお母さんに送る。

 「ユーゴったら可愛いわ~」

 少ししわが寄る目尻にちょっぴり下がる目元。罪もない天使のような甘い微笑み。口角が上がると浮かび上がるかたえくぼ。すべてが計算されつくした女を落とす男の技なのだと言う事も知らずに…


 「はぁぁぁぁぁ~」

 大きくため息を吐くとユーゴが向かい側から私のすぐそばに座り直した。

 「ブリジット、お前変わった?何だか色っぽくなったんじゃない?」

 ユーゴの虹彩がきゅっと締まり、すんと口角を上げた。

 私はこんな時のユーゴを知っている。好みの女の子に狙いをつけた時にする顔だ。

 (今更何を言ってるの?あなたは私を捨てたくせに…ったく。あなたねぇ、いろんな女をつまみ食いしてた学生の時とちっとも変わってないって事?いい年をしてメリーナさんと真剣交際してるんじゃないの?彼女かなりあなたの事好きみたいだったけど?)

 「はっ?あなたに関係ないでしょ。それよりメリーナさんとはどうなのよ」

 そう言いながら私はユーゴと身体ひとつ分距離を取る。

 ユーゴがどうして?みたいに瞳を細めるが知らん顔をする。

 「彼女が付き合いたいって言うからさぁ」

 「相変わらずいい加減なのね。あなた私と婚約解消するとき何て言ったか覚えてるの?」

 「あん?…ああ、そう言えばマリリンだったか。彼女を愛してしまったって言ったな」

 「ええ、確かそう言ったわよね。それでマリリンは?」

 「マリリンとは半年で終わったんだ。仕方ないだろう?愛は移ろいやすいものなんだから」

 「良く言うわ。メリーナさんと付き合うのはやめなさいよ。彼女を傷つけないで」

 「でもなぁ~メリーナいい身体してるし、俺の言う事は何でも聞いてくれるし」

 「ユーゴ。まさかあなたお金を貢がせてるんじゃないでしょうね?」

 「そうだけど。俺は出してくれなんて言ってないぞ。いいって言うけど彼女が勝手に出すから…」

 「あなたってやっぱり最低ね。一緒の空気吸うのも吐き気がするわ」

 私はそう言い捨てるとソファーから立ち上がった。




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