2パーティーに
けれど今、私はリオンと付き合っている。
だけど私はあの頃のような情熱はもちろん持ってなんかいない。
だって周りの同僚たちからは、まだかまだかと言われめんどくさくて、それに伯爵家の人たちもそろそろ次の若い子を雇いたいらしく何度も結婚は?と聞いてくる。
だから思ったわよ。これって渡りに船かも…だってリオンは面倒見はいいし何でも自分でやらないと気が済まない性格みたいだし。
こんな男は二度と手に入らないんじゃないかって思ったわけで…いわゆるリオンは都合がいい男なのだ。
やっと教会のお手伝いが終わった。
リオンは手伝いなんかする必要もないのに休みだからと私について来たのだ。
「やっと終わった。はい、これ」
「だから。これから行く騎士隊の謝恩パーティーに行くから」
リオンは紙袋を私に押し付ける。ちらりと中が見えて赤色と緑の柄に服らしきものが見えた。私は着替えの事もすっかり忘れていた。
「ああ、これがその?」
「ああ、ブリジット。その顔はすっかり忘れたたんだろう?ほら、シスターに頼んで着替えさせてもらうよう頼んであるから」
リオンが目の前の建物を指さす。
「えっと、じゃ行って来る」
何て楽なんだろう。すべて指示通りにすればいいのだ。そんな事を思いながら私は急いでその紙袋を受け取ると走って建物に入った。
シスターがいたので挨拶をして部屋に入らせてもらう。急いでその紙袋から服を取り出す。
美しい赤色のワンピースだった。リボンが緑色でこれはリオンの瞳の色に合わせたらしい。
私は栗色の髪で瞳はヘーゼルブラウン。いたってごく普通のどこにでもいる女だった。
リオンは私のどこが気に入ったのだろうといつも思う。
部屋にあった鏡にそのワンピースを着た姿を映すとまるで自分がどこかのご令嬢にでもなったように映った。
紙袋の中には緑色のリボンまで入っていた。
ここまでしてもらったのだからと私はそのリボンで髪を両サイド編み込み後ろ髪は背中に流しつけた。
靴は編み上げのブーツを履いて来たのでくるぶしまであるワンピースにおかしくはなかった。
どこまでも計算されつくしているわぁと感心した。
「シスターありがとうございました」
「まあ、すごく素敵よ。楽しんで来て」
「はい、行ってきます」
私は来ていたメイド服を紙袋に入れてリオンの元に急いだ。
リオンは私が急いで走って来るのを見つけると顔がくしゃりとなった。
美しい顔はどんな顔になっても美しいんだと思う。
そこに真っ白い歯がこぼれて私を受け止めるかのように両手を広げた。
私の胸がドゴンと波打ったまま私はリオンの腕の中に飛び込んだ。
「すごくきれいだ。思った通りブリジットによく似合ってるよ」
「リオンありがとう。こんなきれいな服初めてだわ。とっても嬉しい」
「いいさ、じゃあ行こうか」
私達は騎士隊の謝恩パーティー会場に向かった。