第12話 冤罪
「やっていいことと悪いこともわかんないの?」
「ち、違う、私は盗んでなんか……」
「この期に及んでまだしらばっくれる気?」
以前、私をイジメていた同級生の3人。
目の前で凄まれるが、私は盗んでなんかいない。だいいち私が衣装なんて盗んでなんの得があるのだろう。
「おおかたキアナ役は私のもの、とか思ってんじゃないの図々しい」
2年の先輩たちまで……。
「見つかったの?」
「部長、聞いてください! コイツが……」
目を伏せ、言葉の暴力を受け続けていると、宍戸部長が着替え室に入ってきた。
宍戸部長に1年の、特に私を毛嫌いしている女子が、私が盗ったと報告する。
「咲来さんホントなの?」
「いえ違います」
「まだとぼける気? アンタいい加減にしなさいよ」
「本当かどうかはともかく、この場にいる者だけで他には言わないように」
宍戸先輩の厳しいひと言で1年と2年の女子はおとなしくなった。
この場には3年生は宍戸先輩以外しかおらず、一部の1年と2年の女子だけだった。
着替え室にいた他の子たちを全員締め出して、宍戸部長がもう一度聞いた。
「わかった。私は咲来ちゃ……あなたを信じるわ」
宍戸部長と着替え室を出て、外で待機していた1年や2年にもう一度口止めした。
内部で不祥事と誤解されるようなことが外に漏れて、演劇会が中止になってもいいのか? と。
宇良先輩や都成先輩、3年の他の先輩たちは知らないまま、誰が真犯人なのかもわからないまま、有耶無耶にしてしまうことにした。じゃないと部内の人間がそのようなことを起こしたと演劇部以外の人間に知られてしまったら、それこそ取り返しがつかなくなる事態に陥る。。
──しかし。
翌日の朝、全学年各教室に怪文書が置かれており、その内容は私、咲来常を貶めることだけに執着した異常な内容だった。
仲良しのクラスの女子ふたりに「大丈夫、常がこんなことする子じゃないって私たちは知ってるよ」と励ますが、それはごく一部のものに過ぎない。
この学校の大多数のものが、私を性格が悪い女だという認識されてしまった。
私の望んだ学園生活とは180度違う展開。
ひそひそとクラスのなかでも、目立たないはずの私に不躾な視線を送ってくる人達が大勢いる。
休み時間に席をあけて戻ってきたら机の中に「泥棒猫、乙」と書かれた紙が入っていた。それをみて急に気持ちが悪くなり、保健室に逃げ込み、少し休んで教室には戻らずそのまま帰宅した。
──そして私は次の日から学校を休んだ。




