殺人犯は孤独
初めまして。
鮎喰夢と申します。
この度は、わたくしの小説を開いて下さりありがとうございます。
個人的な話ではありますが、
私が小説書き始めたきっかけについて少しお話ししようと思います。
私は映画鑑賞が趣味で休日には必ず、ビデオを借りに行って家で映画鑑賞をしたり
映画館で新作を見たりしています。
映画製作の就職も考えましたが、いろいろと調べていくうちに私は制作側ではなく創作側に回りたいと強く思いました。
そこで小説を書きたいという経緯になりました。
制作様のお仕事にいつか私の小説が加わることを願い小説を書きたいと思います。
拙い文章ではありますが、最後までお読みいただけると幸いです。
ご指導ご鞭撻のほどよろしくお願い致します。
愛されてみたかった
高校を卒業して東京での初めての寮暮らし。
どこを歩いても人混みで、道に迷って辿り着かない。
なんとか買い物を終えて寮の入り口に着いた。
すれ違う教官に頭を下げ、部屋に入るとこれから苦楽を共にする同期に迎え入れられた。
そう、僕は今日から刑事を目指す警察学校生。
刑事になりたい理由は人がなぜ過ちを犯すのか知りたかったから。
僕が刑事になるまでの人生は少し省略しよう。
毎日の早寝早起き、きつい筋トレ、連帯責任、難しい勉強、人間関係。
耐えきれなかった同期は40人中8人も途中離脱をした。
卒業式を終え、僕は交番勤務に励んだ。
3年間交番勤務をひたすら踏ん張り、その頑張りが評価され念願の捜査一課に配属された。
ここまでがここ4年の話。
なかなかに省略したけど、大変だったのは伝わると思う。
念願の刑事になったのに僕は聞き込みはおろか現場にすら出してもらえなかった。
チーム内での呼び名は「お留守番係」
今日も僕はお留守番をしている。
先輩や同期が汗水垂らして得た情報をひたすら書き写してコピーする仕事。
虚しくなんてないさ。刑事なのは間違いないんだから。
それから1ヵ月。
先輩に事情聴取をしてみろ。と言われた。
最初の事情聴取は強盗事件だった。
なぜ強盗をしたのか、仲間は何人いるのか。
ありきたりな質問だけど緊張して仕方なかった。
段々と事情聴取を任されるようになってきて、慣れてきた。
言葉に詰まらないし、みんな後悔してます、と口を揃えていうものだから。
刑事になって事情聴取を任されてから1年たった。
今日の担当は4人を殺害した17歳の女の子だった。
「なぜ、4人も殺したの?」
「・・・。」
「17歳ってまだ人生これからでしょう。どうしたの?」
「・・・。」
「なにか思い悩んでいたことがあった?」
「・・・。」
「殺害した4人とはどういう関係だったの?」
「・・・。」
「何も話してくれないの?」
「・・・。」
彼女は顔色一つ変えず黙秘を貫いた。
それから1時間経って、彼女はようやく口を開いた。
「刑事さん。」
「なに?」
「人を殺したことはある?」
「あったら刑事になれていないね」
「殺したいと思ったことはある?」
「ないかな」
「私はね、ずっと人を殺してみたかった。」
「・・・。」彼女は続けた。
「4人とも私に好きって言ったのに裏切ったの、だから殺した」
調べによると、4人と彼女の共通点はないはずだった。
「付き合ってたの。なのに偶然道を歩いてたら女を連れて歩いてた。」
「許せないでしょう?」
「いつもそうなの。みんな私を本気で愛してくれないの」
「私だけ好きになっていって気付いたら捨てられるの」
「だから殺した、ずっと殺したかった。」
「殺すまで行かなくても、よかったんじゃないの?殺したら愛されないし会えないんだよ」
「それでいいの。他の女に触れた手で触られたくないし、」
「それに、殺したら最後目にするのはお互いのことだけでしょう?」
彼女は反省なんて全くしていなかった。
むしろ殺されて当然、と自分の犯行を正当化していた。
僕は鳥肌が立って、情けない話怖くて仕方なかった。
それからも彼女は自分を正当化し話続けた。
彼女の反省が見れないと判断した裁判員の判決は、4人を殺したという事実もあり死刑になった。
彼女と判決の後に一度話した。
僕はどうしても聞きたかったことがある。
「後悔はしてないの?」
彼女は・・・
「してるよ。どうせ死刑ならもっと殺せばよかった。」
「でも、これでまた、彼たちに会える。会ったらもう一度殺してやる」
そう放った。
その時の彼女の表情は、どこか切なさそうで嬉しそうだった。
この度は、「殺人犯は孤独」をご愛読頂きましてありがとうございます。
久しぶりの投稿だったため、少し短くお話を書きました。
17歳の彼女の心理を知り主人公はどう思ったのでしょうか。
寂しさ・愛の重さ・孤独・同情
もしかしたら「共感」かもしれません。
この後主人公が刑事を続けるのか、退職するのか。
ご想像にお任せします。皆さんのご感想お待ちしております。