ドレミファソラシド
道頓堀は無事7号によって鎮圧された。
7号の全てを無かったことにする理不尽極まる無双劇。それにより全ホムンクルスは残さず叩き潰され、7号を頂点とする支配体制に強制的に組み込まれた。
逆張りをしたくなる叛逆因子もこの際に取り除かれた。
これで道頓堀産ホムンクルスは安全となった。ある程度の秩序が与えられた。
…あれ、7号が頂点のホムンクルスって安全か?
まぁそれはいいとして、道頓堀市の運営はこれまで通り高杉に任せることにした。あれでも選挙で勝っているからな。民意は大切にしないと。
というか復興活動を全部押し付けた。あの流星群跡地の復興は疲れそうだ。
流石にこれ以上、俺の仕事を増やしたくない。
「た、助けてくれ!し、仕事が終わらないんだ!手伝ってくれ山田ぁぁぁぁ!!!」
俺は高杉の絶叫をそっとミュートにすることで心の平穏を保った。
無視無視。
さて。
それでは恒例のガチャタイムである。1日2回。無料ガチャとログインボーナスの2回分。
現実逃避、開始。
ガタンッ
R『三等賞 トランペット10年分』
金管楽器。明るく華やかな音色が特徴。息を吹くことで音を出す。
クラシックやジャズなど、いろんなジャンルで使われる。
え
カプセルが開いた瞬間、あたりが暗くなった。
何かが大量に上から降ってくる気配。
上を見ると。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」
「や、山田様ぁぁぁぁぁぁぁ!!」
トランペット、トランペット、トランペット。
ホムンクルスたちが駆け寄る頃には、俺は完全にトランペットの山に埋もれていた。
「ど、どこだ!どこにいるんだ!」
「♪ー!!!」
「トランペットの吹く音がした!あそこだ!」
「うるさいから早く助けて静かにさせよう!」
救助に駆けつけたホムンクルスたちの必死の発掘作業の末、ようやくトランペットの山から引きずり出された。
「死ぬかと思った…」
その後トランペットがいくつあるのか調べさせた。その数まさかの14600個だった。
ど、どういうことだ?365日×10年で3650個じゃないのか?
え、えーと、14600を3650日で割って…1日4個?!
1日4個もトランペット使わないぞ!
そもそもトランペットは使い捨てじゃないんだぞ!2、3個あれば10年は使えるぞ!こんなにいらない!
というか4個?なんで1日4個なんだ?
いや、そもそもこんな10年分とかの景品って、普通カップ麺とか食品では?
…あ、朝食、昼食、夕食、それとおやつで1日4個か!
な、何を言っているんだ?トランペットはおやつじゃないぞ!
あ、頭がおかしくなりそうだ…俺は何を当たり前のことを言っているんだ…
なんで10年分のトランペットなんだ。
三等でこれなら特賞や一等賞はなんなのか。
そもそもこれは何のキャンペーンなのか。
何を理由に配っているのか。
疑問が疑問を呼ぶ。♪♪♪♪♪♪♪♪♪♪
さて、次はログインボーナスである。今日は『スイーツ確定ガチャコイン』♪♪♪♪♪♪
甘いものでも食べてリラックスするか。
♪♪♪♪♪♪♪
うるさい!お前らトランペット吹くならよそでやれ!
トランペットを吹いていたホムンクルスが騒音を流しながら去っていく。その数100人以上。何がホムンクルスをここまで惹きつけるんだ…
ガタンッ
C『ほっかほかアイス』
ほっかほかは擬音語の一つ。温かさや湯気が出る時に使われる。
落ちてきた袋には、水色のアイスバーの写真が描かれていた。ソーダ味らしい。
触ってみる。あったかい。ぬくい。ぬるま湯みたいだ。触ってみた感じ、中身はおそらく木の棒と液体で袋が満たされている。
……鑑定。
●ほっかほかのアイス。ソーダ味。冷蔵庫に入れても凍りません。魔法のアイス。美味しくありません。嫌がらせですね。
「嫌がらせだろッッッ!!!」
ゴミ箱にシュートした。
マッドサイエンティストが回収した。美味しく無かったらしい。当たり前だ。
https://www.kadokawa.co.jp/product/322502001136/
こちらで試し読みができます。イラストも見れます。
最初だけ試し読みしてみてください。最初から全然違います。加筆修正をたくさんしました。
イラストも綺麗で、書籍版にのみ登場する登場人物がイラストつきで見ることができます。
是非見てみてください。




